第469話「トーチの秘密」
トーチ屋から情報を聞くのじゃ。
ワシはトーチ屋の情報を順番に開示しようと提案したのじゃ。
その中にトーチの秘密があったのじゃ。
「トーチの値段は灯りの強さで決まるが、実際の強さは一番高いやつと一番低いやつで影の暴走一回分の差だ。要するにあんたらが影の暴走を追うなら、最低でもシクレの代金の半分は多めに払わないとな」
影の暴走を起こしたワシらが安全を確保するためには、値段もそれなりにしないと、危険だということじゃ。
ワシらはアカリ様に換金してもらって、情報代を更に別の人に払うのじゃ。
「八人いるなら一番効率のいい狩り方は、囲う役と、潰す役に分けることだ。そうすればトーチの消費は一つで済む。勿論潰した役は囲う役のトーチの中に入らないといけないが、より多くのデッドシャドウを潰せるようになるだろう」
とりあえずヒントを貰うのはここまでにしたのじゃ。値段も安くなくなってきているので、あまり買いすぎるのもよくないからのう。
ワシらは宿に戻り、アカミが昼食の準備を始めたのじゃ。
アカミが調理師として働いている間に、ワシらは他にできることはないのか調べようとするのじゃが、宿の中で人と出くわさないのじゃ。
恐らく時間が悪いんじゃろうと思い始めて、ドワンのところにワシ一人で行くのじゃ。
ルナがついてこようとしたものの、ワシはもう気づいているのじゃ。
ここにいる人たちは全員ワシが見えるのじゃ。人間のシクレも同じなのじゃ。
最初はエルフとドワーフの二人じゃから見えるのじゃと思っていたのじゃ。じゃが確実に人間であるシクレ達トーチ屋にもワシが見えておるからのう。
なにか特別なことが起きているのは間違いないのじゃ。神が特別でない以上ルナの付き添いはなくても大丈夫じゃ。
(何かあったら言ってくださいね)
宿で休むのも皆のつとめじゃ。ワシはドワンの家にすり抜けて入ると、気づいたドワンが首を傾げるのじゃ。
「どうしたコン様、なにか教えて欲しいのか?」
「色々聞きたいことはあるのじゃ」
ワシはドワンから聞ける範囲で聞くのじゃ。エルフはこの影の森の管理人のようじゃ。とは言っても下位のエルフがここを任せられているらしく、エルフィーナはここの大きな範囲の管理人のようじゃ。
だからと言ってエルフィーナだけで管理しているわけではないのじゃが、エルフィーナは総括のようじゃ。
村を少し見渡せば、少しだけいるエルフらしき人々じゃ。エルフはこの村の管理もしているようじゃ。
そうしてデッドシャドウを狩る事を仕事にしている人達じゃが、基本的には人に姿を見られることを嫌うそうじゃ。
そこまで聞いた時に、ドワーフの事を聞きたくなったのじゃ。
「ドワーフはこの先の街で暮らす一族だ。勿論エルフの中位もいるぞ?」
鍛冶屋として生活の多くを見るドワーフは本来この影の森付近にはいないそうじゃ。
「どうやってこの先の街に行くんじゃ?」
「それは勿論情報を買えばわかる」
「ドワンから買うことはできないのかのう?」
「当然だ。俺には売る権利がない」
最後に一つ、エルフィーナの仕事について聞いてみたのじゃ。
すると、エルフィーナが帰ってくればわかるよと笑われて、濁されたのじゃ。
気にはなったものの、すぐに動ける状態でもなく、エルフィーナとはまた会えるのはわかっているので、大人しく引き下がったのじゃった。
「さぁ、みんなの元に帰れ。心配させるのがあんたのやり方か?」
ドワンからはこれ以上は聞けないのじゃ。あとはエルフィーナが帰ってきたら聞いてみようと思ったのじゃ。
ワシは宿に帰り、食事をする皆に、ドワンから聞いた話をするのじゃ。考えていた皆は、エルフィーナが帰ってくるまで、現状を維持しないか相談し始めたのじゃ。
「あたしはエルフィーナが帰ってくる前に色々進めていた方がすんなり行くと思うよ」
テンカはそう言うのじゃ。エルフィーナもドワンと同じく話せる内容に限りがありそうじゃしのう。
「エルフィーナが教えてくれたら全部解決するんじゃないの? だって管理人なんでしょ?」
ハフはそういうのじゃ。面倒で危険な仕事は続けたくないのじゃ。
じゃが、アオは厳しめの顔つきでハフを叱るのじゃ。
「多分だけど、甘い言葉を吐けば吐くほど後退するよ」
それにはアカミも同意見で、デザートを置きながら言うのじゃ。
「このデザートも食べられなくなるよ」
アカミは何かを知ったようじゃ。アカミが知ったのは大きな秘密じゃった。
「食料の在庫がどんどん減ってる。追加されてるように見えない。そして食費が一番高いよ」
それはこの村の危機を示していたのじゃ。じゃが、この村の人達は慌ててないのじゃ。それが恐らくエルフィーナの持つ答えじゃった。
じゃからワシらはここで経済を止めないこと、それが一番大切なことなんじゃとわかったのじゃ。
自分たちのために稼ぐことと同時に、アカリ様を通じてトーチを売る人々に、貢献する以外にワシらにできることはないのじゃと、思い知らされたのじゃった。
この村の金銭のやり取りを止めないことが大切なようじゃ。
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