第47話「空中戦」
魔鳥の魔王は厄介なのじゃ!
飛行船と魔鳥との戦いは激化しておった。当然飛行船は迂回しながら進み、敵を追い払うだけで手一杯じゃ。
「ポッポー様、ワシはネーカから魔鳥の魔王が最近になって覚醒したのを聞いたのじゃ。なのに、これ程なのか?」
あまりの魔鳥の多さに驚くワシじゃ。まるで飛行船を囲うように無数の鳥が攻撃しとるのじゃ。
「魔鳥の魔王が覚醒した時、私は別の便の警護でした。ですが短期間にこれだけ支配してしまったのは、この山が魔鳥たちの住処であったからなんです」
「体から出しとらん魔物まで操れるのかのう?」
「正確に言うと同調してしまっていると言うべきでしょうか。ほら! あそこに、大きな鳥の集まりがあるのが見えますか? あそこに魔王はいます。大きな鳥、小さな鳥をそれぞれ操り、他の魔鳥を導いているんでしょうね」
確かに魔鳥の多くは一緒に行動してるだけにも見えるのじゃ。群れはやがてワシらに気づいたようじゃった。
「魔王に気づかれましたね。私も何度対戦したか数えていません。彼女を助けるのは自由ですが、私も私の命がありますから援護しか出来ませんよ?」
「わかっておる。お主らは討伐に向けて動いたらよい。ワシはワシのやり方でその子を助けるのじゃ!」
「そもそも近づけないと思いますよ」
喋っておる暇もそろそろなさそうじゃ。鳥たちが襲いかかってくるのじゃ。
「自分の身は自分で守ってくれよ! 俺のことは気にするな! 俺も長いこと禰宜やってるから大丈夫だからな!」
アレフさんはそういいながら鳥の神力で黒主に魔素を乗せ、鎌鼬のように鳥を切り裂いていくのじゃ。
「ではご武運を! アレフ、行きますよ」
そう言うとポッポー様は、進撃していったのじゃ。ワシも負けてられん! 黒主で黒い鷲に変化させ鳥を追い払うのじゃ。
幸いなことにあまりこちらには攻撃はこんかったのう。やはり敵にとって脅威はポッポー様なのじゃろ。
それが好機じゃ。ナメられとるなら好都合じゃ。ワシも様子見しながら接近したのじゃった。
相手はかなり速く飛んでおったのじゃ。そして魔鳥と言うだけあって、羽を飛ばしたり風を起こしたりするのじゃ。
更にポッポー様が苦戦しとる理由がわかったのじゃ。
魔鳥は連携して、攻撃防御逃走を繰り返しとるのじゃ。あれでは魔王は捉えられん。
ポッポー様とて神力には限界があるじゃろ。対して相手は生み出し続けるじゃ。
正直ワシにはどうしたらよいかわからんかったのじゃ。ポッポー様も強いのじゃが、相手はポッポー様と戦う事で空中戦に慣れた相手じゃ。
ワシは追い払うだけで精一杯じゃ。無理すれば行けるかもしれんが、無鉄砲に終わるだけかもしれん。
(駄目ですよ、コン様)
ふとルナの声が聞こえたのじゃ。わかっておるのじゃよ、わかってはのう。
じゃがどこかで一発逆転せねば、捕まえて説得するなんて無理じゃ。
(……一つ窓から見ていて思ったことがあります)
なんじゃ? なにかあるのかのう?
(皆、平面で戦いすぎじゃないですか?)
ワシはハッとしたのじゃ。飛行船が狙いの魔鳥の魔王に対して戦うからどうしても戦いが平面的になるのじゃ。ならば……ワシは上じゃ!
ワシは一旦飛行船の影に隠れたのじゃ。そして一気に上昇し、雲に隠れて様子を伺ったのじゃ。真上まで行けたら急降下すればいけるかもしれん。
ワシは四苦八苦しながら、ポッポー様と戦う魔王を上から追ったのじゃ。
そしてチャンスはきた。魔王の真上に来たワシは急降下し、白コンを巨大なスライムに変化させ魔王を包んだのじゃ。
「なに!? く、くそ……やられ、てない?」
「ポッポー様! 援護を頼む! ワシはこの子を助けるのじゃ!」
白コンの化けたスライムに黒コンの化けたスライムを重ね塞ぐのじゃ。そしてワシはその女性の胸を揉んだのじゃ。
え? なんでじゃって? 仕方ないじゃろ。抱きついている状態で拘束したから動かれんようにするには胸を柔らかくするしかない。
え? 胸は元から柔らかいとのう? 魂の話じゃ! 勿論手のひらで揉む余裕がないので腕で押したり少し緩めたりでじゃ!
「何すんだこの変態!」
「そうじゃな、この際変態でもよい。話を聞いとくれ。ワシはお主を助けたいのじゃ。人を襲うなんて止めて、真っ当に生きてみんかのう?」
すると歯ぎしりする音が聞こえて拘束を解こうとする力が強まったのじゃ。じゃがワシは神力で捕らえておる。無駄じゃぞ。
「あなたに何がわかるって言うんだ!」
「何もわからんのう? お主が話してくれねばのう」
「……」
彼女は力を抜いたのじゃ。
「名を聞かせておくれ。そこからじゃ」
「あたしの名はテンカ。私の大切な子供は飛行船の船長に殺されたんだ」
どういうことじゃ? 飛行船の船長は悪人なのかのう?
「わかりやすく言うと、私は船長の子供を孕んでいた。それを暴力で……」
妊婦にDVして……か。
「それを三回繰り返されたんだ! あたしはヤるだけ機械か?」
いや、お主も馬鹿かのう? それなら離れればよいじゃろ。
「金は持ってるから、離れようとしたら優しくしてくれて離れられなかったのよ。そして飛行船で問い詰めたら……浮気までされてて……」
まずいぞい。ワシ成長したからもうちょっと上手くいくと思っとったがだんだん冷えてきたのじゃ。
「それならいっその事ワシのハーレムに入らんかのう?」
ワシは突拍子もないことで気を引こうとしたのじゃった。
ハーレム化計画始動じゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




