第46話「アイテム」
魔道アイテムじゃ!
ワシとポッポー様が戻ると真っ先にジーナが寄ってきたのじゃ。
「終わった?」
「うむ、後はゆっくりしようかのう」
するとルナが興奮したように話しかけてきたのじゃ。
「こちらも収穫ありましたよ!」
「なんじゃ? 情報収集しとったのかのう?」
ルナはワシに、ふふんと鼻を鳴らして言うのじゃ。
「実はネーカさんと話してて、ネーカさんの実家の話になって、お父さんが工場長なんだそうなんです!」
話を聞くと貴族のような? そんな者の家系は常に何かの長になるらしいのじゃ。
ネーカさんも嫁ぎ先でパン屋の店長になる予定だったらしいのう。
まぁ婚約破棄されてはどうしようもないから再スタートじゃろ。
「で、何を作っておる工場の長なのじゃ?」
「それがですね、飛行船の一部のパーツが主なんですが、それを代用にしたアクセサリー式の魔道アイテムも作ってるそうなんです」
「どういう魔道アイテムなんじゃ?」
ワシがルナに聞くとネーカさんに言って聞いたのじゃ。
「それは私から説明させていただきます」
ネーカさんが空に語り始めたのじゃ。
「まずこのように宙に浮かんで、その後前に進むんです」
話しながら空を飛ぶネーカさんじゃ。相当量の風を使っているのか周りに風が巻き起こるが、音はせんのじゃ。
稼働をやめて降りたネーカさんは、そのヘアバンドのようなアクセサリーを外したのじゃ。
「魔法を頭の周りに展開して飛ぶアクセサリーなんですけど、魔素を多く使います。それでも一般の方なら一時間は飛べますわ」
ルナはこれを聞いていたのか、ワシに詰め寄ってきたのじゃ。
「これを貸してもらいましょう! これなら私が戦えます!」
「うーむ……」
扱いに長けておらんかったら無理なんじゃないかのう?
「試しにやってみますか?」
いいのかのう? 大切なものではないのかのう?
「家に帰ればまた作って貰えます。これのおかげで命は無事に逃げれたのに追い返されて……でもあなた達に護衛してもらえて……だから安心して家に帰れるなら協力します」
渡されたアイテムを付けたルナはやり方を教わるのじゃ。
「飛ぶイメージを頭で思い浮かべるのと同時に魔素を込めるんです」
「やってみます!」
ルナは目をつぶり集中するのじゃ。するとゴゴゴゴゴと音を立てて勢いよく飛んで行ったのじゃ!
天井にぶつかったルナは「ぴぎゃ」と言って落ちてきたのじゃ。慌ててワシがキャッチするのじゃ!
「暴走しましたね……」
「ルナちゃんはどの属性の魔法が得意なんだ?」
アレフさんが聞いてくる。ルナが得意なのは火と水じゃ。
「では水を扱うように浮いてみては?」
なるほどと頷いたルナは再び集中する。少しふわりと浮いたのじゃ! じゃが移動しようとしたルナの動きはとてつもなくゆったりじゃ。
「火と水では相性が悪いな。仕方ない、俺に貸してくれないか?」
アレフさんが提案するのじゃ。ネーカさんは頷いて、ルナからアレフさんへ渡すのじゃ。
アレフさんは集中すらせず、ふわりと浮かんで素早く飛んだのじゃ!
「これなら俺も戦えるな。どのみちルナちゃんの神力は狐だろ? 空中戦には向かない。俺が行くのが現実的だな」
「わかりました……。アレフさん、ポッポー様、コン様をよろしくお願いいたします」
「ちなみになんで持ってなかったのじゃ? あったら最初からアレフさん戦えるじゃろ」
「……このアイテムの値段教えてやってくれねぇか?」
「このアイテムは一個『ピーーーー』ゴールドです」
ふむ……ワシがこの世界で十年は遊び回って暮らせるくらいかのう?
「アレフ……壊さないでくださいね……? 私たち弁償できませんよ?」
「わ、わかってますよ。壊さないように気をつけます」
「大丈夫です。この際無事に家に着ければそれがどうなろうと構いません」
まぁでも壊れないのが一番じゃ。気をつけるんじゃぞ、アレフさん。
そう思っとると爆音がしたのじゃ! 何じゃ!?
「来たようですね。コン様、アレフ、準備を」
ポッポー様が言うのじゃ。
『現在危険領域を飛行しております。皆様の安全のため大きく揺れることがありますので、ご注意ください』
船内アナウンスが流れて、揺れるのと砲撃の音が響くのじゃ。
ワシは連れておる白コンに変化をさせたのじゃ。鷲の形になり、ワシを背に誘うのじゃ。
「ワシはいつでも行けるぞい!」
「俺も大丈夫だ! ポッポー様、行きましょう!」
「わかりました。ルナさんは窓から神力で援護出来ますか?」
「そうか、変化させなきゃいけないのか……でもやってみます!」
ルナの意気込みに頷くポッポー様は、ジーナとグーシャにも指示を出すのじゃ。
「この機に火事場泥棒をする悪い人がいます。一応警備の人はいますが、二人で悪い人をやっつけてくれますか?」
頷く二人にワシは頭を撫でてやるのじゃ。
「私空中で戦えないから……コン様気をつけてね」
「中はあたし達に任せて!」
二人に笑うとルナが頬をふくらませとったのじゃ。
まったく……子供じゃな。ルナの頭を撫でてやり抱きしめるとワシは鷲になった白コンに乗ったのじゃ!
頭の上に黒コンを乗せて飛ぶと、飛行船をすり抜けて飛んでいくのじゃ。窓から飛び出したアレフさんと、鳥の神力の大群に乗るポッポー様がワシに追いつくのじゃ。
「やはりワシより神力は高いのう」
「当然です。ひよっこに負けるほどぬるい鍛練はしてません」
逆に言えばそれだけあってもたおせん相手じゃということかのう。これはやばそうじゃと思ったのじゃった。
ここからは空中戦じゃ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




