第419話「ルーザ達の戦い」
ルーザ達は必死じゃ。
ルーザ達は必死に残り三十分を戦うのじゃ。ドラゴンの魔王たちが特に活躍するのじゃ。
七匹のドラゴンが縦横無尽に戦うのじゃ。それだけ必死なのじゃ。
マダラは延々とスネークバイトで処理しているのじゃ。実際当たった部位が抉られて厳しい戦いなのじゃ。
ドラゴンナイトも二体倒されてしまっているようじゃ。
(ドラゴンの魔王もこれは三匹目なんですよ)
あのレーゴナのゴーレムですら簡単に抉られてしまっているようじゃ。
その事から皆は下がって、ルーザとドラゴンの魔王たちに任せているようじゃ。
スネークバイトがかなり凶悪になっているのがわかるのじゃ。
白主が破られて危機に陥ったら大変なのじゃ。ルーザ達も死ぬ気はないので、慎重に数を足しながら戦っているようじゃ。
「そろそろ一時間経つのではないかのう?」
(はい。そろそろですね。よくわかりましたね?)
ワシの中には時計の神はいないのにわかったワシじゃ。
累計一時間がようやく経つのじゃ。ワシらは一瞬の光に包まれたのじゃった。
目を覚ましたワシらは、すぐに元の場所に戻るのじゃ。走っていくと、ルーザ達が大量の汗をかきながら、戦っていたのじゃ。
「待たせたのう」
「コン様だ! 皆、コン様が戻られたぞー!」
ルーザは安心した様子で笑顔を浮かべるのじゃ。ドラゴンの魔王たちもホッとしたようじゃ。
ワシらが戻ったのを知ったマダラは、イライラから開放されてニヤリと笑うのじゃ。
「ようやく殺されに来たか」
それに対してジーナがニヤリと笑い返すのじゃ。
「あなたなんて私一人で十分だよ」
その言葉に驚くのはマダラだけではないのじゃ。ワシも凄く驚いたのじゃ。
「無茶を言うでない! 相手はあのマダラじゃぞ! ワシと戦った時より強くなっているかもしれんのじゃぞ!」
「わかってる。でも私の直感が告げているの。この戦いで私が出て、コン様はダイダラに集中させないと駄目だって」
ジーナはワシのためにマダラと戦うようじゃ。大丈夫なのじゃろうか?
「大丈夫だよ、大船に乗ったつもりでいてよ」
自信満々のジーナに対して、再びイラついたマダラじゃ。
「元々この世界出身の小娘が、特別な私に敵うと思っているのか?」
それに対してジーナはハッキリと言うのじゃ。
「特別扱いなら、私もされてるよ。輪廻転生されたのは私が初めてらしいからね」
それは初耳なのじゃ。ワールド様の粋な計らいだったんじゃな。
「あなたは特別なんかじゃないよ。寧ろ哀れなくらいだよ」
マダラを挑発するジーナを止めようとしたのじゃが、マダラがブチ切れる方が先じゃった。
「いいわ。殺してやるからさっさと来なさい」
ワシはジーナの身を心配するのじゃが、ジーナは笑顔でここにいるように言うてくるのじゃ。
「大丈夫。私は負けないよ。信じて欲しいの。コン様に信じて貰えたら、私……勝てるから」
そう言うジーナじゃから、ワシは信じることにしたのじゃ。
ルーザ達がドラゴンを下がらせてジーナが前に出るのじゃ。
「ふふ、あなたを殺せばきっと、狐依コンの顔も苦痛に歪むでしょうね」
いやらしい笑顔になるマダラじゃが、ジーナは余裕なのじゃ。
「あなたは忘れてないかな? ダイダラとは違って、あなたは邪神の種でその段階まで来ただけ。ワールド様の能力を通していないってことを」
「ふん、だから何だって言うの? 力なら一緒でしょ?」
「全然違うよ。わからせてあげる」
ジーナは一歩前に出るのじゃ。その一歩があまりに大きすぎてビビったマダラは思わずスネークバイトを放っていたのじゃ。
それをしっかり見て素早く狐依パンチで弾くジーナじゃ。
「は?」
思わず変な声が出たマダラは驚いたまま、慌てて次のスネークバイトを撃つのじゃ。
「効かないよ、そんなもの」
それもしっかり弾いてしまうジーナじゃ。ジーナにはゴッド様から貰った力があるのじゃ!
そうじゃ。視覚や超直感、時を速くする力などをジーナは授かっているのじゃ。
それらを授かっていないマダラとは大違いなのじゃ。
いくら撃ってきても完全に弾き返してしまうジーナに焦るマダラじゃ。
「こ、こんな事があるはずない! 私は特別なんだ!」
「馬鹿だね。特別な人がワールド様たちに選ばれないはずがないでしょ」
ジーナの言葉に更に怒りを増すマダラじゃが、いくら撃ってもジーナには通用しないのじゃ。
ワシは安心してジーナに任せるのじゃった。完全回復したワシらに敵はいないのじゃ。
ジーナがマダラを倒したら、次はダイダラをワシが倒せばそれで終いじゃ。
希望の光が見えてきたのじゃ。マダラがジーナ相手にこれならワシにも勝ちの目があるじゃろう。ワシの手をギュッと握るルナと共に、ジーナ対マダラの勝負を見守るのじゃ。
ジーナは焦らずに一歩ずつ前に進みマダラを追い詰めるのじゃ。
理解の追いつかないマダラはずっと呟きながら後退していくのじゃ。
皆も固唾を呑みながらジーナを見守るのじゃ。ジーナは少しずつ追い詰める速度を上げていき、マダラは顔を歪めていくのじゃ。
「顔が歪むのはお主の方じゃったのう」
ワシがそう言うとより一層顔を歪めて苦しそうに唸るマダラじゃった。
回復したジーナはマダラに負けないのじゃ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




