第395話「ジーナVS狸の邪神」
ジーナへの搦手じゃ。
狸の邪神の切り札は黒主じゃった。大量の黒主を出した敵は、実体化させて笑うのじゃ。
「何がおかしいの? それは狼さんより強いの?」
「いや、リーダーよりは弱いよ。ただ、狸は狐と同じだという事を忘れてはいけないよ」
黒主でジーナを囲んだ狸の邪神は、ニヤニヤしておるのじゃ。イラついたジーナが攻撃しようとした時じゃった。
邪神含む狸たちが一斉に変化したのじゃ。
「ジーナ」
「こ、コン様? コン様がいっぱい……」
ワシに化けた狸の邪神は涙目で言うのじゃ。
「ジーナ、ワシのために降参しておくれ」
「え……?」
ジーナは困惑するのじゃ。そんな物に騙されるなよのう!
「ワシはこっちじゃ! 偽物に騙されるなよのう!」
ワシは叫ぶのじゃが、ジーナは戸惑っているのじゃ。
「ワシの言うことを聞いてはくれぬのかのう?」
「う……いや!」
近寄ってくる偽物を狐依パンチで潰すのじゃが、更に迫っていく敵じゃ。
「ワシを殺すのかのう?」
「う……違うの! 違うの!」
「ワシを助けてはくれんのかのう?」
追い詰められて、ジーナは泣いてしまうのじゃ。
「ジーナ戻るのじゃ! ワシに交代じゃ!」
「偽物の言うことを聞いてはいかんぞい? さぁ、ワシのために降参しておくれ」
「う、う、うわああああああん!」
ジーナは何とか偽物を振り払い、こちらに全力で走ってくるのじゃ。
大泣きしながらワシにタッチするジーナに代わりワシがリングに上がるのじゃ。
「ルナ、ゲールよ、ジーナの事は任せたぞい!」
ワシがリングに上がると更に歓声が上がるのじゃ。
「ふむ、ではこういうのはどうかな?」
狸の邪神は黒主と自身をルナの姿に変えるのじゃ。
「コン様、降参してください」
祈るルナの偽物に、ワシはため息をついてフォックスバイトを黒主でない本体に当てるのじゃ。
「それで隠れているつもりかのう?」
腕を押さえた狸の邪神が震えながら立っていたのじゃ。それでもルナの偽物を仕掛けてくるので、ワシは全てフォックスバイトで潰すのじゃ。
「そんな虚仮威しがワシに効くわけないじゃろ。下がれよのう」
舌打ちした狸の邪神は鳥の邪神と代わるのじゃ。
「やれやれ、僕でどこまでやれるか……」
鳥の邪神に代わって、こちらの様子を見ているのじゃが、ワシの目当てではないのじゃ。
飛んで羽を飛ばしてくる敵じゃが、ワシは余裕で躱し、大地の階段を作りジャンプして、相手の足を掴んで神力を込めて地面に叩きつけるのじゃ。
「かはっ! くそが!」
「下がれよのう。お主ではダメじゃ」
鳥の邪神は大慌てで交代を求めるのじゃ。蛇の邪神が出てきて、やれやれという感じでワシに言うのじゃ。
「全く。あんたの実力はわかった。ここは下がってくれよ」
「駄目じゃ。お主では駄目じゃ。下がるのじゃ」
「は?」
蛇の邪神は口をポカンと開けて唖然としているのじゃ。
「お主では役不足じゃ。ワシが下がるに値しないのじゃ! お主はリーダーではないのじゃろう?」
「ま、待てよ! リーダー対決は早すぎるだろう?」
ワシは首を横に振るのじゃ。ワシはリーダー対決を所望しているのじゃ。
「いい。代われ」
狼の邪神が手を出すのじゃ。どうやら諦めもついたようじゃ。
蛇の邪神は困惑しながらも狼の邪神と代わるのじゃ。
「気が済むようにやればいい。俺は全力で相手する」
「その意気やよしじゃ! では安心してリーダーに代わるとしようかのう?」
ワシは陣地に戻り、マサムネ様に手を出させるのじゃ。
「ワシらの陣地のリーダーはマサムネ様じゃろう? 思う存分、大将の首を獲ってこいよのう!」
「コン様……お前ぇぇぇ! ありがとう! 流石だよ!」
マサムネ様はワシの手を勢いよく掴みリングに上がったのじゃ。
ワシはリングの外に出ると、ジーナの頭を撫でたのじゃ。
「油断してはならんと言う意味がわかったかのう?」
「うん……ごめんなさい」
泣きついてくるジーナをあやしながら、マサムネ様に叫ぶのじゃ。
「ここまでお膳立てしたのに負けたら承知せんぞい!」
「ああ! 絶対勝つ!」
相手も息を吐いて、覚悟を決めたようじゃ。
「参ったな。俺も熱くなりそうだ」
大将同士の戦いが幕を開けるのじゃ。
「コン様」
ルナが近くに寄ってきて、声をかけてくるのじゃ。
「テンカとチューの調査では、敵はこの戦いを遠くから見守っているそうです」
「そうなんじゃな。そうしてくれると興がそがれずに済むわい。こんな所で乱闘しても何にもならんしのう」
ルナはワシの目を見て、首を横に振るのじゃ。
「コン様も油断なさらぬように。敵はどのタイミングで襲ってくるか分かりません。気を抜いた瞬間、襲ってくるかもしれません」
「そうじゃな。その通りじゃ。ただ、今はこの戦いに集中したいのじゃ。周りのことは皆に任せるのじゃ。特にレーゴナは頼りになるしのう。テンカとチューと協力するように言っておいておくれよのう」
ルナは頷いて、皆の方へ走っていくのじゃ。
皆、応援に回りつつ周囲の警戒に走ってくれておるので大助かりじゃ。ワシらは安心して戦いに集中できるのじゃ。
前を見るとマサムネ様が大太刀に手をかけたところじゃ。
巨大な狼の群れに対峙するマサムネ様じゃった。
今度は大将対決じゃ!もう逃げ場はないぞい!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




