第385話「仲間にする条件」
ワシらの仲間になるならじゃ。
結論から言ってしまうと、魔鳥の魔王達と、魔蛇の魔王達は殆ど仲間にできたのじゃった。
それだけ邪神の心の支えは大きかったようじゃ。フェリに関しては目を覚ましたら外へ逃がす手筈は整えたのじゃ。
フェリの例からして、何人かの邪神は種を消すことで植え付けて、従わせることはできそうじゃった。
とは言うものの基本的にこちらからは言わなようにするという方針で行くのじゃった。
何故なら、自分からこちら側に来たいと懇願するレベルでないと、甘えたことを言っているようなもんじゃからじゃ。
敵を甘やかす気はないのじゃ。それはフェリにも失礼じゃ。
自分で得た情報を元に組み立て、「あなた達に敵わないから負けました」と、ワシらに敗北宣言をしてこちらに下らないと、誰も納得できないよのう。
ここから先、自分からちゃんと負けを認めた邪神にはフェリと同じ対応をしていくと決めたワシに対して、ルナは注意を促すのじゃ。
「騙し討ちには引っかからないでくださいよ?」
「わかっておるわい。とはいえ、マダラやダイダラを許すつもりはないのでのう」
要するに、それ以下なら後出しでも間に合うわけじゃ。それ程強大な力をワシらは持っておるのじゃから。
「じゃあ後は叩くだけなら、もう中心に行ってしまっていいんじゃないの?」
ハフがそんなことを言うのじゃ。じゃがそれをしてしまったら散った勢力が悪さする可能性があるので地道に周りから固める必要があるのじゃ。
「犠牲者も出てるんだよ? いいの? コン様?」
ハフはスイートマジィタで色々知ってしまって、心配しているようじゃ。
じゃが、ここで焦るのは得策ではないからのう。
「皆には今一度耐えてもらおうなのじゃ」
さて、そろそろウードの出番じゃろう。
「ウードよ、お主はどう動くのじゃ?」
「僕のやることってある?」
意地悪そうに笑うウードを肘でつついてワシは笑うのじゃ。
「ここでお主が動いてくれたら大分変わるじゃろう?」
「うーん、ここかなぁ?」
ウードは可笑しそうに笑うのじゃが、ゲールも言うのじゃ。
「ここですね。邪神も含めて動き出した、この場面で、ウードさんが動けば魔王は変わってきます。ウードさん、お願いできないでしょうか?」
「僕の立場わかってる? 僕はコン様のただの……」
「友達じゃろう? じゃからワシらは頼んでおるだけじゃ。対等なのじゃ。お主はワシの配下とか眷属とかではないのじゃからのう」
魔王の友達なのじゃ。協力してくれる大切な友達なのじゃ。
「ふふっ、そうだね。魔族の軍師さんもそう言うならそうなんだろうね。わかったよ、僕も動こう。ただ危険な事はできない。格下しかこちらに引き寄せられないと思うよ」
ウードがこちらの軍勢に加わっている情報は敵の上層部には伝わっているだろうとの事じゃった。
それでも他の者には伝えないじゃろうと踏んでおるのじゃ。子供とはいえドラゴンの魔王が下ったとなれば、メンツにも関わるからのう。
そこを突くわけじゃな。相手が変なプライドに拘っている間に、敵をこちらに誘導して減らしていくのじゃ。
邪神には通用しなくても、集められた魔王たちには有効じゃろう。
そしてスピードはピカイチのウードなら一気に声をかけていくことが可能なのじゃ。
魔王が減れば、敵も戦力をワシらにより集中せねばならんじゃろう。そうすれば犠牲も減り、ワシらも更に集中できるのじゃ。
「じゃあ、行ってくるよ。死なないように祈っててよ!」
ウードは自分の小さきドラゴンに乗り飛んでいくのじゃ。
ワシは早速各地に散る神達に情報を送るのじゃ。あまり話している余裕はないのじゃが、小さい青いドラゴンたちが来たらそれが目印じゃとのう。
敵と区別がつくように白旗は掲げるようにウードと相談したので、神達なら伝わるじゃろう。
できるならワシら側に来てくれればすぐ保護できるんじゃがのう。
その辺を埋めていきながら、ワシらは進むのじゃ。大分大陸を周ってきたのじゃ。
ある程度進んだ時、前方で戦闘しているのをテンカが見つけてワシらに言うのじゃ。
「あ! ヌエ様だ!」
鳥依ヌエ様が戦果を挙げて勝ち取ったところだったようじゃった。
「ジーナ様、お久しぶりですね」
確か毒の研究を、邪神を倒すためにしているのじゃったのう。
「毒は完成したのじゃろうか?」
「ええ、私の毒は完成しました。邪神にも効果がある事が、確認できましたから私も戦えますよ」
確かヌエ様は四段階目じゃったよのう。
「私の段階ですか? 五段階までは上げられましたよ。ですが先程戦った六段階目の邪神に効いた毒ですので、かなり上の敵にも勝てるでしょうね」
『それは間違いだな』
ライア様が突っ込むのに対して、怪訝な顔をするヌエ様じゃ。
「何が間違いだと言うんですか? この刀はなんですか?」
「この刀は十段階目で死を選び、能力で刀に宿ったライア様じゃ。お主より格上じゃぞ」
ヌエ様は更に困るのじゃ。自分が信じて疑わなった力が否定されたのじゃからのう。
『恐らくヌエ様の毒というのは神力も加えているのだろう?』
「ええ、まぁ、はい」
『ならば一つ上の敵には通用しても、もう一つ上には通用しないだろう』
がっかりして羽根を落とすヌエ様じゃった。
ヌエ様の努力は無駄ではなかったのじゃが、まだまだ足りないのじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




