第374話「デス大陸の山と川」
山にはまだ行かない方がよさそうじゃ。
そこは山じゃった、デス大陸にも山はあるようじゃ。
「当たり前ですよ」
ルナが言うのは置いといて、登るかどうかを話し合うと、登らないという結論に至ったのじゃ。
「ここは登らなくて大丈夫です。ここを登ってしまうとドラゴンの魔王の拠点に着いてしまいます」
「つまり一本道ということじゃな?」
「そういうことですよ」
順番に攻略する上で登ってしまうのはマズイのじゃ。そうなるとドラゴンの魔王が拡散してしまうからのう。形勢が不利になる可能性があるのじゃ。
迂回して川を渡るのじゃ。魚の魔物が襲ってきて大変じゃ。魚の魔王はここでも出るのじゃ。あちこち敵だらけじゃが、こうも魔物に溢れておると逆に慣れてくるわい。
段々休憩も落ち着いてこれて、楽になってくるのじゃ。魔物の死体は全部、食べられる部分をアカミが料理して、食べられない部分はスライムに消化させるのじゃ。
守らないといけない者は段々と増えてきておるのじゃ。既に味方側に犠牲者も出始めているようで、急がねばならんわい!
皆と共に前に進むと猪と熊の魔物が現れるのじゃ。そして二人の魔王が現れたのじゃ。
「代表者二名、前に出ろ」
「俺たちがこの里最強だ。俺たちが負けたら潔く負けを認めよう。そちらの傘下に入る」
ワシはジーナと前に出るのじゃ。すると猪が突撃してきたのじゃ。ワシは黒主をワシに変化させ、同じだけの神力を送り狐依パンチしたのじゃ。
全部の猪を吹き飛ばしつつジーナの方を見ると熊に襲われておるのじゃ。じゃが連続パンチで乗り越えておったわい。
ワシが刀を、ジーナが銃を、魔王たちに向けると両手を上げて観念するのじゃ。
「参った、これなら死ぬか降伏するかだな。降伏しよう」
その里のものが出てきて、下位の神になる者とならない者に分かれるのじゃ。
「ここまでは順調ですね」
ウードがひょっこり顔を出すと、皆驚くのじゃ。やはりウードが味方にいることをもう公開した方がいいのではないかのう?
「まだしない方がいいでしょう。ウードには隠れて貰いますよ」
「そうだね、僕がこちらにいることを知られてしまうと、警戒されてしまうよ。すると攻略が難しくなるよ」
そうじゃな、ギリギリまで隠せる範囲で隠すべきじゃな。
バレたら、その時はその時じゃ。
猪と熊の魔王の手引きで、次々に降伏していくこの層の魔王たちじゃ。どんどん追い込んでいくワシらじゃったが、順調なのはここまでじゃ。
「邪神たちの軍勢がデス大陸に入ってきた!」
その情報が来たのは突然じゃった。ワシらに緊張が走るのじゃ。
「大丈夫じゃ、このまま進もうなのじゃ」
ワシは進軍を選択するのじゃ。後ろからの敵は、他の神に任せるのじゃ。
「ダイダラは前進方向にいます。ドラゴンの魔王の場所に着いたようです」
ワシの通る道を避けたのか、たまたまか知らぬが、あちらも情報戦はしておるようじゃ。
全員が納得できるようにしながら、最後のダイダラの決戦さえ決着つけてしまえば、皆は邪神から解放されるんじゃ。
そこさえ超えればマダラすらも救えるかもしれんと思うほど、厄介な壁じゃ。
実際ダイダラがどのくらい強くなっているのかはわからんのじゃ。
それに加えてマダラの驚異もあるからのう。とはいえワシらも準備はしてきたからのう。
このまま進むと森が見えてくるのじゃ。
「ここは通っていいのかのう?」
「大丈夫ですね。ただ……」
ウードは喋りながら隠れるのじゃ。とてつもない大きさの鳥と共に、新たな魔王が現れたのじゃ。
「この先は通さないよ」
「巨鳥の魔王、エルデス様ですね」
「アーシェ様、敵になるなら容赦はしませんよ?」
アーシェとエルデスが会話をするのじゃ。鳥とはいえこのサイズで来られると最早ドラゴンじゃ。
「わちに任せるでしゅ」
レーゴナが前に出ると、エルデスが顔をしかめるのじゃ。
「行方不明のゴーレムの姫がこんな所にいるとはね」
「わちに敵うと思ってるでしゅか?」
「ちっ」
そして少しずつ後退していくエルデスを守ったのはゴーレムじゃった。
「パパとママでしゅか……」
「レーゴナ! 探したんだぞ! こちらに来なさい!」
ゴーレムの魔王の男性と女性がレーゴナに手を伸ばすのじゃ。
「コン様、約束でしゅ。パパやママは例えどういう道を選んでも殺さないで欲しいでしゅ」
「わかっておるのじゃ」
ワシは叫ぶのじゃ。
「お主らの全力をワシにぶつけよ。それでも敵わないと思ったら、こちらに来て欲しいのじゃ」
その声と同時に次々にゴーレムや巨鳥に囲まれるのじゃ。そして一斉に襲ってくるのじゃ。
「ライア様、頼むぞい?」
『魔王以外だろう? 魔物だけ斬ればいいな?』
ワシは大太刀を抜いて振るのじゃ。刃の波が飛び、魔物たちが一刀両断されるのじゃ。
エルデスとゴーレムの魔王の二人は驚いて腰を抜かすのじゃ。
「わちらはこれには敵わないのでしゅ。パパ、ママ、わかって欲しいでしゅ」
「私たちだけを斬らずにいたのか……」
「ドラゴンでも同じか? ならば敵わない……」
ゴーレムの魔王はこちらにくるのじゃ。エルデスは拳を握りしめた後、ため息をつくのじゃ。
「確かに敵わないだろうが、ダイダラと言う奴も大概だった。まだお前たちを味方するには値しない」
「ならばここは退くといいじゃろう」
舌打ちした彼女は巨鳥に乗って逃げていくのじゃ。ワシらはそれを見送って、ぐるりとこの層を攻略していくのじゃった。
強敵もライア様がいればへっちゃらじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




