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狐依コンの異世界大冒険  作者: 狐依コン
アサノ大陸編

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第315話「種を取り除く」

邪神の種を取り除くのじゃ!



 ワシがライア様に尋ねると、ライア様はこう言うのじゃ。

『死ぬほど痛い思いをしてでも戻りたいか?』

 オン様は泣きながらワシらに縋り付くのじゃ。それを聞いて安心したようにライア様は続けるのじゃ。

「一つだけ方法がある。とはいえ邪神でなくせるわけではない」

 ライア様は、オン様が邪神でなくなるにはカラス様とシャラ様の協力が必要だと言うのじゃ。


「勿論です。私たちにできることがあるのなら是非言ってください」

「何でもするわ。彼を取り戻したいのは同じなの」

 ワシはライア様からオン様を斬るように言われたのじゃ。

 ワシは三人の神を見たのじゃ。覚悟は決まっているようじゃ。

 ワシは勢いよく一振してオン様を斬るのじゃ。オン様を斬る時、オン様の体とライア刀が光るのを見たのじゃ。


 ワシが振り切ると、オン様は倒れたのじゃ。じゃが死んではおらんのう。眠っておるのじゃ。

『夢の中で地獄の痛みを味わっている。それでも種を取り除けるだけだ。邪神から戻すには、よく魂を正す必要があるだろう。

 自然に待ってもいいが、二人も神がいるんだ、常にこねて正してやれば早く元に戻るさ。そうすれば白主も出せるようになるさ』


 ライア様の言葉で安心した二人はオン様をベッドに運び、ワシらに礼を言うのじゃ。

「本当になんと礼を言えばいいか、ありがとうございました」

「世の中には本当に凄い神がいるのね」

 ワシはただライア様に頼んだだけじゃからのう。じゃがワシがライア様を抜けてなければ、この結果にはならんかったかもしれんのじゃ。


 ワシらはオン様が目覚めるまで一週間待ち、種が完全に消えたことをライア様に確認してから、オン様をカラス様とシャラ様に任せ、再び旅路についたのじゃった。

 ワシらは南に下がった道を再び北に戻りつつ、西に向かうのじゃ。

 海の近くまで戻ってきた時、海辺の街が見えてきたのじゃ。


 沢山移動してきた今、この場所から海を渡ればデス大陸があることを考えれば、真ん中にあるデス大陸はかなりデカイのじゃ。

 実際かなりの日数を野宿もしておるし、ワシらの旅は簡単には語れないのじゃ。

 それだけの長い距離を旅してきたワシらじゃが、もしかするといずれ一周するのかのう?

 そう考えておると海辺の街である情報を仕入れたのじゃ。


 それはこの街がこの大陸の最西端であることじゃった。結局ここから南へ行かねばならんのじゃ。とはいえ、ここは宿が空いているので休むのじゃ。

 ワシは刀を置いてベッドに転がると、目を瞑るのじゃ。

「すまんのじゃ。ワシ疲れたのでのう。寝るわい」

 ルナが布団をかけてくれるのじゃ。


『当然だ。力は俺だけで使うわけではない。今はゆっくり休め』

 フェニ子、スイ子、ライ子、フウ子、ジド男の五羽の精霊の使いが傍に来て癒してくれるのじゃ。

「ホント、無茶する男ね。そこがいいんだけどね」

 フェニ子はワシの顔に乗り羽を休めるのじゃ。


 そんな事も気にせず眠るワシは夢を見たのじゃ。それはある心地よい夢じゃった。恐らく前世に関係する夢じゃと思うのじゃが、起きた後思い出せないのじゃ。

 起きたのは深夜で皆眠っておったから、こっそりフェニ子に話しかけるのじゃ。

「ワシに何かしたのかのう?」

「何もしてないわよ?」


 本当に何もしてないようなので、思い出せない夢を思い出そうと必死に頭を捻るのじゃが、無駄だったのじゃ。

 そもそもこの世界に来てから随分経ち、前世の記憶が薄れつつあるのじゃ。

 じゃからもう気にしない方がいいじゃろうともう一度寝転がったのじゃ。


 するとフェニ子がこそっとこう言うのじゃ。

「折角だから良い夢見させてあげるわ」

 ワシは目を瞑り夢を見たのじゃ。そこは布団の中じゃった。

「コン様?」

 聞きなれた声が左右から聞こえるのじゃ。

「コン様だ! 久しぶり!」

「本当にコン様ですか? 夢かな?」


 ワシは涙を浮かべながら二人を抱きしめたのじゃ。もう会えない二人に夢でまた会えたのじゃ。二人と楽しく会話をしながら、また闇に落ちて夢から覚めたのじゃった。

「楽しかったかしら?」

 フェニ子が楽しそうじゃ。ワシはフェニ子に感謝をして起き上がったのじゃ。


「元気よくいこうなのじゃ!」

 ワシらは海辺の街を出て南に向かったのじゃ。再び南に下りる道を行きながら、その更に西にはデス大陸の一部があるとルナから説明を受けるのじゃ。

 いずれ攻略するその大陸の大きさに武者震いしながら、ワシらは旅を続けるのじゃ。


 西を見ると見覚えのある青と白の混じった小さなドラゴンが飛んできてワシの前に紙を落としていくのじゃ。

「支配外にした後、懐かせたドラゴン、連絡はこの子でする……そうあるのじゃ」

 ウードは上手くやっておるようじゃ。ワシがドラゴンを撫でると喜んで帰っていく小さなドラゴンじゃ。


 着実に実りつつあるワシらの正義の種と、密かに大きくなる邪悪の種、どちらが勝つかは見えておるのじゃが、誰も死なせない未来を掴めるかはワシにかかっておるのじゃ。

 背に携えたライア刀に意識を向け、邪神を殺すことに迷ってはいかんと気を引き締めるのじゃった。

迷いなくいきたいわい!


ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!

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