第31話「邂逅」
とうとう新たな神が現れるのじゃ!
それは深夜の事じゃった。
(なにしてるの? はやくおいで)
声が聞こえたのじゃ。ワシは起き上がって周囲を確認したのじゃ。
誰もおらんのう?
(なにしてるの? はやくおいでよ)
ワシはどうしようか迷ったのじゃ。じゃがルナが起きておったのじゃ。
「コン様……」
「やはりお主にも聞こえるのかのう」
ワシらはどうしようか悩み、聞こえとるのがワシらだけならワシらだけで行こうとしたのじゃ。じゃが……。
「どこいくの?」
ウェアが目を覚まし、聞いてきたのじゃ。
「起こしてすまんのう。ちょっと野暮用じゃ」
「トイレじゃなさそうね。私もついていっていいかしら?」
うーむ、まぁよいかのう?
「うーん、何?」
「ふわぁ……」
そうこうしておるとジーナとグーシャも起きてしもうたのじゃ。
「全員で行きましょう」
ルナの提案に、寝ぼけ眼の二人も着替えたのじゃ。深夜の街、誰もおらんわけではないが、前に見た夜の街とは違い、静かなのじゃ。
(なにしてるの? はやくおいでよ、はやく)
ワシとルナは声がする方に向かうのじゃ。ジーナたちはそれについてくるのじゃ。
やがて北の出口についたのじゃ。
「街を出るの?」
ウェアの尋ねにワシは悩んだのじゃ。
「この声は無視してはいかん気がするのう」
ワシらは門番さんに挨拶し、街の外へ出たのじゃ。
すると一匹の蛇がおったのじゃ。ウェアはあまりの事に一瞬で構えたのじゃ。
それは真っ白な蛇じゃった。真っ白な魔物はそれほど危険なのじゃ。じゃが……。
(なにしてるの? はやくおいでよ、はやくついておいでよ)
白い蛇はワシらを誘導するように森の奥へと進んでいくのじゃ。
「あの蛇について行くぞい」
「危険だ! 前に言ったことを覚えていないのかい?」
「真っ白じゃからじゃろ? じゃが、あやつについて行かねば余計まずい気がするのじゃ」
ウェアはそれを聞いて諦めて言うのじゃ。
「いつでも逃げられる準備をしておいて」
ウルフを集めて準備するウェアにワシは頷いて白い蛇を皆で追ったのじゃ。
大通りからは外れておったのじゃが、そこには小さな道ができておった。
そのままどこまでも進んでいくと、広い場所に出たのじゃ。ワシらは白い蛇を追うのに走っておったから少し休憩したのじゃった。
「おや? 何故だい?」
ふと声が響いたのじゃ。
「呼んでないものまできているね」
それは女性じゃった。ワシの元おった世界にはメデューサという化け物が想像の中におる。その髪にまとわりつく蛇は正に、メデューサに見える女性だったのじゃ。
「お主は何者じゃ?」
「その前に邪魔者は殺す必要があるわ」
そやつは二匹の大きな蛇を従えとったのじゃ。真っ白な蛇と、真っ黒な蛇。そして無数の蛇が湧いてきてワシらを囲もうとしたのじゃ。
「これは駄目よ! 逃げなきゃ!」
あまりの事に呆けておったワシらを引っ張るウェア。確かにこれはやばいのじゃ!
「……ワシが食い止めるのじゃ! ルナ! ジーナとグーシャを連れてウェアと共に街へ!」
「そ、そんな! コン様を置いてなんて……!」
「行って! 私がコンさんと残る!」
ウェアの台詞にルナとジーナとグーシャは頷いて走ったのじゃ。
「なんであなたが残るのよ、魔族の女」
そやつはウェアを睨んでいたのじゃ。
「実力的には殿を務めるには私が最適よ」
「あら? 戦って逃げれる気でいるのかしら? 見くびられたものねぇ」
「お主は蛇の魔王なのかのう? ならば話し合いでなんとかならんか?」
するとそやつは驚いて目を大きく開け、途端に大笑いしだしたのじゃ。
「蛇の魔王? 違うわよ、何よそれ。私は蛇依メデサ。この世界の蛇の神よ」
神……じゃと!? ワシと同じということかのう? じゃがどう考えても、レベルが違うのじゃ。
「狐の神よ、名前を名乗りなさいな」
「うっ、すまぬのじゃ。ワシは狐依コンじゃ。よろしく頼むのじゃ!」
ワシが挨拶をすると、クスクスと笑いながら近寄ってくるメデサじゃ。
「何故お主はワシらを攻撃するのじゃ?」
「私は巫女とあなたには攻撃してないわよ? むしろなんであなたは魔族と魔王と共にいるのかしら?」
ワシはなぜそんなことを気にするのかわからんかったのじゃ。
「魔王だろうが魔族だろうが、良い奴とは仲良くするのがワシの流儀じゃ!」
それを聞くとメデサは手を当て考えるような仕草をしたのじゃ。
「確かにあの二人の魔王からは悪意を感じ取れなかった。でもそれは今だけだわ。それに……あなたには理解できるかしら? その星には癌となる生き物がいること。この星、この世界にとって、魔物は癌細胞なのよ」
癌を作り出す魔王は悪というわけかのう。そして魔族自身が魔物のようなものじゃから、これも悪というわけかのう。
「だから殺さないといけないのよ。わかってくれたかしら?」
ワシはメデサを睨みつけたのじゃ。
「ジーナもグーシャも、ここにおるウェアも良い奴なのじゃ! 殺すのは間違っとる! 頼む、見逃しておくれなのじゃ!」
それを聞いたメデサはため息をついて言ったのじゃ。
「わがままな同志ね。もういいわ、力づくでも魔王と魔族を殺しましょう」
話し合いは決裂したのじゃ。
戦いになってしまうのじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




