第285話「仙道への道のり」
下位の神は仙道を学べないようじゃ。
テンカがセンリに話しかけて聞くのじゃ。
「下位の神では仙道を習えないのかい?」
「うーん、無理だね。その場合、神道だからね」
赤くなった頬を擦りながら歩くセンリじゃ。
「つまり私やコン様も無理なんだね?」
「そうだね、仙道は巫女や禰宜にしか無理だよ」
逆に言えば仙道は巫女や禰宜が強くなるための唯一の道のようじゃ。それを極めていく事で強くなっていけるようじゃ。
「更に愛を深めると強くなれるのさ」
「冗談で言ってたら、また叩きますよ?」
「それが冗談ではないんだ。恋の力、愛の力が強くなれば大きな力になる。友愛もいいね。ただし、ただ愛するだけでなく、仙道を学んでその上に愛を乗せるとより強くなるって話さ」
「じゃあ私はその点問題ありませんね」
ワシの方を見るルナじゃ。そうじゃな、ワシらは全く問題ないわい。
「付け入る隙なしか。こんなに可愛い子を侍らかして、強欲な神様だ」
溜息をつきながら、道案内するセンリじゃ。ワシはこの男がどうも信用ならんのじゃ。
そこで白主を当てようとしたのじゃが防がれるのじゃ。神力の塊を飛ばして相殺したようじゃ。
「信用されてないのはわかるけど、そんな事するなら俺も案内できないぞ?」
「コン様」
「わかったのじゃ、すまんのじゃ」
心を読むこのセンリの力の源がわからんのじゃ。そして今、どこに向かっておるのかも読めないのじゃ。街を進んでおるのは確かなのじゃが、大通りを進まず路地裏を進んでおるのじゃ。
「どこへ行くつもりなんだい?」
テンカが聞いてくれるのじゃ。
「まず、ある場所に行かないといけない。話はそれからだ」
センリがもう一度紙を見せてくれるのじゃ。
「この地図にある場所はここからずっと行った先にある。そこに着いてからが本番なのさ」
そう言って走るセンリにワシらはカジキ鮫に乗って追いつくのじゃ。
「便利だなぁ、羨ましいよ」
「あなたも乗る?」
アオの言葉に首を横に振るセンリじゃ。
走り続けるセンリを追うと、開けた場所に出たのじゃ。そこに一人の女の人が立っていたのじゃった。
「早かったわね、センリ」
「いやぁ、この人ら意外と速くてね」
やはりかとワシとルナは顔を見合わせるのじゃ。
「おや? 気づいていたのか? 俺が仙人だってことに」
「うむ、なんとなくじゃがのう」
「深層心理では気づいていたわけだな。俺もまだまだ修行不足だ」
「え? え? どういうこと?」
ジーナが首を傾げるのじゃ。
「つまり最初から、俺は仙道を極めていたってことさ」
「パートナーでないといけないというのも、あなたについて行かないといけないだけですね?」
「色々嘘をついてすまない。ちゃんと試さないといけないもんでね」
ルナを誘惑したのも嘘かのう?
「それは本当さ」
「またこの子、巫女を誑かしたのね? いい加減にしないとぶたれるわよ」
「ぶたれたよ、もう」
それを聞いた女性は、爆笑するのじゃ。
「お名前を聞いてもいいですか?」
「ええ、私はセンラ。センリの姉の巫女です」
「義理だけどな」
こうして種明かしもしたわけで、仙道について聞くことになるのじゃった。
「センリからはどこまで聞いているの?」
「愛の力が関係するというところを聞きました」
「……それ中盤以降だよ、全くどうしようもない子ね。まずこの世界の魔法と神力についてどう考えてる?」
「魔法は人が使うもの、神力は神様が使うもの、ですかね?」
「ちょっと違うわね。魔法は魔素が働くもの、例えば魔素で出来てる魔物も使えるわ。そして神力は神に触れる力、これも魔物でも使えるの。
じゃあなんで、人は神力を扱えないのって話なんだけど、そもそも神力って、普通は魔法の上位版なのね。
もちろん種類があるからなんとも言えないんだけど。魔物は魔素の塊だから、神力にも触れられるの。ただ塊なだけだから、上手く扱えるわけではないわけ。
逆に人は少量の魔素しか持たない代わりに、それをより上手く扱えるの」
巫女や禰宜が神力を扱えるのは上位の神に選ばれて神力を扱えるようになるからじゃったな。
何かややこしくなってきたのう。
「仙道っていうのは、まず魔素と神力を合わせることから始めるの」
じゃがそもそも魔素と神力は相反するのではなかったかのう?
「わかってるさ、そんなこと。それを無理矢理くっつけて爆発させる。それが仙道だ」
「それならあたし達でもできるんじゃないかい?」
テンカが聞くと、首を横に振るセンリじゃ。
「神力自体が少ないとそれは難しい。勿論不可能ではないが不向きだ」
「私はそこまで神力が多くありません。それでも可能なんでしょうか?」
ルナがセンリに聞くと頷くのじゃ。
「まず神力を解放するところから始めるのさ。そのための神とのリンクだ。これは神様と契約している巫女か禰宜でしかできないのさ」
「でも、センリさん神とは契約してないって……」
「今は契約してないだけで仙道を学ぶ時はしていたよ。解放した後は契約してなくても問題ない」
なるほどのう。では、ワシとジーナと契約しているルナは解放できる訳じゃな?
「そういうことさ、やり方を俺とセンラでやり方を教えよう」
こうしてルナは仙道を学ぶのじゃった。
ルナはセンリとセンラから仙道を学ぶのじゃ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




