第27話「ウルフ使い」
ウルフ使い、ウェアとの出会いじゃ、魔族という概念が出るのじゃ。
夜も更けて三人はぐっすり眠っておるのじゃ。ワシは起こさんように、その魔物たちと魔王の元に寄ったのじゃ。
「なんのつもりじゃ? 襲うなら今じゃろ?」
どうやらワシを誘っておったらしいのじゃ。その少女はワイルドウルフに乗っておったのじゃ。
「初めまして。私は世の中で魔族と呼ばれる種類の、ウェア。あなたは何者なの?」
どうやら話はできるらしいのう。ワシは自分が神様であることを名乗ったのじゃ。
「神の狐依コンさんね。最初は襲ってしまってごめんなさい。今は人を襲わないようにしてるんだけど、スライムとゴブリンにあなた達が囚われていたと思ったから攻撃したの」
「どういうことじゃ? お主は魔王の力を制御しとるのか?」
「えっと、私は元々魔族だからワイルドウルフと主従関係を結んで旅しているの」
「人間ではないのか?」
「だから……魔族という種族の人間なのよ」
うーむ。わけわからんのう。まぁよい。敵ではないようじゃ。
「魔族には良い者もおるということかのう?」
「魔族も人間だから良い人と悪い人がいるわ。私は悪いことを許せないタイプの人間だと思ってもらえれば嬉しいわね」
確かに魔物に攫われとるように見えたわけじゃから、攻撃してきた理由から考えても良い人じゃな。
「のう、ウェア。お主はワイルドウルフを出し入れできるのかのう?」
「できないわ。私はワイルドウルフを従えることができるだけ。この紋様でね」
ウェアは右手の紋様を見せてきたのじゃ。それがワイルドウルフならばどんな奴でも従えらせられる魔法の紋様らしいのじゃ。
「お主はどうしてこの森におるのじゃ? ウェアよ」
「魔族の里を飛び出してきたんだけど、色んな場所を森を通して旅するうちに、もっと世界を見たいと思って港町のアルファ町を目指していたところなの」
どうやらアルファ町が目的だったらしいのう。それならあの場所で出会っても仕方ないのじゃ。
「あなた達のことも誤解だってわかったし、謝りたくて、遠くから見張ってたの。ごめんなさいね」
「いや、それはよいのじゃ。それよりアルファ町へは急ぐのかのう?」
「いいえ、元々のんびりした旅がしたくて飛び出したんだもの。ゆっくりでもいいわ」
ワシは旅は道連れ世は情けじゃと思ったのじゃ。
「身分証はあるのかのう? 良かったらワシらと一緒に一時的にでも旅せんか? ワシらは旅人初級なのじゃ。お主は旅慣れしてそうじゃ。共に歩めるなら歩んでみたいのじゃが……」
ウェアは少し悩んでおったのじゃ。じゃが、頷いたのじゃった。
「いいわ。あなた達の目的は何?」
ワシに身分証を見せながら手を握ってくるウェアじゃ。
ウルフマスター、魔族。それがウェアの身分証じゃ。
「ワシらは世の中を救うこと。魔王を助けることが目的じゃ」
それを聞いて少し眉をひそめたウェアは、ワシに向かってある事を言ったのじゃ。
「魔王を助けるって、魔王に手を貸すってこと?」
「違うのじゃ違うのじゃ。悪させんように説得するのじゃ!」
「非現実的な発想ね」
確かに悪の道から手を引かせるのは至難の業かもしれん。じゃが、ジーナやグーシャのように救える者もおるはずじゃ。
「私が会った魔王はどれもこれも壊れていたわ。あれを人に戻すのは無理よ」
「魔王に会ったことがあるのか!」
「一応何度かね。逃げるしかなかったけど」
うーむ、事態は思ったより深刻じゃ。
「場所によれば、魔王同士で身を寄せあってる村もあるくらいよ?」
「そ、そんな場所まであるのかのう! これはお主と仲良くなれたことはかなりの収穫だったのじゃ!」
と、浮かれるワシじゃったが念の為確かめさせてもらうことにしたのじゃ。
「お主の魂を確認させとくれ」
「魂?」
ワシはウェアに近づいて、その頭を撫でたのじゃ。魂はぽよぽよしておって柔らかいし、温かな気持ちになったのじゃ。
「な、何?」
「うむ、信用できるのう」
「そう? まぁそれならいいけど……そろそろ頭を撫でるのをやめてくれない?」
ワシは手を離し、本題に移ったのじゃ。
「ウェア。しばらくの間、共に旅をして欲しいのじゃ。協力できることはするのでのう。アルファ町とは別方向になるのじゃが……」
「いいよ。どうせ焦る旅でもない。魔族の里以外なら、わかる範囲で案内してあげる」
こうしてウェアと五匹のワイルドウルフが仲間になったのじゃった。
三人の元に行くと、起こすのも悪いので朝まで休むことにしたのじゃ。
「ん……もふもふ? わぁ!?」
固まって休んどったワシらは朝になってウェアを紹介したのじゃった。起きる際にワイルドウルフに抱きついとったルナはあまりのことに驚いとったのじゃ。
「ウェアさんよろしくお願いします」
ルナは事情を聞いて納得しとったのじゃ。旅のガイドは貴重じゃ。ウェアさんの旅を少し邪魔して悪いのじゃが、お願いしてよかったのじゃ。
「もふもふ」
ジーナはスライムをしまって、ワシらはワイルドウルフに乗ったのじゃ。
グーシャは変わらずゴブリンで警戒しとるが、ワイルドウルフをわしゃわしゃと撫でとったのう。
「この子達に名前はあるんですか?」
「名前はないよ。名付けると情がわく。街には入れないからね。行く度々でウルフと契約して、街に入る時は契約を解除するんだ。あんたらみたいにアイテムに出し入れできないからね」
ウェアはそう説明して乗ってるワイルドウルフを撫でたのじゃった。
狼に名は付けないのじゃ。
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