第263話「学園の闇」
魔王は研究対象のようじゃな。
「本当にすいませんでした! まさか神様御一行だったなんて……てっきり魔王が攻めてきたのかと……」
ワシは更に頭をこね回すのじゃ。
「違うんじゃないかのう? それなら逃げるじゃろ? これだけの人数の魔王じゃと思っておったなら逃げるじゃろ」
「ちょ、調査のために……」
「全てさらけ出せよのう!」
ワシは完全に頭を柔らかくしたのじゃった。
「す、すいませんでしたー! こっそり攫えば実験体にできると思って……」
「やっぱりのう」
泣きながら全てを話すリーダーの男だけでなく、捕まえた他の男にも白主を当てると泣くのじゃ。
「お、俺たちにも事情があるんです!」
話を聞いていると魔王自体は珍しくないようじゃ。そして一人ずつなら三人パーティーで処理できるというのじゃ。
そのため透明化で近づき一人ずつ攫おうとしたようじゃ。
そして後続のものに引き継いで学園に連れていき実験体にしようとしたようじゃ。
「延々と魔物の対処をするつもりじゃったのかのう?」
「魔王の力を封じこめる鎖の魔道具を開発してまして、その実験体にも……」
「最低ですね。そういう態度が魔王を生むんじゃないんですか?」
男たちの言い分に怒るアーシェじゃ。
「アーシェの怒りは尤もじゃが、魔王は脅威じゃ。気持ちはわかるからのう。じゃが、この子らはワシの仲間じゃ。お主らはワシを邪神にしてまで、この子らに手を出すのかのう?」
「とんでもないです! 魔王ならともかく神様を邪神にしてしまったら大変なことになってしまう。お許しください!」
ワシは皆を見たのじゃ。皆はワシに任せると言ったのじゃ。
「では、ワシらを学園の特別な客として迎えるように手筈するんじゃ。それなら許そうかのう」
男たちは頷いて、二人が学園に報告しに行き、一人はここに縛られることになったのじゃ。
「念の為、ワシとジーナは起きていようかのう。皆は眠るとよいぞい」
ワシがそう言うと、テンカは欠伸をしながらベッドに入り、アカミはテンカにくっついていったのじゃ。
「どうしたんだい? アカミ?」
「ジーザスの気持ちがあるせいか寂しくなって」
「じゃあ一緒に寝ようか」
テンカとアカミは共に寝るのじゃ。またアナもアオにくっついているのじゃ。
「ごめんなさい、アオさん。あの頃を思い出してしまって……」
「無理もないわ。魔王狩りなんてよくある話だもの。いいわ、一緒に寝ましょう」
アオとアナも一緒に寝るようじゃ。
ハフはネックレスにはジーナとグーシャの気持ちもあるはずじゃ。
「コン様……」
「わかっておるわい。ワシは見張りじゃから座っておるからのう。傍で寝るとよいのじゃ」
ワシはベッドに座るとトントンと傍を叩くのじゃ。じゃがハフはワシの方に向かってきて飛び込んでくるのじゃ。
「何故かこうしたいんです」
「甘えん坊じゃな」
抱きしめて頭を撫でてあげた後、頬にキスをしてあげたのじゃ。
抱えてベッドに寝かせた後、手を握ると微笑むハフじゃ。
「コン様、あの……」
アーシェが寝巻きに着替えて近づいてくるのじゃ。やれやれじゃ。手招きして、片手で抱きしめるのじゃ。
「コン様モフモフしてます」
ふふふじゃ。普通の人間の体ではないからのう。アーシェの顔が近く、照れておるのじゃ。
「そ、その……私も口付けしてもいいですか?」
ワシは答える前にそっと口付けするのじゃ。真っ赤になるアーシェじゃ。
そのままアーシェをハフの隣に寝かせるワシじゃ。そして間に座り二人の手を握るのじゃ。
「私も行きたいですけど……」
ルナがそういうのでワシは笑うのじゃ。
「来たらよいではないかのう?」
「そうだよ、行こう!」
ジーナがルナの手を取ってワシのところにダイブしてくるのじゃ。
「もう! ジーナ!」
ルナが巻き込まれてワシの胸でジーナに挟まれとるのじゃ。
「あはは! コン様ー!」
ルナごとワシを抱きしめるジーナじゃ。ワシはまずルナを抱きしめたのじゃ。
「たまには甘えてもよいぞい。お主はワシのためにいつも頑張っておるからのう」
「コン様……」
ルナの頭を撫でるとワシの胸に頭を埋めるルナじゃ。そして腰に手を回し強く抱きついてきたのじゃった。
「もう離しませんよ」
「ガハハ! 捕まったのじゃ」
ジーナも抱きついてきてルナがサンドイッチ状態じゃ。じゃが嬉しそうじゃったわい。
ルナたちが寝静まった頃、ジーナが後ろに回り込んできてワシを後ろから抱きしめるのじゃ。
そしてワシの頭を撫でながら囁くのじゃ。
「コン様もいつも偉い偉い」
「ふふふじゃ。そうやって褒められたのはいつぶりじゃろうかのう?」
ワシはふと、縛られている男の方を見たのじゃ。そしてジーナに声をかけ、抱擁を解除してもらい、男の方に向かうのじゃ。
男は泣いておるのじゃ。何故泣くのじゃろうな? ワシは頭を撫でてやるのじゃ。
「……? もしかしてコン様ですか?」
どうやらワシの優しさの頭撫でに気づいたようじゃ。
「こんな事、神様に懺悔にしかなりませんが聞いてください。俺たちはいつもこんな風な笑顔を奪っていたんだと思うとやるせなくて……」
それを聞いてワシは男の背中を思いっきり叩いてやったのじゃ。
「おわっ」
前のめりになった男は背中の痛みに擦りながらキョロキョロするのじゃ。ワシが見えておらんからのう。
「ありがとうございます。俺たちも前に進まないと」
ワシはもう一度男の頭を撫でてやったのじゃった。
男も反省しているようじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




