第258話「伝説の大太刀」
ワシはライア様の大太刀を手にしたのじゃった。
ワシは刀から手を離すわけにもいかず、ただ力を見せるために神力を纏ったのじゃ。
『おお、おお、獅子の前で逃げずに威嚇する狐か。まぁその判断は間違いではないよ。だが話を聞いて欲しい』
大太刀の獅依ライア様は、どちらなのじゃろうかのう? 邪神ならばこの場で封印せねばならんかもしれんしのう。
「お主はどう言った経緯でこの刀に宿っておるのじゃ?」
『そうだな、まず初めに、これはゴッド様の力ということを理解して欲しい』
ライア様は話し始めるのじゃ。生前多くの大陸を制覇したライア様は、デス大陸に正しい魔王と魔族たちのための里をそれぞれ作ったそうじゃ。
じゃが心に闇を抱える魔王と、劣等感から狂ってしまう魔族の危うさを鑑みて、いつか戦いになってしまうだろうと考えたライア様は、対抗策としてゴッド様に頼んだそうじゃ。
それが、死んだ後に自分の力を封印して、生前使っていた大太刀に魂を残すという能力だったそうじゃ。
死ぬまで鍛えたライア様は死んだ後、後の世の平和のために眠っていたそうじゃ。封印を解くために必要な条件は、ライア様と同じ性質である事だったようじゃ。
『それは平和を強く望み、力に闇を宿すことだ』
「……どういうこと?」
スネーク様はまだ知らんようじゃし、選択に迷わせてしまってはいかんからのう。
「すまんがスネーク様とツボルさんは席を外してくれんかのう? 三段階目の話になるのでのう」
「……わかったわ。洞窟の外で待つわね」
スネーク様が離れてから、ワシとジーナとルナはライア様と話すのじゃ。
「どうして闇の力が必要なんですか?」
『それは簡単だ。コンとか言ったな。お前ならわかるんだろう?』
ルナの問いに、ライア様はワシに投げてくるのじゃ。
「うむ、平和は光だけでは勝ち取れないのじゃ。何故なら光の強すぎる悪に出会った時、勝てないからじゃ」
「それなら私も手にしたかった!」
ジーナにワシは諭すのじゃ。
「言ったじゃろう? ジーナには、ワシが闇に堕ちた時そこから掬いあげて欲しいのじゃよ」
そのやり取りを聞いていたライア様は笑うのじゃ。
『いい仲間がいるようだな。尚のこと気に入った。コン、お前を俺の主にしよう。黒主を出して当ててくれ』
ワシは言われた通りに、黒主を出すのじゃ。そして大太刀であるライア様に当てると鞘になって収まったのじゃ。
『纏いながら抜いてみろ』
ワシは神力を纏ってからゆっくり動作をしながら大太刀を抜いたのじゃ。
するとワシの体に黒いマントと黄金の鎧が現れたのじゃった。
『これが俺の装備だ。餞別として受け取れ。と言っても抜いてる時しかこの装備を纏えないがな』
ワシはゆっくり大太刀を鞘に戻したのじゃった。すると黄金の鎧と黒いマントもきえたのじゃ。
『暫し眠る。また大きな戦いの時に抜け』
ライア様がそう言うと、ワシが語りかけても反応せんようになったのじゃった。
古代の獅子、その刀の力をしっかりと受け取ったワシは大太刀を背負い、洞窟を出たのじゃった。
「コン様凄い!」
ジーナが抱きついてくるのじゃ。ワシはジーナの頭を撫でて興奮を抑えるとルナに聞くのじゃ。
「この力、どう思うかのう?」
「危険な力だと思います。使い所を間違わないようにしてくださいね」
ワシも同感じゃった。簡単に扱えるものではないじゃろう。
洞窟の外で待っていたスネーク様に終わったことを告げ、ツボルさんも含めて共に皆が待つ場所まで戻ったのじゃ。
戻ると真っ先にチャチャとコーネが走り寄ってきたと思ったら、撫で待ちをするのじゃ。
わしゃわしゃと撫でてやると気持ちよさそうに鳴くのじゃ。
「狡いよ、チャチャ、コーネ。あたしもあたしも!」
頭を突き出してくるグーシャは可愛いのう。ワシは頭を撫でやり、皆に大太刀を見せるのじゃ。
「これが伝説の刀?」
「……私も見たから間違いないわ」
スネーク様の言葉で説得力があがり、ライア様のことを話すワシじゃ。
「獅依ライアか、どれだけの実力だったのかはわからないけど、強力な武器を手に入れたね」
テンカが笑うので、ワシは窘めるのじゃ。
「強すぎる武器は時に危ういのじゃ。扱いに気をつけねばならんじゃろうのう」
ワシはフォージ王国の人々の意見も聞きたいと願うのじゃ。
スネーク様は頷いて、村に帰ってから説明しようと提案してくれるのじゃ。
そうして村へ帰り、ルナに姿を現してもらい刀を見せると村人は平伏したのじゃった。
「まさかあの刀を抜く神様が現れるとは」
「これはきっと獅依ライア様のお導きだ」
村人たちはライア様を知っているようじゃった。
ワシらは村人たちが知るライア様の情報を貰うのじゃ。百獣の王が如く、人々を救って行ったライア様の伝説はまさに英雄譚じゃった。
その伝説に恥じぬように、ワシもこの大太刀と共に平和を築いていこうと思ったのじゃ。
「……私が伝説の刀を得られなかったのは残念だけど、選ばれたのはコン様だから。もしダイダラに出会ったらその刀で仇を討って欲しい」
「わかったのじゃ。必ずダイダラを倒すと約束しようなのじゃ」
スネーク様とハグを交し、別れ際に彼女はこう言ったのじゃ。
「……獅子の威を借る狐にならないようにね」
「ふふふ、わかっておるわい。心に留めておくとしようかのう」
ワシらはフォージ王国の街で別れたのじゃった。次は神仙郷を目指すために情報を集めるのじゃった。
次は神仙郷のために情報集めじゃ!フォージ王国で情報を集めるぞい!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




