第255話「ワンニャン国から次へ」
狩りが始まる様子のワンニャン国じゃった。
ワシらはゴール様とシル様についていき、お触れを出した二人の様子を見ていたのじゃ。
「これより犬も猫も互いに混ざって生活して良いものとする!」
ゴール様の言葉に歓声を上げた国民たちは一斉に狩りに動きだしたのじゃ。
「彼らは急にどうしたんじゃ?」
「それには俺が答えよう。犬も猫も狩りにはお互いの力が必要なんだ。それが王と女王の二人の喧嘩によって遮られていたということさ」
パロ様の説明でワシはホトホト呆れたのじゃった。こうなる事まで知っていてつまらない喧嘩をしていたのじゃな。
「さて、この国の問題も解決したんだ。俺の方の問題も解決してほしいね」
ペーガさんが言うのじゃ。次の国へ行けば、メデサ様の武器が取り戻せるはずじゃ。
「俺達も早く受け渡ししたいです」
ワシから武器を受け取ったセージは一刻も早くペーガさんにメデサ様の武器を渡さねば気が済まんようじゃ。
「もう行くのね。私はもう暫くこの国で修行を積むわ。また会えるといいわね」
ミィ様は笑ってワシに抱きついてきたのじゃ。躱すのも失礼じゃからハグをするワシじゃ。
「ジーナちゃんも行っちゃうのか?」
パロ様は寂しそうにジーナを見てるのじゃ。
「うん、ごめんね」
ジーナが謝ると、涙目で最後の懇願をするのじゃ。
「ほっぺ! ほっぺでいいからチューしてくれ! 情けないのはわかってる! でも……」
ワシはジーナに近づいて頭を撫でてやり、囁くのじゃ。
ジーナはゆっくり頷いて、パロ様の頬にキスをしたのじゃった。
「絶対死ぬんじゃねぇぞ! また会ってくれよな……」
パロ様は大袈裟に泣くのじゃ。ジーナはまるでワシがするようにパロ様の頭を撫でるのじゃ。
鼻水啜って別れを惜しむパロ様に手を振ってジーナは離れ、ワシらは出発したのじゃった。
ワンニャン国の首都を出ると犬や猫を連れて狩りをする犬の神と猫の神の姿が見れるのじゃ。
その様子は圧巻じゃった。魔物は犬や猫に追われ逃げ惑うのじゃ。
あの癒される犬や猫たちが凶暴な魔物たちに立ち向かい追いかけ回す様子は中々の見ものじゃったわい。
狩りの様子を傍目にワシらは次の国へと旅に発ったのじゃった。
セージに次の国のことを聞くのじゃ。
「鍛治の国フォージ王国ですね。冒険者が武器を探しに来る国と言われてます。一応この大陸の最東端の国です」
「ちなみに神仙郷について何か知りませんか? セージさん」
ジーザスが聞くと、セージは顎に手を当てて考えながら話すのじゃ。
「フォージ王国から南東の山道を通ったところに、人の入れないシンオウ国という国があるそうですが……」
「恐らくそこだろうな」
ペーガさんは笑顔でジーザスの頭を撫でるのじゃ。様々な目的が近づいている中、ジーナがグーシャの手を繋いでいたのじゃ。
きっと思うところがあるのじゃろう。
魔物を倒しながら行こうとすると猫や犬たちが付いてくるのじゃ。
「折角ですから送りますよ。国王様と女王様の仲を取り持ってくれた礼もしたいですし」
犬や猫に囲まれながら大所帯で歩くのじゃ。野宿している間、犬や猫たちを撫でるグーシャたちじゃ。
「ああ〜、ワンちゃんも猫ちゃんも可愛いな〜。一匹ずつくらい譲ってもらえばよかったね!」
グーシャが猫ちゃんを抱きしめながら言うのじゃ。犬や猫を整える店が多かったワンニャン国、譲る店もあったはずじゃ。
「でしたら、この中から一匹ずつ選んで譲ってもいいですよ」
「え? いいの?」
ワシは笑ってルナの方を見たのじゃ。ルナは頷いてお金の準備を始めたのじゃ。
「ああ、無料でいいですよ。我々は犬や猫を繁殖させて譲るのも仕事としてますので」
お手入れ品は買っていただきますけどね、と付け加えた飼い主の人の好意に甘え、選ぶのじゃ。
「どの子も可愛いけど、相性のいい子を選びたいね」
「じゃあテンカが犬選んでよ、テンカの鳥と相性いいと便利でしょ?」
「そうだね、試してみるかい?」
魔鳥を展開したテンカについてきそうな子を選ぶのじゃ。すると一匹の茶色い毛色の大型犬がテンカに走りよって頭を擦りつけたのじゃ。
「この子にしないかい?」
皆は頷くのじゃ。あとは猫じゃな。
「猫はアオさんに選んでもらいましょうか」
「ちょっと! なんであたし……」
「嫌なんですか? 凄くデレた表情で猫ちゃんたち見てましたし、相当な猫好きだと見ましたけど」
アオとアナのやりとりで、照れるアオじゃ。アオは渋々とカジキ鮫を出して、様子を見るのじゃ。
すると黒と白の模様が半々に別れた猫がやってきて、これまた頭を擦りつけるのじゃ。
「この子が可愛い!」
「決まりましたね、人間以上に強靭な体を持つこの子達ですが、体を壊すこともあります。そういう時は動物病院も各街にありますので頼ってみてくださいね。これ、ブラシと爪研ぎです」
雄の犬と雌の猫を飼うことになったワシらは、色々教わるのじゃ。
そしてフォージ王国に行くまで、躾と心を通わせるコミュニケーションを取って、戦闘に参加させるのじゃ。
そうして旅の仲間をどんどん増やしていくワシらは次の国フォージ王国に着くまで楽しく過ごしたのじゃった。
ワシらは犬と猫の仲間を加え、メデサ様の武器を取り戻すために動くのじゃった。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




