第252話「猫依ミィ様」
インドラ様戦以来の再会じゃ!
暫く村人と話しておると奥からある神様が現れたのじゃ。
「コン様、久しぶりね」
「おお、ミィ様!」
ワシはインドラ様との戦いで共闘した猫依ミィ様と再会するのじゃ。
「その様子だと狐の女の子ちゃんと巫女ちゃんは犬派のようね」
ワシは苦笑したのじゃ。別に喧嘩しとるわけではないのじゃがのう。この手の争いにはあまり深入りせんのがワシの信条じゃしのう。
「どう? この国は? まぁ犬もいるのは事実だけど、嫌いあってるわけじゃないしね」
「和やかでいいのじゃ。仲良くしとる時もあるんじゃろ?」
ワシが尋ねると肩を竦めるミィ様じゃ。
「王が犬の神様、女王が猫の神様でね。その時々の決まり事で、ルールが変わるの。今は犬は犬、猫は猫でという感じね」
ワシは国王と女王に会いたいのじゃが、会えるのかどうか聞いたのじゃ。するとミィ様は悩むのじゃ。
どうやら現在は、よく知る犬の神の紹介と、猫の神の紹介がないと会えないようなのじゃ。ミィ様はこの国の常連なので、猫の神の条件は満たしておるのじゃが、犬の神は知り合いにいないそうじゃ。
「タロ様がおったりせんかのう?」
「タロ様はあの後、西に向かったそうだからね。私も犬の神様にはツテがないから難しいわ」
そうやって困っておると、猫がゴロゴロ鳴くのじゃ。ワシらは放ったらかしにして話しておったのを反省し、猫ちゃんを撫で回すのじゃった。
そして気づいたのじゃ。猫に普通に触れられる事にのう。いや、人間にも触れられるんじゃが、猫にはワシら神も見えておるようじゃ。
それを尋ねると、ミィ様は当たり前のように言うのじゃ。
「猫や犬は神様みたいなものでしょう?」
実際には世界を作ったワールド様が人のために作った動物たちには神力が人より多く含まれるそうじゃ。
じゃから神が見えたり、神から強く触れたりする事ができるそうじゃ。
「おいらたちのように精霊の使いになる猫や犬もいるんだよ」
ジド男がワシの肩で囁くのじゃ。なるほどのう。
「そろそろお腹がすいたよ、コン様」
グーシャがワシの手を掴んで言うのじゃ。
「まずはご飯処に行きましょうか」
「私もお腹ペコペコです」
アオとアナがミィ様に尋ねるのじゃ。
「というかあなた達、私と初対面よね? 前の時いなかったでしょ?」
「そうですよね、初めましての挨拶が遅れてごめんなさい」
ハフが頭を下げるので、アオとアナも頭を下げるのじゃ。
「そちらの女の子は?」
ミィ様がアーシェを指さすのじゃ。
「申し遅れました。魔族の魔王、アーシェと申します。よろしくお願いします」
ぺこりと丁寧に頭を下げるアーシェに、ミィ様は目を見開いて驚いていたのじゃ。
「魔族の魔王ですって? コン様って本当に凄い神様よね。一体どんな縁で繋がったの? 奢るから話聞かせてよ」
こうして食事を奢ってもらい、ワシはインドラ様との戦いの後の話をするのじゃった。
「まさに運命というやつね。コン様は選ばれているのかしら?」
「そんな大層なものではないと思うぞい」
ふふふと笑うミィ様に照れるワシじゃ。
「まぁこの国はそんな喧騒から離れて癒されるためにある国だから安心して頂戴。ここのご飯も美味しいでしょう?」
猫の神が作った神力ご飯はルナがいなくても食べられるのじゃ。皆ガツガツと食べながら、ミィ様と談笑するのじゃ。
「ミィ様はどんな旅をしているのじゃ?」
「私は今はこの国を拠点としているわ。居心地がよかったのよ。たまに依頼を受けては他の国に出向いたりはするけどね」
店のご飯を食べ終わり出る時、店の猫たちが一斉に頭を下げるのじゃ。よく躾られておるのう。
ワシはこの後どうしようか迷うのじゃ。グーシャ達に、犬側に行くことに抵抗はないか聞くのじゃ。
「あたし達はいいけど、ルール的にどうなの?」
アオの言う通りじゃ。猫の毛を体に付けたままで行っていいのかのう?
「部外者だし問題はないけど、巫女の子に念話したら?」
そうじゃった。ワシはルナに心で話しかけるのじゃ。
(聞こえてますよ。こちらも犬の神様と遭遇して色々お話聞かせてもらっているところなんです。一度合流しましょうか。公園があるそうなので、そこで)
ワシはミィ様に案内されて公園に着いたのじゃ。見事に二分割された公園で、向こう側には犬たちがおるのじゃ。
猫側を見ると楽しそうに遊ぶ犬側を見つめておるのじゃ。
公園は犬向きじゃのう。
ルナ達がおったので手を振り近づいていくとなにやら揉めておるのじゃ。
「勿論案内するからさ、俺の恋人になってよ、ジーナちゃん」
どうやらジーナを口説いとるのが犬の神様のようじゃ。
「私には心に決めた人がいるからダメです」
「そんな事言わないでさ。きっと俺の方が……」
「そこまでじゃ。何をワシの大切な子にナンパしとるんじゃ」
ワシが止めに入ると、その犬の神様がワシをジロジロ見てくるのじゃ。
「ふぅん? この狐の神がジーナちゃんの想い人? なるほどねぇ……」
値踏みするような目線にため息をついたワシは、白主を当てるのじゃ。じゃが……。
「ん? ジーナちゃんのは許したが、それは攻撃ではないのか?」
何も起きんのじゃ。
「すまんのじゃ。というかお主純粋な気持ちでジーナに惚れておるんじゃな」
「当たり前だろ! こんな素敵な人はいないさ! 俺は心より愛してるぜ? お前はどうなんだ?」
「ガハハ! ワシの愛はお主にはきっと理解できんぞい。ここにいる女子皆を愛しておるからのう」
ワシがそう言って笑うと、あまりの事に呆気にとられた犬の神様じゃった。
この犬の神は本気でジーナに惚れておるようじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




