第246話「冒険者たちの事情」
何も知らずに態度だけでかい人っているよのう。
剣や弓、杖を持った冒険者たちが村の中に入ってきて護衛するのじゃ。そんな中、ルドさんから説明を受けたある冒険者達がルナ達を見て怒りを顕にするのじゃ。
「こんな女子供に護衛させるなんてなんて事だ!」
それにはグーシャやアカミやアナやハフがムッとするのじゃ。
「私達は神様と魔物使いです。何か文句がありますか?」
すると冒険者は笑うのじゃ。魔物使いなんてものをお供に加えるなんて堕ちたものじゃとのう。
それを聞いてテンカがニヤリと笑うのじゃ。
「だったら試してみるかい? あんた達の剣や魔法とあたしたちの魔物、どちらが優秀かを」
それを聞いて冒険者たちもニヤリと笑うのじゃ。
「もし俺たちが勝ったら神様と巫女様を俺たちに譲れるか? それなら勝負してやる」
テンカはため息をついたのじゃ。
「コン様やジーナ、ルナは賭け事の対象にはできないよ」
「ふん、雑魚のお守りをするなんて神様も大変だな」
冒険者の言葉にワシはやれやれと白主を当てようとした時じゃった。
「いいよ、やろうよ」
グーシャが言うのじゃ。
「あたしだけが言っても仕方ないから、そちらの人数と同じ四人と、コン様とジーナとルナの許可がおりたらやってあげるよ」
グーシャはワシとジーナとルナを見るのじゃ。
言われっぱなしが嫌なのはわかるがのう。相手の実力もわからんのに賭けるのは愚策じゃぞ?
ルナは呆れて言うのじゃ。
「私たちが別れてしまってもいいっていうんですか?」
それを聞いたグーシャはシュンと俯いて首を横に振るのじゃ。
「ごめんなさい、じゃあなし……」
「それならこういうのはどうだ? 俺たちが勝ったらお前ら全員俺たちの配下だ、勿論神様もな。使役させてもらうだけさせてもらうなら別れなくて済むだろう? 四対四でならいいぞ」
女を見る目で見てくる男冒険者たちに、ルナはワシの方を見てくるのじゃ。
ワシは負けてもこの者たちを更生させるつもりでおるのじゃ。じゃからやりたいならやればよいじゃろう。ジーナの方を見ると頷いておったのじゃ。
グーシャたちは相談し、グーシャとアカミとアナとハフで行くことにしたのじゃ。怒った子達じゃな。
相手は剣士、魔法使い、弓使い、僧侶の四人じゃ。バランスのよいパーティなのじゃろうかのう?
審判は公正にルドさんにやってもらうのじゃ。
「降参した方が負けでいいね? じゃあ始め!」
「ふん! ところでその魔物はどこにいるんだ? スライムしか見えないが」
男達がそう言うと、グーシャたちはニヤリと笑うのじゃ。
次々と溢れる魔物に慌てふためく男達はすっかり魔物に囲まれたのじゃ。
「ま、まさか……魔王か!?」
「元魔王ですよ。侮りましたね、降参するなら今のうちですよ」
アカミが汚れた物を見る目で言うのじゃ。
「何を! この程度!」
剣士が戦ってるうちに弓と魔法で戦う男達じゃ。僧侶は剣士を守るのじゃ。
「それじゃあ本気を出そうかな」
ハフがハリネズミの針を飛ばしながら、クラゲの触手を伸ばすのじゃ。針を防御し切れず触手に触れ毒で麻痺する剣士じゃ。その隙に魔法使いはアカミのケルベロスが、弓使いはグーシャのシーフが、僧侶はアナのコブラが襲うのじゃ。
「おい! 早く回復してくれ!」
「そんなこと言われたって!」
「これでトドメだよ! あたしの神力スライムの体当たりで吹き飛べ!」
グーシャはここぞとばかりに、真っ白なスライムで剣士に体当たりして吹き飛ばすのじゃ。
「こ、降参降参! これは無理!」
後衛の三人がギブアップして手をあげるのじゃ。
じゃが剣士は納得いってないようじゃった。
「俺たちだって神の加護があればこれくらい……」
「そういう問題じゃないだろう」
一部始終を見終わったペーガさんが口を挟むのじゃ。
「この子達は皆、自分の力でこの村を守って戦った。それを嫌味な言い方で嘲笑ったのはお前たちの方だろ?
そんな程度で神の加護を貰おうなんて浅ましいと思わないのか?」
ムッとする剣士じゃ。ワシはルナに姿を見せるように言い、四人に話しかけるのじゃ。
「何故そんなにも神の加護に拘るのじゃ?」
冒険者たちは驚いて平伏し嘆願するのじゃ。
「神様! 俺たちに加護をください!」
「じゃから何故、神の加護に拘るのかを答えよのう」
すると男達は顔を上げて説明するのじゃ。
「実は俺達、神の武器を買ったんです。かなりの高額で、貯めていた貯金全部使って買ったんですけど、神の加護がないと触れられないと言われたんです。
詐欺かと思ったんですが、武器は預かっておくからいつでも神の加護を得てから取りに来いと言われて……」
ワシとペーガさんは顔を見合わせるのじゃ。ペーガさんは男達に聞くのじゃ。
「それは蛇の神の弓だと言われなかったか?」
「え? そ、そうです! 知ってるんですか?」
「知ってるも何も、それは俺の探し物だ。払った金額の倍の値段をやるから、譲ってくれ」
「そ、そんな! 嫌です! 俺たち強くなりたいんです!」
その言葉にペーガさんは困ってしまったのじゃ。ワシはある事を思いつき、提案するのじゃ。
「お主が本当の意味で生まれ変わると言うならワシの武器をやろう。覚悟はあるかのう?」
剣士は立ち上がり、覚悟はあると真剣な目で見るのじゃ。
「よかろう、では死ねよのう!」
ワシは狐依パンチを剣士に放ったのじゃ。衝撃で吹き飛んだ剣士は、あまりの事に目を見開いて吐血し、息絶えたのじゃった。
「コン様、何を!」
「うわあああ!?」
「慌てるなよのう。ここからじゃ」
ワシは剣士の体に白主と黒主を入れ、下位の神にしたのじゃった。
「す、凄い! え? どうしたんですか?」
起き上がった剣士は、死の痛みでのたうち回っているワシを見て慌てるのじゃ。
「ぎゃああああああ! こ、これを……ワシの刀の一本じゃ……」
ワシは苦しみながら古い方の刀を一本渡したのじゃった。
「正しく扱えよのう……」
「あ、ありがとうございます! で、でも大丈夫ですか?」
「ワシの自己満足じゃから大丈夫じゃ……」
ワシは宿に運ばれて一週間、死の苦しみを久々に味わったのじゃった。
ワシはペーガさんの武器を取り戻すために、剣士を眷属にしてワシの武器を一つプレゼントするのじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




