第209話「日記を読み終えて」
ワシの物語再開じゃぞ!
ワシはベッドから降りて立ち上がったのじゃ。記録装置にある文章は全部読み終えたからのう。
「よく頑張ったのう、ジーナ」
「えへへ、ありがとう、コン様」
ワシはジーナの頭を撫でながら、キツ様に尋ねるのじゃ。
「それで……最後の黒幕の痕跡は追えんのじゃな?」
「ええ、恐らくマルヒノ諸島からは出ていると思うんです」
「ではこの旅の先でぶつかることもあるじゃろう。とにかく、ワシも回復したしのう。次の目的地を決めたいのじゃが、オススメはあるかのう?」
「そうですね。クジラ国とかどうでしょう? マルヒノ諸島最大の国で、情報も集まりますよ」
「そうじゃな、そこへ行こう。それよりもワシ気になることがあるのじゃ」
ワシはある事を尋ねたのじゃ。それは今回の毒騒動が、魔王を生むために作られたのではという内容じゃった。
キツ様は否定も肯定もしなかったのじゃが、代わりに一つ教えてくれたのじゃ。
「毒が出回る前から、この諸島の国ではその名の魔王が生まれやすいから、付いた国の名だそうですよ」
「このトビウオ国もかのう?」
「そうです」
沢山ある国全ては回れんのじゃが、今は魔王も抑える神達もおるということで、ワシはワシの旅を進めようなのじゃ。
「それにしても、かなり大人数になってしまうのう」
「あたしとしては受け入れ拒否されても困らないんだけど」
アオがそう言うのじゃがそういうわけにもいかんしのう。頑張ってくれた礼はしたいのじゃ。
「私はアオさんといれたらそれでいいです」
「私はジーナ様といたい!」
「とりあえず聞いておくれよのう。ワシは全魔王を受け入れるのは無理じゃ。
じゃが、アオとアナとハフは、今後も助けになってくれると思っておるからのう。
受け入れたいと思っておるのじゃ。どうじゃ? ついてきてくれるかのう?」
三人は笑顔で頷いてくれたのじゃ。
「これじゃあ、あたしの役目はますますなくなるね。また旅に出ようかな?」
「テンカ! 寂しいことを言うなよのう! お主にはおっぱい要員としての役目があるよのう?」
「まったく、やれやれ、おいで、コン様」
わーいじゃ! 久しぶりのテンカの胸じゃ! と思ったらルナにしばかれたのじゃ。
「見ない間に随分エロ狐に育ちましたね?」
「ワシ元からこうじゃなかったかのう?」
「うーん……確かに」
ふふふじゃ。さて、グーシャとジーザスとアカミがご飯を食べ終えて戻ってきたのじゃ。
「仲間が増えて安心だね!」
「僕としては女の子ばかりで緊張するなぁ」
「ウチは食費が心配かな」
アカミの言葉にギョッとする皆じゃ。確かに人数増えたら食費が大変なのじゃ。
「アカミよ、ちなみにアオとアナとハフが来る前の食費はどれくらいじゃ?」
パチパチとどこからかソロバンを取り出して弾くアカミじゃ。
「このくらいかな?」
よく食べるのは誰じゃ? ルナかのう?
「私が食べるのは仕方ないじゃないですか。神力はエネルギー使うんですよ」
「一番食べてるのは多分あたしだねぇ」
テンカよ、お主の食は全部胸にいくのかのう?
これは魔物狩りだけでは足らなくなるのじゃ。特にハフもアカミも育ち盛りじゃし、ジーザスにはもっと大きくなって欲しいわい。ルナもまだまだ胸が……うむ、怒っておるのでこの辺にしとこうかのう?
とにかくいつか資金が尽きるわい! どうにかせねばならんのじゃ。
「旅をしているのに、情報提供型魔道具を使っていないのですか?」
キツ様が変な質問してくるのじゃ。なんじゃそれは?
「情報もお金になります。記録して発信する情報提供型魔道具を装着している旅人は、ギルドで一定量の資金が得られますよ」
「それはどこで?」
「クジラ国にはギルドがありますから、そこで申請してみてはどうでしょう?」
「ルナよ、是非頼むぞい。ワシやジーナはともかく、皆が飢えるのは見たくないわい」
ということで、大人数になって訳の分からん状態で、精霊たちの方をみたのじゃ。何か話し合っとるようじゃった。
「フェニ子よ、説明するのじゃ」
「まぁ今回はあたいの奥の手も使わずに済んだし、よしとしようと話してたところよ」
奥の手? なんじゃそれは?
「秘密よ、ヒ・ミ・ツ! まぁコンなら大体わかるんじゃない?」
その手は使わんで済むようにしたいのう。スイ子がルナに水魔法を使うように言ったので、ルナは水魔法を使ったのじゃ。
「はい、はい、実は……ええ、ええ。ウンディーネ様の方にも届いているんですね。困りましたね。こちらも又聞きなのでなんとも……わかりました、狐の神にも伝えます」
スイ子がウンディーネ様に聞いた限りでは、海の汚染も始まっておるそうじゃ。魔王の増加はやはり良くないのかもしれんのう。
死んだ魚の魔物たちは、消費されずに大量に溢れておるようじゃ。
魔王になる人達を何とかせねばならんのう。
ワシは体を動かしながらほぐすのじゃ。これからまた仲間たちとの冒険に心を躍らせながら、トビウオ国を離れクジラ国へと動き始めたのじゃ。
横を見ると皆強い眼差しで海を見ておったわい! ワシの知らぬ間に強くなったジーナとルナ達と共に行きながら……今度は負けないための強い力を求めるワシじゃった。
次の冒険に向けて動き出すのじゃ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




