第197話「ジーナの日記④」
どうやら酷い国政が行われていたようじゃな。
「我々も変わろうと思うのです。自分たちの利益にばかりかまけて民の心を無視する政策を取るのはやっぱりいけないことなので。特に笑税なんかがそうですね」
「笑税?」
「仕事中に笑ったりして真面目にしなかったら罰金をとる制度です」
「何それ! おかしいよ!」
私は首都にある宿で叫んだ。笑ったら罰金なんて酷すぎるね。
「考えたのは祖父なのですが、これがまたかなりの税収になったようで、この国から笑顔を奪った原因の一つなのです」
ルナに見えるようにして貰うのも限度があるよ。私は何故それを王宮で言わないのかを尋ねたの。
「明日謁見できるように取り計らいました。そこで父上を説得してもらえませんか?」
「わかった。私がやってみる」
そうして退室する王子たちを見送って、私はキツ様に相談していたの。
「この国の問題ある法律、リストとかないかな?」
「あたしでは取れないわね。監視役のためにあたしの禰宜は置いてきたし」
そもそも謁見をしない王だと言うからね。それをこぎつけただけでも、演説の効果はあったというものだね。
「そもそも王国でない国が王が治める国というのが矛盾しているところですね」
それは私も思ってたよ。なんでなんだろう? ここ首都だよね? トビウオ国もそうだったよね?
「民主国家にしようとしたところで、失敗して中途半端な独裁になったみたいね」
「もしかしたら、マダラのような邪神が守っているんじゃないですか?」
アオさんが割り込んでくる。
「可能性としてはありますよね。警戒はしていた方がいいと私も思います」
アナさんも頷く。ハフちゃんは難しくてついてこれなくて眠っているよ。
「テンカはどう思う?」
「あたしはジーナの護衛だからね。ジーナの自由にしたらいいと思ってるよ。好きなだけ暴れなよ。ジーナの意見が間違ってたら、あたし達が止めるからさ」
そっか、わかったよ。私は私の考えでいったらいいんだね? そうして考えてたら、夜も更けてきたし、ここの食事は美味しくないのか、皆あんまり食欲ないみたいだから、ゆっくり休むことにしたよ。
次の日の朝、軽く朝食を摂った皆は、王宮へと向かったの。
「行こう皆」
私たちが中に入るとスグに警護の人に止められたの。
「誰だお前たちは?」
「王子から話を聞いていませんか?」
ルナが話をしてみるの。
「狐の神達か、今回は謁見はなしだ。帰れ」
私はすかさず兵士さんの後ろに周り頭をこね回したの。すると次第に、柔らかくなる魂に兵士さんは愚痴を零したの。
「いや……すまない。王は女を集めて寝られていてな。王子たちも呆れているんだが、豪遊派なんだ」
まさかとは思うけど税金で遊んでないよね?
「そのまさかだ。俺達も止められる立場にないからな。困っているんだ」
「王子は何人いるんですか?」
ルナが尋ねると十三人と答える兵士さん。その内、真面目に考えてるのは五人みたい。
昨日の王子は第一王子で真剣に国家再建を考えてるってことみたい。
「おお、来てくれたか。すまない。今の今まで父上を叩き起こしていたんだ。大丈夫、今日の謁見は無理矢理でもやらせる。準備が必要だから少し控え室で待っていてくれないか?」
昨日の王子がやってきて言うの。私たちは頷いて控え室に案内してもらったよ。
その後三時間くらい待たされるんだけど、雑談してたらあっという間、時間になって謁見したの。
「待たせてすまないな、狐の神一行よ」
「本当にお待たせしてすいません……」
王様と王子様が挨拶するんだけど、私は特に気にしなかったから、話を先に進めるの。
まず笑税の廃止、これから言ってみてもらったよ、一番酷い税収だもの。そしたら、王様はこんな事を言うの。
「とんでもない! この国一番の税収ですぞ? いくら神様とはいえ、国を潰すおつもりか?」
「他の税金をあげることくらい、いくらでもできますよ、笑っちゃいけないなんて酷すぎます」
「まず真面目に働いているのに笑う必要がありますかな? それがこの税金の一番の理由ですが」
「笑ってたら……笑顔だったら真面目じゃないって言うの? そんなの酷すぎる! あなたはそのお金で笑っているくせに!」
いつの間にか私は見えるようになっていたみたい。
私の唐突の出現に驚いた、王様は難しい顔をしてこんな事を言うの。
「別に儂も遊んでるわけじゃないし、笑税は払っているよ」
「今さっき遊んでたって聞いたよ?」
「それは休暇で……」
誤魔化して時間いっぱいまで持っていこうとする王に私は白主を当てたの。
そしたらプルプル震えだして泣き出したの。
「すいませんでしたぁぁぁ! 儂も先代が生み出したこの笑税に溢れる金に甘えていたのです……完全オフの日は女と戯れることができますし……自分の笑税は痛くも痒くもないほど潤沢な金で満たされておりますし……」
遂に吐いたね。それじゃあ廃止してもらうよ? 自分のために税金を使うなんて言語道断だよ。
「うう、わかりまし……」
「そこまでにしてもらおうか」
奥から神様が現れたの。
「あなたは?」
「犬依ヌイ。見ての通り男神だ」
「ヌイ様ぁ……」
王にも見えてるみたい。ということはつまり、巫女がいるね?
「私はワビクです。巫女であり、この国の女王です」
巫女でありこの国の女王? どういうことだろう?
「私から説明しましょう。第十三王子の母ワビク様が現在の女王なんです」
巫女が結婚して子供を産んだってこと? それっていいの?
ルナの方を見ると、ため息をついていた。
「聖なる巫女も結婚はできます。ですがまさか、王族とは……」
「好きにしていいでしょう? ヌイ様は私の希望を叶えてくれただけなんだから」
私は二人に白主を当てようとしたの。そしたら黒主でガードされたよ。
「何をするのかな?」
「正しいのか確かめたかっただけだよ。あなたは白主は出せるの?」
黙っているヌイ様に私は叫んだの。
「答えて! あなたが邪神なら私は……」
「だったらどうする?」
「……全力で倒すよ」
私は王と王子を離れさせて臨戦態勢をとったの。
ジーナよ、戦ったのかのう? 大丈夫じゃったろうかのう?日記はまだ続くようじゃぞ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




