第191話「向き合い」
次の国で早速魔王と遭遇するのじゃ!
ワシらは竜宮城を通り外に出るのじゃ。竜宮城では恐れられておったわい。
アオとアナに足を止めさせて、頭を下げさせるのじゃ。弱い魔王たちは困惑しておったのじゃ。
じゃが今はこれでいい、そう思ったのじゃ。
いつか解決する日がくるはずじゃ。それまでにどこまで信頼を回復する事ができるかが鍵じゃ。
そのためにもまずはトビウオ国の人とも仲直りせねばならんのじゃ。
きっとまた迫害されるじゃろう。
それから守るのはワシの役目じゃが、二人が乗り越えねばならん壁じゃ。
「大丈夫じゃ」
ワシは自分にも言い聞かせて外を皆と歩くのじゃ。
外に出ると思ったより視線が強くないのじゃ。どうやらワシらを見えるようにルナがしとるらしいのう。
「無理はするなよのう!」
「大丈夫です。ある程度したら解除します」
トビウオ国は劣悪な国ではないので犯罪なども少ないのじゃが、それは鬼ヶ島と竜宮城で魔王を管理しとるからじゃ。
「許可は降りたわ。乗りなさい」
キツ様とスゥ様の許可が降りた船で次の国に行くのじゃ。クラゲ国に着くと、酷い悪臭がしたようじゃ。皆鼻を抑えるのじゃ。
「何があったんですか……?」
「また死体放置でもされてるんだろう」
ルナが尋ねるとアオが答えるのじゃ。
「皆気をつけて! 誰かいるよ!」
「クラゲがいる!」
ジーザスとアカミが叫ぶのじゃ。
「あたし達は見てるだけでいいのよね?」
キツ様の問いに頷くワシじゃ。
「アナ、下がってて! あたしが行く!」
「ダメじゃ。アオも行くのじゃ。甘やかしてはいかんぞい。これはお主らの問題じゃろ?」
「そうですよアオさん、私も行きます」
アオは困った顔をしたのじゃが、やがて頷いて叫んだのじゃ。
「それなら遅れないでね! 行くわよ!」
飛ぶ魔鮫を出したのじゃ。大きい魔鮫が飛んでいくのじゃ。クラゲに噛み付いて殺した瞬間毒で相殺されるのじゃ。
「ちぃ!」
「一応言うておくが、説得するのでのう?」
「わかってる!」
アナは魔蛇を出すのじゃ。アナとはアナコンダからきとるのかと思っとったのじゃが、小さい蛇なのじゃ。
「アナよ、もっと気持ちを大きく持って魔物を出すのじゃ!」
「そんな事言っても……」
いつも守ってもらっておったアナは弱いのじゃ。それでは勝てんのじゃ。
「己の魂にドンと胸を張れ、じゃ!」
グーシャとジーザスとアカミとテンカも白主を出して戦うのじゃ。
「大丈夫、あなたは強い」
アオがアナにいうのじゃ。アオザメとアナコンダのコンビじゃ!
「気持ち……気持ち……」
アナの背中をそっと押すワシじゃ。
「大丈夫じゃ、もっと心を表に出していいのじゃ」
アナの抑えられとる気持ちが爆発して大きな蛇を生むのじゃ。
「ゆくぞ、ジーナ!」
「うん!」
クラゲの魔王に向かっていくワシらじゃ!
「くるな……くるなー!」
泣き叫びながら魔クラゲを出しまくる彼女にワシとジーナは白主を出して走らせるのじゃ。
ワシの方の白主は直線的過ぎたのか潰されていくのじゃ。
じゃがカーブを描いたジーナの白主が魔クラゲの魔王に当たったのじゃ。彼女はそのまま涙して崩れ落ちて、蹲ったのじゃ。
ワシとジーナはアオとアナを連れてゆっくり近づくのじゃ。
「なんで……私が悪いの?」
彼女は泣きじゃくっておったのじゃ。幼い子じゃ。
「あなたは悪くないわ」
アオが言うのじゃ。
「ただ、環境が悪かっただけ」
アナが言うのじゃ。
「じゃあなんで!」
幼女が叫んだ時、ジーナが抱きしめたのじゃ。
「もう大丈夫。私たちが守るから。だから、優しさに包まれてほし……」
その時じゃった。
「ジーナ! 危ない!」
ルナが紫主で防ぐのじゃ。一匹の蛇の黒主がジーナを襲ったようじゃ。
「こちらへ来なさい」
クラゲの魔王は蛇の黒主によって引っ張られていくのじゃ。
「私の、魔王と共にある国に来なさい」
「魔王と共にある?」
「そう、全て好きにしていい。力こそ全て。あなたは才能がある。私と共に来ない?」
それは邪神蛇依マダラじゃった。ワシは叫んだのじゃ!
「いかんぞい! 闇に堕ちてはいかんのじゃ!」
じゃがワシの言葉は虚しく響いたのじゃ。
「いきます、私を連れて行って」
「いいわ、名前を教えて」
「ハフと言います。魔クラゲの魔王です」
「ハフ、ついてきなさい。ズーダ転移魔法を」
シュンと消える三人じゃ。くそうくそう! ワシの白主で魂が柔らかくなっとるのを利用されてしまったのじゃ!
ワシは地面に手を叩きつけるのじゃ。ルナが駆け寄り、ワシに言うのじゃ。
「今なら間に合います! 追いましょう!」
「追えるのかのう?」
「私が前に覚えたワープ魔法で五人までは一度に飛ばせます。追いきれるかはわかりませんが相手にも限度はあるはず!」
ワシはアオとアナを見たのじゃ。二人は頷いてワシの元に来たのじゃ。ジーナも来て、ワシは言うのじゃ。
「他の皆は留守番しておくれよのう」
「ちょっと待ちなさいよ。あたしたちはあなた達の監視役よ? あたし達も連れていかないなら許可できないわ」
「あたし達がここにいる事でコン様を抑制することはできるよ! あたし達が人質だと思ってよ!」
キツ様の言葉にグーシャが頭を下げるのじゃ。
「あなた達もそれでいいなら私は構いませんが」
ジーザスとアカミとテンカにも聞くスゥ様じゃ。
ジーザスたちは頷いてワシらに任せるのじゃ。
「じゃあ行きなさい!」
ワシらはキツ様の号令に気合いを込めて、ルナにくっつくのじゃ。
「行きます!」
ワシらはワープ魔法で邪神マダラたちを追うのじゃった。
マダラたちを追うワシらじゃ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




