第186話「ネト大陸から出発」
振り返りもしつつじゃ。
ワシらはホウジョウ王国から東に向かうのじゃ。すると港があったのじゃ。とうとうネト大陸から離れる日がきたようじゃ。
「中々長い旅じゃったのう」
ワシがそう言うと、ルナが微笑み、語るのじゃ。
「タツイ王国について、ジーナと再会して、テンカと別れて、マジルカ王国についてから色んな戦いがあって、ブローウィンドウ帝国ではコン様とジーナが戦ったりして。
ライトニングスター王国ではインドラ様と戦って、ホウオウ帝国は凄くて、イガコウガ帝国では陰謀と戦って。
ホウジョウ王国ではお祭りして、アイスウォール精霊国では冒険者を追い出して、シンジン国では神仙郷の事を聞いて。
濃い旅でしたね。経験も積んでこれから先の旅はきっと楽しいものでしょう」
そうじゃな。これからも困難があるじゃろうがのう。きっと楽しい旅にしてみせるわい!
邪神教という敵はかなり強大なようじゃが、ワシは負けんぞい!
さて、定期船でチケットを買い、ネト大陸を離れるワシらじゃ。
様々な想いが駆け巡り、ワシは水平線を見るのじゃ。空と海はあの線で繋がっているのじゃ。
船中で情報収集しながら次の場所のことを聞くのじゃ。
次は島国の集まりの諸島のそうじゃ。それらの国の間には海がありマルヒノ諸島というそうじゃ。
そしてこれから行く国はトビウオ国というそうじゃ。
定期船には様々な魔道具も載せてあり、トビウオ国も含めて、マルヒノ諸島の生活を支えておるらしいわい。
ワシらは船内食を食べながら話し合うのじゃ。
「次の国ではどんな冒険が待っておるかのう! 楽しみじゃ」
ワシがそう言うと、テンカは嬉しそうにこう言うのじゃ。
「またコン様達と冒険ができる日が来るとはね、あたしも大変だったんだよ」
アイスウォール精霊国に着いたテンカは真っ先に警戒されたそうじゃ。
じゃが神様であるポッポー様の眷属である事を伝えた後、フウチョウが飛んできて認められ、加護を受けたことにより、受け入れられたそうじゃ。
そして暫くアイスウォール精霊国で精霊の修行をしとったそうなのじゃが、もうそろそろ次へと行こうと思っておったところで冒険者が押し寄せたそうなのじゃ。
アイスウォール精霊国に恩のあるテンカは解決に奔走したそうなのじゃが、一向に話を聞いてもらえず、更には精霊に認められたテンカにコツを聞きに来られる始末じゃったそうじゃ。
そうやって冒険者たちの対応に追われる日々を送っておるとワシらと冒険した日々が懐かしく、また冒険したいと思っとったらしいのじゃ。
神であるワシの、神としての力の大きさを思い知ったテンカは語るのじゃ。
「あたし自惚れてたよ。魔鳥使いだから色々と便利だし、自分でなんとかできるものだと思ってた。
神様がいない事がこんなにも大変だなんて思わなかったんだ。人の我儘さにも呆れたしね」
力を求めるのは人の性じゃな。そしてそれに必死になる程、周りが見えなくなるのじゃ。
「これからはコン様がいてくれるから少し安心だよ。頼りにしてるよ?」
テンカが見つめてくるのじゃ。ワシは頷きテンカを抱きしめるのじゃ。
「ああ、なんかこの感じ、久しぶりね」
テンカは笑っておったのじゃ。
改めてテンカが仲間に戻ったことを実感したワシじゃ。笑いあって談笑するのじゃ。
船が着いてトビウオ国に入ったワシらは身分証を見せるのじゃ。
そうして通された先は活気ある港町じゃった。
活きのいい魚たちが売られておるのじゃ。ピチピチと跳ねておる魚に、貝や蟹まであったわい。
それらはワシの前世で言うたら、そうなだけで実際は角が生えとったり魔物として捕られた物じゃった。
「ちなみに魚にも魔物があるのじゃのう?」
「そうですね。普通の魚もたくさんいますが魔物の魚もいます。要するに海に関する魔王がいるんです」
ワシらは調査をするのじゃ。するとある情報が入ってきたのじゃ。
それは海中に住む魔王の話じゃった。竜宮城という、海底にある水依ウンディーネ様の加護を受けた場所に、匿われておるそうなのじゃ。
そこはウンディーネ様のおかげで空気が通っている場所なのだそうじゃ。
魚を生む魔王として囚われておるそうなのじゃが丁重に扱われておるらしく、亀の神である亀依ノロ様がその場所を守っとるらしいのじゃ。
害のない魔王たちだそうで、成ってしまった者をすぐに匿う体制ができておるそうじゃ。じゃがこの土地特有の魔王とはいえ、害のある魔王もおるそうじゃ。
「鬼ヶ島には鮫の魔王なんかもいて困っているんだ」
それならば討伐してもよいのではないかのう? とワシが思っておると、店の人はこう言うのじゃ。
「討伐する魔王と討伐しない魔王の差は何か? で議論がなされていて、害があるからと言って討伐するなら、保護されてる魔王たちも殺すべきと言う人達がいてね」
保護されてる魔王たちはこの国の産業に大きな影響を与えておるそうじゃ。それを殺すわけにはいかんのに、害のある魔王は殺すというのはどうなのだ? というわけじゃな。
「他の神様たちはどうしているんですか?」
「町の人達の意見に挟まれて何もできない状態さ」
説得するにも海中戦かのう? ワシにもちょっと厳しそうじゃ。じゃが……それこそ差別ではないかのう? 海の戦いが厳しいから避けるというのはワシ的にどうなんじゃ?
工夫を凝らせば説得できるかもしれんのに、せんというのは駄目なのじゃ。
「もう少し情報を集めましょう」
ルナがそう言うのじゃ。その通りじゃな、諦めるのはまだ早いわい。
できる限りの事をして、もし魔王から下位の神にしてあげる事ができたらやれることも変わるのじゃ。
ワシらはその鮫の魔王の情報を集めながら港町を見て回るのじゃ。
魚を買っていき、宿でアカミに調理をしてもらいながら、今後の事を話し合うとある事が見えてきたのじゃった。
それはウンディーネ様の加護がどのくらいあるかという事じゃった。
マルヒノ諸島、トビウオ国の問題に直面じゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




