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狐依コンの異世界大冒険  作者: 狐依コン
アイスウォール精霊国編

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第179話「吹雪」

吹雪がワシらの足を止めさせるのじゃ。



 段々寒さが増してくるのじゃ。ワシらは上着も羽織り、山越えをするのじゃ。

 次の小屋に着いた時には吹雪いておったのじゃ。

「食べ物が足りないんだ、申し訳ないけど……」

 ダイルさんが謝ってくるのじゃ。ワシらは自前の食糧を分けてあげて、一緒に食べるのじゃ。


 アイスウォール精霊国では食物を作っておらんのかのう? ワシの疑問をルナが聞いてくれるのじゃ。

「いや作っているよ、キャベツやほうれん草、ニンジンや長芋等ね」

「でしたら、なんで……」


「冒険者たちは大食いでね。いくら作っても追いつかないんだ」

 そしてそれはアイスウォール精霊国の国民にも影響を与えているというのじゃ。

「冒険者は魔物から守る代わりに食物を寄越せと言ってくる。我々も自衛する術があるにも関わらずだ」


 冒険者も必死なのだと言うのじゃ。自分が精霊に選ばれると信じて止まない冒険者たちの世話をすることになったアイスウォール精霊国の人達は、もうこの冬を越えられないかも知れないというのじゃ。

 それでホウジョウ王国に助けを求めたんだそうじゃ。


 元々ホウジョウ王国から冬までに多くの支援を受けていたアイスウォール精霊国は、この厳しい山越えも含めて、支援は期待できないと思っとるようじゃ。

 実際ホウジョウ王国も困っとったしのう。何とか冒険者を離れさせないといけないのう。


「雪崩とかの心配はないんでしょうか?」

「地形とかも確認して小屋を建ててるから大丈夫だよ」

 そうして一休みしてから吹雪が止んだ後でまた進むのじゃ。


 次の地点、その次の地点と、天候を見ながら進み、ダイルさんの土地勘で少しずつ歩を進めるのじゃった。

 これは確かにかなりきついのじゃ。ここまでして精霊の加護を受けられんかったら精神的に参ってしまうわい。


 じゃが我儘もどうかと思うしのう。そんな考えで精霊が力を貸すとも思えんからじゃ。

 ワシも一刻も早くここを抜けて、それを冒険者の皆に伝えたいのじゃ。

 焦る気持ちが前に行くのじゃ。


「コン様、焦る気持ちはわかります。でも今は確実に着く事が大切ですよ」

 その通りじゃ。ワシはこんな時でも出る魔物達に刀の一撃を入れながら冷静さを取り戻すのじゃ。


「ここでやっと半分だ」

 小屋に着いたら家主がほんの少しご馳走を用意してくれたのじゃ。

「余り物で申し訳ないですが」

 今回、ワシとジーナは食べなくてよいと言ったのじゃ。ルナとグーシャとジーザスとアカミの方が大切じゃ。


「ダイルさんも食べてくださいね」

「ああ、すまないな。冒険者たちも皆、あなた方のような人達だったら良かったんだがな」

 中にはワシらのような人もおるじゃろう?

「いるにはいる。ただそういう人は食いっぱぐれて去ってしまう。残ったのは強欲な人達ばかりさ」

 これは骨が折れそうじゃな。


「あちしが何とかするわ緑主は出せるかしら?」

 フウ子が提案してくるのじゃ。ワシら神の緑主より巫女の緑主の方がいいらしく、ルナが出すのじゃ。

「ルナ、風魔法を使えるようになってるはずよ。出してみて」


 ルナが力を込めると緑主から風魔法が出たのじゃ。それに向かって飛ぶフウ子は何かを語り始めたのじゃ。

「ええ、ええ、ですからあなた様に会いたいという狐の神を連れているのですが予想以上に吹雪が強く……そうですね。

 会うのは後でですが、今アイスウォール精霊国に向かってますので風を調整していただけたら、ああ! ありがとうございます。それでは」


 何やらフウ子は交渉してくれたようじゃ。

「今晩は休みなさい。明日からぐんぐん行くわよ」

 フウ子がそう言うので休むのじゃ。ベッドで横になっとるとフェニ子が飛んでくるのじゃ。

「コン、あなたはイフリート様には会いたいと思わないの?」


 それを聞いてワシは答えるのじゃ。

「ワシは全ての神に会ってみたいのじゃ。じゃからその時は頼りにしとるぞい」

 それを聞いてフェニ子は笑うのじゃ。

「わかったわ、期待しておきなさい」


 翌朝、風は穏やかで晴れ渡っておったのじゃ。

「なんてことだ、奇跡としかいいようがない!」

 ダイルさんも驚いておったのじゃ。

「歩を緩めるようなら、すぐに天候を戻すとフウ子さんは聞いたそうです。ダイルさん、よろしくお願いします」


 それを聞いたダイルさんは勢いよく歩き出したのじゃ。

「ついてきてくれ!今日中に着けるかもしれない!」

 意気揚々と歩くダイルさんは嬉しそうで、ワシらも笑顔になるのじゃ。


 そうして水分補給もしながら進み、日が沈みかける頃アイスウォール精霊国に着いたのじゃった。

「大変だ、ダイルさん! 異常気象だ! この時期にこんな晴れるなんて!」

「聞いてくれ、この方々がこの国を救ってくれるそうだ」


 ワシらは自己紹介したのじゃ。勿論ルナがワシとジーナを見えるようにしてのう。

「おお! 神様が来てくださるとは。ここ数年この地を訪れる神様なんていなかったのにありがたいことだ」

 ワシらはダイルさんと話す人の名を尋ねたのじゃ。


「ここ、カザミ村の村長をしている、ウィルという者です。よろしくお願いします」

 ウィルさんに、この村の現状を聞いたのじゃ。

「この村には現在、百人程の冒険者がいます。食べ物を要求され困っているところなんです」

 話を聞いておると、更に西に行くととんでもない事になっとるようじゃ。


 ワシは一刻も早く、この現状を覆すために動くのじゃった。

とうとうアイスウォール精霊国に着いたのじゃった。


ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!

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