第18話「イー街へ」
力を使って子供たちを救うのじゃ!
三日目の朝から夜にかけて何も起きんかったのじゃが、四日目の朝異変が起きたのじゃった。
「あと少しで着きますよ! どうしたんですか?」
元盗賊の女性が子供たちに声をかけたのじゃ。子供たちは震えながら蹲ってスライムの上に乗っておったのじゃ。
「確か子供たちの呪いはゴブリンの魔王から逃れるために両親が使った魔法が影響しとったのう」
もしかするとゴブリンの魔王に近づくにつれて、呪いが悪さしとるのかもしれんのじゃ。
元々は子供たちを守る魔法じゃ。おかしくなった今も子供たちをゴブリンの魔法から守っとるのかもしれんのう。
「少しの間辛抱してくれんかのう?」
「コン様を中心にして輪になるようにしてもらえませんか? ジーナ」
ルナの言う通りにしたジーナ。ワシの周りに十人の子供たちがスライムに乗って移動しとるのじゃ。
ルナは何かをブツブツと唱え祈りを捧げたのじゃった。
するとワシの体から十本の鎖が出てきて子供たちに繋がったのじゃ。
「あ! コン様だ!」
子供たちが声を上げてワシの方を見とったのじゃ。どうやら見えとるらしいのう。
「出来るだけ早くにイー街へ行ってください、ジーナ。コン様の神力がもたなくなるかもしれません」
なんかやばそうなのじゃ。とにかく急いで向かったのじゃった。
そしてイー街に着いたのじゃ。門番に身分証を見せて通ったのじゃった。
三人の元盗賊とはここで別れたのじゃ。
「ありがとうございます! このご恩は忘れません!」
「さよならバイバイなのじゃ!」
元盗賊達と別れてから、ギルドに向かい依頼をしたのじゃ。
「すいません、調査依頼を出したいのですが」
ルナが役員さんに話しかけておったのじゃ。
「調査依頼ですか?」
「この街にいる呪術師さんの居場所を調査して欲しいんです」
役員さんはワシと子供たちの状態を見て納得しておったのじゃ。
「すぐにこの街に登録している呪術師を調べますね」
ギルド役員さんは調べながらお金について聞いてきたのじゃった。
「神父さんからこれだけのお金は預かってるんですが……」
それはどう見ても大金じゃった。じゃが足りんらしいのじゃ。
「ワシらの金を足しても足りんかのう?」
「これなら足ります」
役員さんの答えにルナはワシを見ておったのじゃ。
「いいんですか?」
「ワシらはまた稼げばよい。今はこの子達を助けるのじゃ!」
「コン様ありがとう!」
子供たちが一斉にくっついて来たのじゃ。暑いのじゃ!
そうこうしてると呪術師が現れたのじゃった。どうやら魔導アイテムで呼び出されたらしい。
魔導アイテムとは魔法を使って造られたアイテムで、今回は客が来たら知らせるだけのアイテムらしかったのじゃ。
ローブを羽織りフードを深く被った怪しい男じゃったが、金を受け取れる事を確認したら仕事にかかってくれたのじゃった。
「もうそれ解いていいぞ、嬢ちゃん」
「神力と魔法の違いがわかるんですか?」
ルナに向かって言った男は笑ったのじゃ。
「当たり前だろう? それより早く解いてやれ。その神様の神力は残り少ないぞ」
ワシのことも神じゃと見抜いておったのじゃ。男は経験豊富なようじゃのう。
ルナは唱え祈りワシと子供たちの鎖を解いたのじゃ。
「あ! コン様いなくなっちゃった」
どうやらワシはみえなくなったらしいのう。そして男はブツブツ呟き、子供たちの呪いを解いたのじゃった。
子供たちは大はしゃぎで走り回っとった。
「ありがとうございます」
「金額分の働きをしただけさ。それよりこれからどうするつもりだ?」
子供たちをディー街に帰すのもありじゃが、神父さんからはイー街の神父を訪ねるように言われとったらしい。
「じゃあな」
男が去ろうとした時、ルナがもう一つ聞いたのじゃ。
「ゴブリンの魔王の居場所を知りませんか?」
ギルド内の視線が一斉にルナに集まったのじゃ。
「……知っていたら、とっくに討伐隊が組まれているよ」
確かにその通りなのじゃ。ではこの街にもおらんということかのう?
そもそも、もしおったら戦いになって街が滅ぶかゴブリンの魔王が死ぬかするはずなのじゃ。
男もそう考えとったようで、この街にはおらんじゃろうということじゃった。
男は去り、ワシらは子供たちを教会に預けたのじゃった。神父さんは孤児院の院長もしているらしく、子供たちの安全も確保されたのじゃ。
ワシらは残り少ない金額で宿を取り、体を休めたのじゃった。
「ねぇコン様、ゴブリンさんの魔王さんは本当にこの街にはいないと思う?」
寝る前に唐突にジーナが聞いてきたのじゃ。
「いたらこの街戦争になってますよ」
ルナが欠伸をしながら言ったのじゃが……。
「ワシはおると思うのじゃ」
「え? どうしてですか?」
それは感覚の話じゃった。ジーナが魔王になった時感じた波動のようなものをこの街に来てから感じとるのじゃ。
「じゃあ明日捜査ですね」
「うむ。今は備えようかのう。ゆっくりおやすみじゃ」
ワシらは次の日に備えてゆっくり眠ったのじゃった。
お金が減っていく問題もあるぞい。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




