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狐依コンの異世界大冒険  作者: 狐依コン
ホウジョウ王国編
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第175話「豊作祭」

豊作祭で、前話で立ち寄った店に寄るのじゃ。



 豊作祭の後半の日程は露店が昼から出ておって食べ歩きできることじゃった。

 前半には山車も出ていたようじゃがそれは見れなかったので残念なのじゃ。

 この世界の山車がどんな風になっとるのか見たかったのじゃがのう。


 するとルナが聞いてくれたのじゃ。山車だけでも見せてくれないかとのう。

 ショウさんとギョウさんは、祭りを管理している人に聞いてみたのじゃ。

「触れたり壊したりしなかったら見ていいよ」


 許可を貰ったワシらは山車を見てみたのじゃ。

「凄い! カッコイイ!」

 グーシャが叫び近づこうとするのじゃが、ジーザスが止めるのじゃ。

「触っちゃ駄目って言われてたでしょ?」


 その山車はシルフ様が乗るようにと作られた物だそうじゃ。所々に風の紋様が描かれておるのじゃ。

 人が乗れるスペースが設けられており、祭りを盛り上げる様にできておるのじゃろう。


 山車を見せて貰った後、映像魔法で祭りの様子を見せてもらったのじゃ。

 皆楽しそうにしておったわい! ワシらも後半を楽しもうと思ったのじゃった。

 本日は小雨が降っておるのじゃ。農家にとっては恵みの雨じゃよのう。


 雨合羽で動くワシらじゃ。ワシとジーナはいらんがのう! 昨日の店に着くと、昨日の女の子がおったのじゃ。

「豊作祭、どうでしたか?」

「楽しいですね。今日明日もあるんですよね?」

「今日明日は昼からも露店出てますからね」


 女の子も出かけるようじゃった。豊作祭を楽しむんじゃろうのう。

 邪魔しても何なので、ワシらは店を出るのじゃ。そして露店で傘をさしながら歩く人達をかき分けて色々楽しむのじゃ。

 そして雨が止みふわりと風が吹くのじゃ。


「何か食べていかぬのかのう?」

 ワシはルナに尋ねるのじゃ。するとルナは笑いながら言うのじゃ。

「良いところ見つけたんです」

 ルナが指さした先には、あの店の女の子がおったのじゃ。


「あ!」

 女の子が駆け寄ってきたのじゃ。

「楽しんでますか?」

「はい。ご両親の露店はどこですか?」

「こっちです!」


 そうして女の子の両親の露店に案内されるのじゃ。

「おお、この方たちが世話してくれた人たちか」

「素敵な人達ね」

 女の子の両親は二人共優しそうじゃった。


「どうぞ料理を食べていってください」

 そう言われるので食べてみるルナじゃ。

「美味しい!」

「でしょ! お父さんとお母さんの料理は絶品だよ!」

 グーシャやジーザス、アカミも食べてみるのじゃ。


「これは凄いね! めちゃくちゃ美味しい!」

「うん、これは露店のものとは思えない」

「調理器具も本格的だね、でも気になるよ?」

 アカミの言う通りじゃ。客が少ないのじゃ。値段が高いのもあるかもしれんのう。


「値段安くできないんですか?」

「妥協ができなくて困ってるの。これでもギリギリなのよ」

 売れなければ意味ないのじゃ。中々頑固な夫婦なようじゃ。

「もっと手頃なものでも美味しくできるはずなのに……」

 女の子がぼやくのじゃ。


 ワシとジーナは女の子の両親の前に立ち頭を柔らかくするのじゃ。

 すると二人は少し考えて、こう言ったのじゃ。

「もう少し値段を抑えてみるか……!」

 せっかくの料理じゃ、食べてもらいたいからのう。


「ウチ、協力しますよ」

 アカミが申し出て、材料の選別が始まったのじゃ。高い食材をほんの少しだけしか使わずに、味を損ないすぎないように気をつけるのじゃ。

 そうしてできた商品は最初の半額じゃった。


 すると露店の客は徐々に増えていき、繁盛したのじゃった。

「値段のバランスも商売のうちですよ」

 アカミが言うのじゃ。

「店と同じ感覚でいってしまったようだね。手軽に食べられるのが露店のいい所なのに、それを無視してしまっていたよ」


 笑う女の子のお父さんに、ジーナは呟くのじゃ。

「家族っていいよね」

「ジーナよ……ワシらも家族じゃよ」

「そうじゃなくて」

 ジーナは苦笑するのじゃ。

「血の繋がった家族。お父さんが心配になっちゃった」


 あれだけ酷いことをされた父親でも心配になるのかのう? そういうものなのじゃろうかのう?

「まぁ狐の神になった今会いにも行けないし、行っても仕方ないんだけどね」

 血の繋がりに未だ縛られとったジーナに一つアドバイスするのじゃ。


「過去よりも今、今よりも未来を選べよのう」

「うん、そうだね」

「例えば血の繋がりのある父親と、血の繋がりがなかったとしても育ての父親じゃったら、大切な方を選べばよい。どちらも選んでよいが、血の繋がりだけに縛られてはいかんのじゃ」


「それはどうでしょうか?」

 ルナが言うのじゃ。

「血の繋がりは大切ですよ。選ぶ基準になり得ます」

「ではもし血の繋がりがある父親が、ワシとの旅より自分の生活を支えてくれと言ってきたら、ワシは選ばれんのかのう?」


「そ、それは……」

「自分の意思を貫けということではないの?」

「そうじゃな、その時に本当に大切な方を選ぶべきじゃし、選んだなら後悔せぬことじゃ」

「選ばれなかった方は可哀想ですね」

 ジーザスが悲しそうな顔をするのじゃ。選ばれてこなかったジーザスじゃからこそじゃろう。


「選ばれる人間は、心が優しかったり、面倒見が良かったり、人と真摯に向き合う人じゃったりじゃ。もちろん他にも魅力があればじゃがのう」

「僕らはコン様になんで選ばれたんですか?」

 ジーザスが聞くのじゃ。


「お主らが助ける対象じゃったからじゃ。不満かのう?」

「いえ、それなら自分の不運も、この出会いに感謝したいと思います」

「あたしたちはコン様に救われたんだからね!」

 グーシャの抱きつきに笑顔で頷くジーザスじゃった。

選ばれる時と、選ばれない時があるのじゃよ。選ばれるような人間になりたいのう。


ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!

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