第16話「呪い」
飛んでいく魔法じゃ。〇ーラ的な物かのう?
ゴブリンの魔王に殺された両親とはエフ街の聖職者であったそうじゃ。聖なる魔法で十人の子供たちを守ろうと最後の力で守ったそうじゃ。
元々ディー街の出身であった二人は子供たちを魔法でディー街の教会に飛ばしたそうなのじゃ。
突然子供たちが降ってきた時、神父さんは驚いたそうじゃが、二人の魔法なら有り得ると思ったそうじゃ。
そしてエフ街の壊滅を報せで知った神父さんは子供たちを預かることを決心したのじゃ。
何をするにも引っ張られるように離れらない子供たちの世話には手を焼いたそうじゃが、自身にも子供がいて慣れておったそうじゃ。
子供たちはそれぞれ一歳違いだそうじゃ。中々にヤンチャなようじゃが、素直な面もありいい子達なようじゃ。
子供たちを連れてイー街への街道の入口まで来たワシらは門番に礼を言って出発したのじゃった。
神父さんは自身の子供がおるからついてこれんのじゃ。旅の安全を祈ってくれたわい。
暫く歩いてからジーナがスライムを出して子供たちを乗せたのじゃ。
十三体のスライムが進むのじゃ。子供たちは大はしゃぎじゃった。
「スライムから落ちないようにしてね」
ジーナはスライムに上手く命令して落ちんように形を変えさせとるのじゃが、無理に出ようとしたら落ちてしまうのじゃ。
何より十二歳から三歳までの子供がおるのじゃ。言うことを聞けという方が難しいのじゃ。
ルナは十五歳、ジーナは十四歳じゃ。お姉ちゃんじゃのう。
「銀髪のお姉ちゃん、水色の髪のお姉ちゃん! お腹空いた!」
子供たちが一斉に喚き出したのじゃ。
ルナとジーナは慌てて子供たちに食事を与えたのじゃった。子供たちも自分の兄姉は弟妹の世話を始めたのじゃった。
スライムに足が少し沈んだ状態でスライムたちをくっつけて移動させとったので、退屈なのか愚図りだす子供たち。
どうせ離れられんのじゃから、小さい子は大きい子に任せて歩いていくことにしたのじゃ。
そして疲れたらスライムに乗っていくのじゃ。ゴブリンの依頼がないように、出てこんのが幸いじゃった。
勿論でたらワシの出番じゃが、ワシはやる事なさそうなのじゃ。
「う、うあああん!」
暫くすると三歳の男の子が泣き始めたのじゃ。どうやらワシの出番じゃな。
ワシは頭を撫でてやったのじゃ。すると泣き止んだ男の子はキョロキョロと辺りを見渡したのじゃ。
「どうしたの?」
「誰かに頭を撫でられたんだ」
「ああ、なるほど。ふふふ」
ルナは可笑しそうに笑ったのじゃ。当たり前じゃ。
子供たちにはワシの姿は見えておらず、一匹だけ誰も乗っておらんスライムがおるように見えとるのじゃからのう。
「ジーナ、後は任せていいかな?」
「うん! ルナ、見せてあげて」
ルナはワシの方に向いて祈りを捧げたのじゃ。するとワシの方を子供たちが一斉に見たのじゃ。
「ガハハ! ワシは狐依コン! 神様じゃ。ずっと付いてきておったのじゃぞ」
「お、お、お化けだぁ!」
子供たちはびっくりして逃げようとしたのじゃ。バラバラに逃げたので離れられず、引っ張り合いその場に留まったからなんとかなったのじゃが、危なかったのじゃ。
「ま、待たんか! ワシはお化けではないのじゃ! 神様なのじゃ!」
自分で自分を神様と言うのは、変な感じがするのじゃが、この説明しかできんのじゃ。
「じゃあ飛んでみせてよ」
「魔法使えるの?」
「願い叶えてー!」
まぁ子供が持っとる神様のイメージなんてそんなもんじゃろ。じゃが神様とは人々を見守る大きな存在なのじゃ。
ここでワシ、自分で考え込んだのじゃ。ワシ本当に神様でいいのかのう?
「いいんですよ」
見るとルナが笑っておったのじゃ。ディー街を出発して一日目が終わろうとしとる。ワシは神様としてルナとジーナの旅を守るのじゃ。
「違いますよ」
ルナは少し怒っておったのじゃ。
「私たちがコン様の旅を守るんです」
ルナはジーナの手を握り言ったのじゃ。わけのわからん状態のジーナはとりあえず頷いておった。
そうじゃ、ワシの世界救済の旅じゃ。ワシは二人に感謝したのじゃ。
「ルナ、ジーナ、ありがとうのう」
笑うルナと何が何だか分からぬジーナじゃった。
ルナは神力の使いすぎで眠ったのじゃ。ワシは子供たちに基本的には触れられん。魂が固まった時触れることができるのじゃ。
じゃからいざと言う時はジーナのスライムが頼りじゃ。
ゴブリンは本当に出んらしいのう。ワシは念の為朝まで起きとったのじゃが、ゴブリンは現れんかったのじゃ。
これなら馬車でも行けたんじゃないかのう?
「コン様もそう思いますか?」
朝になって起きたルナが尋ねたのじゃ。
子供たちの護衛は別に他の者でも行けそうなのじゃ。そう思っとったら二日目の晩、苦難に襲われたのじゃった。
この世界でも人間にも悪い奴はおるのじゃ。それは盗賊と呼ばれる人間じゃった。
盗賊が出るのじゃ!
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




