第13話「再び街道へ」
武器を得たワシ無敵じゃ!
次の日、武器を得たワシはもう無敵じゃろう。鞘を引っ提げてご機嫌気分に歩いとったのじゃ。
もう一度シー街への街道へ行きゴブリン退治をしながらシー街で情報を集めようという事じゃった。
ワシらはギルドに行くとついでに依頼を受けたのじゃ。
それは護衛任務じゃった。商人をゴブリンから守るというものじゃ。行き先がシー街じゃから丁度いいのじゃ。
商人の人は女の子二人が護衛という事で不安になっとったのじゃが、ジーナのスライムの護りを見て納得しとったのじゃ。
荷馬車で移動する商人の前をスライムに乗ったワシらが行くのじゃ。
意外とスライム速いので安心してくつろげるのじゃ。
「ジーナさんはスライムを出し続けて疲れたりしないんですか?」
「私はなんともないよ」
「それでも限界はあるかもしれんのう。気をつけておくれ」
ワシはジーナの心配をしたのじゃ。すると顔を赤らめて下を向くジーナじゃ。
「何じゃ? どうかしたのかのう?」
「褒められ慣れてなくて……」
なるほどのう。そういえば今までも褒められる度に下を向いとったのじゃが、あれはそういうことじゃったのかのう。
「これからはいくらでも褒めてやるからのう」
「ありがとう……コン様」
暫く街道を進むとまた木々が増えてきたのじゃ。そして気配を察知したワシはルナに伝えたのじゃ。
「おじさん、停めてください」
馬がビックリして慌てないように停めさせてから、スライムを多めに召喚したジーナがスライムの壁を作ったのじゃ。
そしてワシはスライムから降りてゴブリンの元へ向かったのじゃ。
ワシの事に気づかんゴブリンはマヌケじゃ。
スライムの魔王の時は、最初は気づかんかったのじゃが、覚醒してからは気づかれたのじゃ。
後になってわかったことじゃが、街道におる魔物は魔王の支配から離れとるようじゃった。
とにかくワシは商人の方を木の影から見とるゴブリンの首を後ろから刎ねたのじゃ。
居合切りで思いっきり刎ね飛ばしたので、綺麗に首が飛んでいったのじゃ。ワシは一応元剣道有段者じゃ。
血は出んかったのじゃ。魔物と言っても普通の生き物ではなく、魔力の塊のような存在らしいのじゃ。
「死体をどうするかのう?」
「素材になるものはありますか? おじさん」
「本当に神様なんているんだね。ゴブリンの死体は私が責任をもって素材に変換しよう」
ワシのことも認知してくれた商人のおじさんは、ゴブリンの死体から爪や牙を抜き取って、袋に入れたのじゃ。
後は焼却するだけだというところで、ジーナがスライムに溶けさせてはどうかといったのじゃ。
スライムに消化させた後、ワシらは再び街道を進んだのじゃった。
シー街へは休み休みで行っても二日くらいだそうなのじゃ。それ程遠い街ではないらしいのう。
馬も休ませんといかんから、無理に早く行くわけにも行かんし、のんびり行くことにするのじゃ。
ワシらは少しずつ現れるゴブリンを倒しながら進んだのじゃった。
「コン様の刀、切れ味がよくてよかったです」
「ワシも実践で刀を持ったのは初めてじゃったが、体の一部のように振り回せるわい」
「コン様凄いなぁ」
そんな会話をしとると夜になったのじゃ。ワシはルナとジーナに寝るように言うたのじゃ。
「コン様は……」
「ワシは多分寝なくても大丈夫なのじゃ。今回は刀があるからそんなに力を使っとらん。移動もジーナのスライムがあって楽チンだったしのう」
じゃからワシは二人に寝るように言うたのじゃ。
「一応スライムに守らせるね」
ジーナの心遣いは嬉しかったのじゃ。じゃが敢えてそれをせんように言うたのじゃ。
「暴走したら元も子もないのじゃ。ワシに任せてゆっくり眠るとよい」
ジーナは二体のスライムを出して伸びるように命令したのじゃ。そしてその上に寝転んだルナとジーナはすやすやと眠っていったのじゃった。
商人さんは荷台の見張りのために起きとるのが普通のようじゃった。
ワシは気配を察知して素早く動いたのじゃ。
「一! 二! 三! 四! 五!」
近い順から五匹のゴブリンを倒したワシは、突然襲いにきて突然倒されたゴブリンに驚いとったのじゃ。
「なんと言ったらいいのか、えっと……コン様でしたっけ」
ルナとジーナが寝とるのでワシがどこにおるのかわからず空に向かって話し出す商人のおじさん。
「二人の少女と神様の旅に幸がある事を祈りますよ」
ありがたい話じゃ。ワシらの旅の幸せを祈ってくれる人がおるということはのう。
朝までゴブリン退治に勤しんだワシは疲れてしもうたのじゃ。
夜の方がゴブリンは多くなるのじゃ。どうやら昼間は潜んでおるらしいのう。
二日目は昼間はジーナに任せてスライムの上で休ませてもらったのじゃ。
寝ずじゃが苦ではなかったのでゴブリンの居場所だけ教えてジーナに任せたのじゃった。
神様は寝なくても大丈夫なのじゃ。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




