第112話「ホムラ街へ」
勉強はワシも苦手じゃ!
ワシらはスイミ街に少し滞在し青空教室でエルナと勉強した後、旅を続けるためにエルナと別れホムラ街を目指すのじゃ。
「旅の幸運を祈っています!」
エルナと手を振って別れ、ここから南東へと向かうのじゃ。
「ホムラ街では何を学べるでしょうか?」
ルナがそう言うと、グーシャが項垂れるのじゃ。
「勉強はもういいよ〜」
「あはは、でも僕は知ることは楽しいけどな」
グーシャにそう言うジーザスじゃ。
「私は先生が何を話してるかよくわからないんだよね」
「それそれ〜! ジーナ、あたしも何もわからないの」
ジーナは話の内容が理解できないようじゃ。それはグーシャも同じようで、それが苦痛のようじゃった。
確かに意味のわからない事を延々と言われると困るのじゃ。ジーナとグーシャは魔法や世界に関してあまり関心がないようじゃった。
じゃがジーザスは違うのじゃ。
「僕は昔から本を読むのが好きだったから、勉強は好きなんだ」
「そうなの? 意外だね!」
「僕はいつも独りだったから本を読むしかなかったんだけどね」
「あ……ごめん」
グーシャに話すジーザスじゃ。独りの時に本を読んどったのじゃな。
「グーシャは商人の娘じゃろ? 勉強させられたのではないのかのう?」
「させられたよ! 大嫌いでいつも逃げてたけどね!」
「……グーシャ、321×12はなんじゃ?」
「えっと、3852かな?」
ワシはルナから紙を借りて計算してみるのじゃ。
「うむ、合っとるのう。暗算は得意そうじゃな」
「計算はめちゃくちゃやらされたよ〜」
「私は巫女になった時、ある程度の勉強をさせられましたから勉強は苦ではありません。ただ私のいた町が田舎なので勉強のための資料がほとんどありませんでしたが」
だから、こういう機会に勉強したいというルナはスライムの上で、スイミ街で買った教材を読んでいたのじゃ。
特に魔法の魔素の強化のための本を読み漁っておったわい。強くなりたいんじゃのう。まだまだ役に立ちたくて焦っておるのかもしれんのう。
「それにしても、エルナさんの話は面白かったね」
ジーザスがそう言うのじゃ。
「どこが?」
グーシャはスライムに寝っ転がりながらつまらなさそうに言うとるわい。
「僕、上位の神様が二人以上いる話を聞いて、ある神話を思い出したんだ」
お、興味の湧く話じゃな、何じゃ?
「それはこの世界を創った神様は最初は一人だったけど、その神様が世界と同時に神様を創ったという話なんだ」
ふむ、それは……ワシを創ったのと変わらんのではないかのう? と思ったのじゃが、ジーザスは続けるのじゃ。
「だから魔依エッセンス様も、創られた神なんだろうなって。この世界を救っている中位の神様は動物の神様だけど、他の上位の神様もまた、世依ワールド様に創られたんじゃないかな?」
つまりワールド様は最上位の神であり、他にも上位の神がおるという予想じゃな?
「それはちょっと違うと思いますよ」
これにはルナが反論じゃ。
「私もその神話は見た事があります。だからこそ、世依ワールド様が最上位だとは思いません。更にその上がいると思います。ワールド様は管理者であるだけな気がするんです。創るのは別の神ではないかと思います」
創造神は誰か? この謎を解くにはワールド様に聞くしかないじゃろう。ワールド様に会えたら、聞いてみるとしようかのう。
さて、ワシらは歩を進めて、ホムラ街に着いたのじゃ。
ギルドに向かったワシらは早速青空教室について尋ねたのじゃ。
すると今は休校しているという事じゃった。理由を尋ねてみると、イジメが原因のようじゃ。
ワシらは何とか解決したいと願い出て、そのイジメられた子の元へ行くのじゃ。
ワシとジーナは、ルナとグーシャとジーザスを置いて、家の中にすり抜けて入っていったのじゃ。誰にも見られんからのう。不法侵入じゃがのう。
そうして部屋の隅で縮こまるこの頭を撫でてあげたのじゃ。
ジーナが抱きしめるのじゃ。すると段々元気になってきたのじゃ。
その子は立ち上がり親に何かを話したのじゃ。そして誰かが訪問してきたのじゃが、その人と明るく話したその子は、用意されたご飯を元気に食べたのじゃ。
あまりの変わりように驚いた両親さんじゃったが、元気になったのならと気にせんようじゃった。
次の日、学校が再開されると聞いてワシらも参加するのじゃ。そしてイジメっ子が昨日の子をイジメようとしているのを見て、ジーナと共に、心を入れ替えさせるのじゃ。
頭を柔らかくして、魂を正しくするのじゃ。イジメっ子達は反省して、次々に謝ったのじゃった。
この不思議な現象を見ていた先生たちは、ルナに気付き、お礼を言ったのじゃった。
「それは私の神様、コン様に言ってください」
ワシとジーナを少しだけ見えるようにしたルナは、ワシらを紹介するのじゃ。
「私の事も、ジーナ様って言って欲しいな」
そのジーナの言葉に、吹き出したルナは、コホンと咳払いして言うのじゃ。
「ジーナ様がそうしてほしいならしますよ」
すると苦笑いしたジーナは、頬を掻きながら謝るのじゃ。
「ごめん、やっぱり『様』はつけなくていいや。違和感が凄いね」
ふふふと笑ったルナはあまり神力を使いすぎないようにして、ホムラ街の青空教室に臨むのじゃった。
色々な考察と、人助けをするワシじゃった。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ




