第104話「襲われたワン村」
村へ向かうと何やら騒がしいのじゃ!
ワシらはワン村に向かって進むのじゃ。すると村が見えてきたのじゃが、様子が変じゃ。
ワシらは急いで村に向かうのじゃ。するとゴーレムが村を襲っておったのじゃ!
人型の土の塊、どう見てもゴーレムじゃろ。
村人が必死に交戦しとるが押され気味じゃ。ワシらは加勢するのじゃ。
ジーザスは魔犬では歯が立たんのじゃが、ここで白主の力を発動するのじゃ!
白い魔犬がゴーレムを噛み砕くのじゃ!
グーシャも白いシーフで応戦するのじゃ。ナイフがゴーレムを崩すのじゃ!
グーシャの白いスライムも体当たりでゴーレムを壊していくわい。
ルナは苦戦しておったのじゃ。赤主に乗せた炎ではゴーレムは倒せんのじゃ。
ジーナとワシは神力を纏って狐依パンチで倒していくのじゃ。
「大丈夫ですか! 何があったんですか?」
「おお、すまないね。魔族が暴れているんだ」
やがて激戦場所に近づくと、金髪の魔族がゴーレムを使役しておったのじゃ。
じゃが魔王のように見えるのじゃった。ウェアはある程度の距離の狼を使役することしかできんかった、なのに、前におる男はあちこちの地面からゴーレムを作り出しておるのじゃ。
ワシは皆に道を作ってもらい掻き分け進むのじゃ。
「何をやっとるんじゃ! やめんか!」
ワシが魔族の男に話しかけると、こちらを見た男は鼻で笑ったのじゃ。
「何かと思えば神か。我ら魔族を敵と見なすお前らが何を言う?」
「何故お主は人を襲っておるのじゃ!」
「そりゃあ、俺が先に襲われたからさ」
うっ、と口を噤んでしまうのじゃ。そうか、この人もまたウェアのように迫害されたのかのう?
「話はわかったのじゃ。襲った人に謝らせるわい。じゃから矛を収めてくれんかのう?」
「ほう? 神の癖に魔族である俺を嫌わんのか?」
「嫌わんわい。それよりお主、ウェアという妹がおらんかのう?」
「!?」
ワシがウェアの話をした途端、強ばった顔をする彼じゃ。そしてゴーレムを集めだしたのじゃ。
「俺の妹をどうした! 殺したのか?」
「待たんか! ワシは一緒に旅をしたことがあるだけじゃ! その時に、ウェアからゴーレム使いの兄がおる事を聞いたのじゃ。
そして、兄を見つけたら、ウェアは自由に旅して楽しく生きている。安心して旅を続けてくださいと伝えてくれと言われたのじゃ」
「……妹が何使いかを言えるか?」
「狼使いじゃ」
「狼使い……そうか……あの子も旅を……」
「経緯を聞きたいし聞かせたいのじゃ。落ち着いて話ができんかのう?」
「この村ではもう無理だ。村の外に出てくれるか?」
「わかったのじゃ」
ワシはルナに伝えて村人に攻撃を止めるように言ってもらったのじゃ。少しずつ距離をとって、ワン村からマカル街に向かう出入口へと向かったのじゃ。
ワシらは村を出て、少し離れたところで座ったのじゃった。
それでもゴーレムを離れさせないのは警戒心というよりは彼の旅の基礎的な物のようじゃった。
「先に聞いておきたいのじゃが、お主には妹がおって、彼女が産まれる前に、お主は旅に出たのじゃな?」
「……本当に知っているようだな。親のやつらが軽々しくウェアに話したとは思えんが、ウェアから聞いたのか?」
「そうじゃ。ウェア自身も詳しくは知らんようじゃった。じゃが兄がいることだけを聞いていて、探す旅に出たのじゃ。お主の名を聞きたいのじゃ」
ワシは自身も名乗り話を聞くのじゃ。
「俺はコーデ。俺は魔族の里で育ち、妹が母のお腹にいて産まれそうな時、父親と喧嘩して旅に出た。人間に否定的だった魔族の奴らに納得いかなくて飛び出してきたんだ」
「お主、何歳で魔族の里を飛び出したんじゃ?」
「十六だ。もう今は三十を超えている」
コーデは色々な話をしてくれたのじゃ。魔族は人間を嫌うところがあるらしいのう。
もちろん人間に興味がある魔族もおるそうじゃが、殆どの魔族は人間嫌いじゃ。
それは歳を取っている者ほどそういう傾向にあるらしいわい。
じゃがコーデはそれが納得いかなかったのじゃ。人間の文化を真似て生活する癖に人間を見下す魔族が許せなかったようじゃ。
じゃからコーデはその目で人間を見たかったらしいのじゃ。
じゃがデス大陸を出てから現実を知ったらしいわい。人に石を投げられ、神に殺されかけ、そんな旅だったようじゃ。
そうしていつしか人や神に仕返しをしるようになったらしいわい。
「鼬の神と遭遇せんかったかのう?」
「そんなに前じゃない話だな。巫女を殺した」
きっとここにフェレ様がおったら殺し合いになっとるじゃろうのう。
「お主、これからどうするのじゃ?」
「デス大陸に帰っても良かったが、気が変わった。ウェアを追おうと思う。髪型などの見た目を教えてくれないか?」
「金髪のポニーテールに黒い肌じゃ。お主に似ておるからわかるのではないかのう?」
「そうだな。母に似てそうだ。ありがとう。お前と話して少し気が晴れたよ」
「ひとつ教えておくれ。魔族は魔物を使うんじゃろう? お主はゴーレムという土の魔物を使っとるわけじゃが、生み出しておるように見えるのじゃ。どういう理屈じゃ?」
それを聞いてコーデは魔族が魔物を扱う秘密を教えてくれたのじゃ。
「魔族はその種類魔物特有の物質を操って使役するんだ。その種類の魔物の中にはそれが合わない魔物もいるから使役できない時もある。
俺は土の物質を操るんだ。だからゴーレムという魔物を生み出し使役することが出来る。割と強力な力なんだぜ?」
確かにそれはかなり強いのじゃ。今まで迫害されてきながら生きていた理由がわかったわい。
「ワシはお主を断罪はせん。お主が人を襲うのは止めるが、お主の道を邪魔は出来んのじゃ。人と共存できる道を探して欲しいと思うわい」
「そうだな。とにかく俺は行くよ。ウェアに会ってみたい。もし、いつかどこかでお前らと、ウェアと一緒に会えたら、その時はまた話そう」
「うむ。達者でのう」
ワシらはマカル街へと向かうコーデに手を振りながら、ワン村に入っていったのじゃった。
ウェアとの依頼をこなす事が出来たワシら。コーデがウェアと会うことが出来るように祈るのじゃった。
ここまで読んでくださりありがとうなのじゃ!続きを読んでくださるとありがたいのじゃ!




