プリゴジンの乱への一考察
今回は、一瞬で終わりを迎えた、プリゴジンの乱について考えてみたいと思います。
まず、総評ですが、乱は失敗に終わったとみています。
報道などによれば、一部、プリゴジン側の要求が通ったようにも見えますが、本質的にはプリゴジンの敗北でしょう。
現時点では消息不明で、生きているのか死んでいるのか想像するしかありませんが、生きていたとしても、総評に変化はありません。
奴は失敗しました。
なぜ失敗したのかについては、歴オタ目線で言えば簡単です。
・ルビコン川を渡ったのに、ローマに突入しなかったから
これですね。
賽は投げられた、目指すはローマ。
フォロ・ロマーノを制圧してこそ勝利です。
奴の場合はクレムリンへの突入。
そこにしか勝利はありませんでした。
プリゴジンはこれをしませんでした。
詳しい事情は分かりませんが、モスクワの200キロ手前で進軍を止めました。
報道を見る限りでは、ロシア軍に軍事的に阻止されたようではなさそうです。
なのに自発的に進軍を停止しました。
馬鹿です。
馬鹿としか言いようがありません。
カエサルも私と同意見でしょう。
ルビコンを超えたということは、後戻りができないということです。
なに止まっとんねん。
この手の博打は、止まったら負けです。
全力で全財産をベットしなければならないのに、プリゴジンは日和りました。
腰抜けです。
ここで日和るぐらいなら、最初から賭けに出なければよかったのです。
プリゴジンの最大の敗北は、ワグナーの実働部隊から切り離されたことです。
報道によると隊を離れ、一人ベラルーシに向かったようです。
これで奴はただのジジイになりました。
ぷーちんやロシア軍が怖いのは、ワグナーの純粋な軍事力であって、プリゴジン本人ではありません。
傭兵部隊を指揮統括する存在が怖いだけです。
それを手放した段階で、敗北確定です。
生きているか死んでいるかは、些細な事柄となりました。
・なぜ止まったのか
ここからは適当ぶっこいた推察になります。ご了承ください。
① 同調してくれる勢力が現れなかった。
特にロシア軍の中に、同調する部隊が現れなかったことが、大きいでしょう。
良くて静観です。
奴が率いていたワグナーの部隊は、二個大隊程度の戦力とのことですので、これではモスクワの制圧は不可能でしょうね。
お友達がいないから、寂しくなっちゃったのね。
どこからか仲間が現れるなどと、希望的観測にもほどがあります。
② ぷーちんが怒った
国営放送で怒りの演説をしましたね。
あれも足を止めた要因の一つだと思います。
どうして怒られないと考えたのかについては、謎です。
個人的関係に重きを置いたのかもしれませんが、普通に考えるとあの反応は当然です。
誰だって怒ります。
もしかしたら、自分に味方してくれると考えたのかも。
③ 御所巻き説
私が参加している歴史系コミュニティーでも語っている人がいましたが、今回のプリゴジンの乱は、室町時代に見られた、「御所巻き」という作法? に近いものを感じます。
御所巻きとは、幕府に要求を通したい勢力が、武装して大人数で、将軍御所を包囲する行動の事です。
悲しいかな、ちょいちょいありました。
寺社勢力の強訴に近いものが有ります。
この「御所巻き」、一見するとクーデターのようにも見えますが、クーデターではありません。
武装勢力側には、足利将軍家をどうこうするつもりはありません。基本的には。
武器を片手に御所を取り囲んではいますが、あくまでも陳情という事になっています。
偶に事故って血を見ることもありますけど、大体において、要求も通ります。徳政令とか、将軍の近習の追放とか、管領の更迭とか。
要求が通ると、武装集団は解散します。
もちのろんで、幕府からお咎めもありません。
プリゴジンは、これを狙っていたのかもしれません。
まさか21世紀になって、御所巻きが見られるなんて、たまげたなぁ。
④ 君側の奸を除く
厚かましいことに、プリゴジンは自身の事を、正義の味方だと考えている節があります。
残虐非道の傭兵隊長が正義の味方とは、ど厚かましいにもほどがありますが、奴の主観ですので仕方ありません。
本気で、国防相や参謀長の責任を問うていたのかもしれません。
だから、この二人の解任するという、政権側の言葉を信じたのかもしれません。
だとしても、口約束なんですけどね。
馬鹿です。
ロマンチストで馬鹿です。
失敗しないはずがありません。
・今後の展開
全く分かりません。
なら、書くなよ。
しかし、ウクライナ側にとっては悪い話ではないと感じます。
ロシアの内部分裂は、望ましいところですからね。
ただ、今回の騒動で驚いたのが、ロシア軍の静観ぶりと、一部のロシア国民のプリゴジンへの支持です。
モスクワまで進撃しているのに、誰も阻止しないとは、どういこっちゃ。職務放棄ですよ。
陸上部隊がいなかったとしても、ロシア軍には航空戦力が残っているはずです。
しかし、今回の騒動で、数機のヘリが撃墜されたようですが、主力の航空戦力は最後まで登場しませんでした。
どうなっているのか不思議でなりません。
もしかしたらロシア空軍は、即応体制に無いのかもしれません。
これはウクライナにとっては良いニュースですね。
残虐非道の傭兵隊長を、熱烈支持するロシア国民の姿にも衝撃を覚えました。
多くのロシア国民が、今回の戦争を支持している一例に思えます。
価値観の違いを如実に感じ取れました。
・最後に
ぷーちんとプリゴジンはズッ友です。
実に似たに寄ったりの人物です。
類は友を呼ぶのでしょう。
両者とも、甘い予測、自分勝手な願望、軽い気持ちで大事件を引き起こしました。
失敗する結論も同じでしょうね。
早いか遅いかの違いだけでしょう。
終わり
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