挟まれたメモ用紙
題 ケーキ
人の栄華を詰め込んだケーキ
黄金のソースが塗りたくられ
宝石が食感のアクセント
最上の音楽と共に
我らが王に献上される
王はケーキを切り分け
臣下に与える
政治のチーズ
法律のチョコレート
軍隊のストロベリー
経済のマスカット
どれも甘くて、腐ってる
文化のメロン
父が受け取る
父はよだれを垂らしてる
垂れたよだれが私に落ちて
アクセサリーを輝かせる
王の皿には何もない
王の瞳には、私がいた
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題 悩み
王への詩は
味がなくてはならない
匂いがなくてはならない
深みがなくてはならない
想像がなくてはならない
情景がなくてはならない
意味がなくてはならない
感動がなくてはならない
でなければ
王は何も口にしない
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題 献上歌:穴
獣は
地平線を喰い殺す
大地を引き裂き
川を血まみれにして
空に向かってゲップを吐く
星の巨人が立ち上がる
快晴の風をたなびかせ
自然の慟哭で身を包み
浄化の涙を一粒流す
巨人の拳は
獣を砕き
巨人の足は
獣を潰す
命の糧が、広がっていく
巨人は宙へとその身を還し
魂だけが、穴となる
命を産む、穴となる
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題 献上歌:夢
夢幻に咲いた花
炎に包まれた境界線
その中で
双子の兄妹が笑ってる
兄は言う
いつ目覚めるのかと
妹は言う
あともう少しだよと
どこまでも続く草原に
見慣れたお家が建っている
一瞬
中へと移動して
茶番劇を繰り広げる
長年
外へと逃げ出して
境界線を反復する
畢竟
布団を投げ出して
境界線を冷却する




