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キャンディから新しい手紙が届いた。
私と結婚してからは、届く頻度が減った。
旦那である私に遠慮しているんだろうか。
結婚したことは書かれていなかった。
彼女の手紙には、ただ庭に何の花が咲いて、綺麗だったので切ってもらって部屋に飾ったとか、そんな日常の些細な幸せが書かれている。
それが何とも言えない幸福感を私に齎してくれる。
今回も癒されたよ。ありがとうキャンディ。
思わず口角が上がってしまった。
そんな旦那様の姿を、妻は見ていた。
あんな幸せそうな顔で手紙を読んでいる。
私には夜会以外では見せてくれない柔らかい笑みで。
旦那様には好きな人がいるんだ。
だから政略結婚で好きでもない私も結婚したから、義務的に外では仲睦まじい夫婦を演じるけど、本当はその人と結婚したかったんだ。
それで、その人に悪いから私に手を出さないのね。
なんか今までのモヤモヤしたものが、スッと納得出来た。
それほど好きなお相手なら、いつかその彼女を邸に呼び寄せるかもしれない。
愛妾とか。
でも、もしそうなったとしても、私は想い合う2人の邪魔なんかしないから安心して欲しい。
私は離れに移って細々と暮らそう。
うん。それがいい。
それが私が引き裂いてしまった2人へ出来る唯一のことだろう。
旦那様の恋人は、この邸に一体いつ来るんだろう?
旦那様からは何も聞かされていないし、もしかしたらもう終わってしまったとか、別宅があったりするのかもしれない。
でも、夜は屋敷で寝ているわね。
そんなことを思いながら、慎ましやかに暮らすこと2年。
さすがに、夜会でも白い結婚の疑惑や、嫁側に問題があるのでは?という噂が出ている。
そして、そんな噂を聞きつけた両親が心配して、マグノーリエの屋敷やってきた。
「メル、まだ子供は出来ないのか?」
「えぇ。そうなのです。」
子供ができる行為などしたことがないのだから出来るわけがない。
でも、そんなこと、言えない・・・。
「メルに何か問題があるといけない。私たちも付いていくから病院に一度行かないか?」
「病院には行きませんわ。私の旦那様はとても優秀な魔術師ですもの。病院など必要ありません。」
病院など行けるわけがない。病院に行けば白い結婚がバレてしまう。
せっかく旦那様が外では嫌々ながら仲睦まじい夫婦を演じてくれているのに、私がそれを台無しにするわけにはいかない。
「そうか。まぁ、子供は授かりものだからな。あまり思い詰めたり焦ったりしてもよくないからな。」
「そうですわね。気をつけますわ。」
正直心配してくれる両親に隠し事など辛いが、私は侯爵夫人ですもの。これくらい我慢しなければいけませんわ。
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