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第9話 合格発表

 翌日。

 少し痛む頭をさすりながら僕は目覚める。

 気をつけてたけど、少し飲み過ぎちゃったみたいだ。今日は昨日の面接の結果が発表されるのに。


光の治癒(ラ・ヒール)


 頭に手をかざして、魔法を発動する。

 すると一瞬で頭がシャッキリする。ふう、これで良し。


「良し、じゃない。光魔法を二日酔い治しに使うなんて罰当たりな子ね」

「あ、おはようセレナ」


 セレナのお小言を華麗に受け流しながら、自室を出る。するとキッチンの方からいい匂いがしてくる。


「おはようございます、カルス様。もうすぐ朝食が出来ますので珈琲を飲みながらお待ちください」

「うん、ありがと」


 外のポストから新聞『王都タイムズ』を持ってきて椅子に座る。

 これを読みながら珈琲に口をつける。これが王都に越してきてからの僕の朝の慣習ルーティンだ。

 新聞には王都で起きたこと、周辺の魔獣情報、他の国のこととか色々なことが書かれている。どれも僕には刺激的な情報だ。


「今日魔法学園の合格発表だって大きく載ってる。みんな気になるんだ」


 なんだか少しドキドキしてきた。ちゃんとAクラスに入れてるかな。

 もし駄目でも成績優秀なら上のクラスに移動できるチャンスはあるみたいだけど、クリスとジャックと別のクラスになるのも嫌だし、ちゃんとみんなでAクラスに行きたい。


 そんなことを考えながら朝食を済ませ、学園に行く準備を済ませる。すると、


「カルスー! 来たわよー!」


 そう声がしたかと思うと、勢いよく扉が開く。そういえば新聞を取りに行って鍵をかけ忘れてた。


「お、ちゃんと起きてるわね。感心感心っ」


 そう言って家の中に入ってきたのはクリスだった。朝から元気いっぱいだね。


「おはようクリス、どうしたの?」

「そんなの一緒に学園に行くために迎えに来たに決まってるじゃない。当然でしょ?」


 学園で会えればいいやくらいに思ってたけど、クリスはそれじゃ嫌だったみたいだ。

 行動力が凄い。


「あら、いらしていたのですかクリス様。朝からお元気ですね」

「ええおかげさまで。カルスはが責任持って学園まで送るから安心してくださいね♪」


 二人はそう言って視線をぶつけ合う。

 相変わらずバチバチだ……怖い……。


「ほら、準備出来てるなら早く行きましょっ!」

「わ、わわ! わかったよ!」


 クリスに手を引かれるまま、僕は家を飛び出す。

 外ではたくさんの人が学園の方に歩いていた。受験生だけじゃなくて大人もいる。


「あの人たちは何しに行くんだろ」

「学園の合格者を勧誘する人が多いらしいわ。研究所やら宗教団体とか人手不足の色んなところがね。カルスも変なのに引っかからないように気をつけなさい」

「うん。気をつけるよ」


 どんな所に勧誘されるのか少し気になるけど、ひとまずは学園での活動に注力しなくちゃね。

 他の組織を体験してみるのは学園を卒業できてからでも遅くないでしょ。


「……おお、人がいっぱいだ」


 学園の正門は人がごった返していた。

 人混みの中を押し分け、奥に行く。するとそこにはクラス分けが書かれた大きな紙が貼ってあった。


「えっと僕の名前は……あ、あった!」


 ちゃんとAクラスのところに僕の名前は書いてあった。

 同じ欄にクリスとジャックの名前もある。僕たちは無事同じクラスになれたんだ!


「やったねクリ……」

「きゃー! やったやった! 私たちAクラスになってるわよ!」


 そう言ってクリスは僕に激しく抱きついて喜びを表現してくる。

 当然僕の顔は彼女のやわらかいそれに押し付けられる形となってしまうんだけど、肝心のクリスは喜びが勝っていてそれに気がついてない。周りの人たちも見ているし……恥ずかしい!


「ちょ、クリス、当たって」

「へ? 何が当たってって……きゃあ!」


 ようやく気づいたクリスは僕を解放してくれる。ふう、ドキドキして心臓に悪かった。


「カルスのえっち」


 クリスは顔を赤くしながら上目遣いでそう言う。

 ひどい、濡れ衣だ。でもこういう時は涙を飲んで受け入れなくては駄目だとシリウス兄さんに教えられたのでその教えを守る。紳士って大変だね兄さん……


「お、二人とも揃ってるな!」


 そう言って現れたのは、ジャックだった。

 もうクラス分けは見たのかな、上機嫌だ。


「みんな受かってて何よりだぜ。これからよろしくな」

「こっちこそよろしくね。今から楽しみだよ」


 改めてこれから一緒に過ごす友人と握手をかわす。

 楽しくなりそうだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 無理して読まなくていいのでは。 [一言] 私は楽しく読んでいます。
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