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第4話 面接

 王都に来てから四日後、僕はクリスと一緒に王都東部にある魔法学園を訪れていた。


「うわあ、凄い数の人。この人たち全員受験生なんだね」


 魔法学園の敷地内には溢れんばかりの人がいた。みんな僕と同年代、つまり受験生だ。

 僕やクリスは推薦を受けているので簡単な面接をするだけだけど、一般の人は試験を受けないと魔法学園には入れないのだ。


「ま、ほとんどの人は入れるらしいわ。試験はほとんど『クラス分け』の意味合いが強いみたいよ」

「へえ。そうなんだ」


 魔法学園はA〜Eクラスまででクラス分けされていて、Aクラスに一番優秀な生徒が集まる。

 それとは別に貴族階級の人が集められる上流クラスもあるみたいだけど、身分を隠している僕はそこには入れない。ま、入りたくもないけどね。

 ちなみに推薦組は悪くてB、ほとんどの人がAクラスに割り振られるらしい。


「私たちはあっちみたいよ、行きましょ」

「あ、うん」


 クリスに手を引かれ、人混みの中を進む。

 見た目こそ変わったけど、クリスは昔のままだ。どんな時でもぐんぐん前に進む強さがある。

 そんな彼女が味方なのはとっても心強い。


「ここ……みたいね」


 『推薦組』という立て札が立ってある所に並ぶ。他の受験生たちの列と比べると明らかに並んでる人は少ない。推薦というのは簡単には受けられないみたいだ。


「クリスはジークさんに推薦されたの?」

「ええそうよ。パ……お父さんは色んな所に顔が利くからね。カルスはゴーリィさんに紹介されたの?」

「ま、まあそんな所かな」


 さすがにこの国の王様に推薦されたとは言えない。まだクリスに僕が王族だということは伝えてないからね。

 でもあのエミリアとかいう人、いないなあ。ちょっかいかけられると思ってたんだけど、忙しいのかな?


 辺りをきょろきょろ見ていると、僕の後ろに一人並び、話しかけてくる。


「どうしたんだ? 何か探してるのか?」


 話しかけてきたのは人当たりの良さそうな短髪の男子だった。この列に並んだってことはこの人も推薦組なのかな?


「学園に来たのは初めてでつい色々見てました」

「そうか、じゃあお前も俺と同じで田舎出身か?」

「まあそんな所……かな?」


 僕のいた屋敷は周りに誰も住んでいないから田舎というのも嘘ではない……はずだ。彼の想像している田舎とは少し違うと思うけど。


「あ、遅れたな。俺は推薦組のジャック・ロッソだ。よろしくな」

「僕はカルス・レイド。よろしくね」


 手を差し出してきたジャックと握手する。

 ちなみにレイドっていうのは偽名だ。王族である僕が本当の苗字を言うわけにはいかないからね。


「ここに並んでるってことはジャックも推薦組なの?」

「まあな。つっても師匠ってわけじゃなくて俺の村にたまたま立ち寄った魔法使いだけどな。魔法を見せたら推薦してもらえることになったんだ。いやあラッキーだったぜ」

「へえ、そうなんだ」


 たまたま出会った魔法使いに推薦してもらえるなんてそれだけ素質があるんだろうなあ。どんな魔法を使えるのか、楽しみだ。


 そんなことを考えていると列が動き出す。


「お、どうやら始まるみたいだな。行こうぜ」


 クリスとジャックと共に、建物の中に入っていく。面接は三人ずつやるみたいで、僕たち三人は一緒に部屋の中に入る。


 そこには五人の試験官と思しき人たちがいた。その中に一人見知った顔があり、僕はその人に手振りで挨拶する。


(あ、お久しぶりです!)

(馬鹿! 今はやめろ!)


 その人、マクベル・ルノアットさんは焦った様子でやめろと手振りで伝えてきた。

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