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第2話 このイケメンがヤバい


「兄さん、あんまりふざけたことは……」

「ふざけてなどないさ。もしカルスが元気になったら当然人前に出ることもあるだろう。そうすれば魅力的な女性に出会うことも勿論ある」

「それはそうかもしれないけど。僕にはまだ早すぎるでしょ」


 シリウス兄さんはプレイボーイだから小さい頃からそういうのがあったかもしれないけど、引きこもりっぱなしの僕には同年代の友人すらいない。

 それなのに女性なんて……早すぎる!


「カルス、こういうのは必要になってから学ぶじゃ遅いんだよ。好きな人が他の人とくっつくのは生きてる上で最も辛く苦しいことの一つだ。そんなものお前には味わってほしくない。

 幸いカルスは私に似てとても良い顔をしている。綺麗な白髪と美しい緋色の眼、すぐにお前は人気者になるだろう」

「そうかな……?」


 正直この髪と眼の色はあまり好きじゃない。

 僕は元々、髪も眼も金色だった。でも呪いで苦しむうちに髪の色は抜け落ち、眼の色は血の色に染まってしまったんだ。

 だからこの二つは嫌いだったんだけど、他の人から見たら違う風に感じるのかな?


「お前はモテる。王都の新聞の『このイケメンがスゴい!』ランキング三年連続一位の私が保証する!」

「王都の新聞ってそんなこともやってるんだ……」


 しかも兄さんの名前が載っているという。

 なんか複雑な気持ちになるね……


「まあでも……分かったよ。兄さんが言うんだからきっと必要なことなんだろうね」

「よく言った! 私がカルスを一人前の女(たら)しにしてやろう!」

「その言い方すっごい嫌なんだけど!?」


 シリウス兄さんは真面目な人だと思ったけど、こんなことも言うんだ。意外だ。

 ちょっと残念度は高くなったけど、これは本心を曝け出してくれるようになったってことなのかな? だとしたら嬉しいな。


「そうだカルス。シズクさんとの仲はどうなんだ?」

「へ? シズク? 別に普通だけど……」


 メイドのシズクは表情が薄くて何を考えてるかよく分からないけど、仲良くはやれてると思う。

 なのでそう返事をしたのだけど、それは兄さんの期待した返事じゃなかった。


「違う違う。シズクさんといい仲になったのかって聞いてるんだ」

「ちょ、なに言ってるの兄さん。僕とシズクはそんなんじゃないよ。第一シズクみたいな女性が僕みたいな子どもをそういう目で見るわけがないじゃないか」

「そうか? お前が気づいていないだけで彼女はカルスにぞっこんだと思うぞ? 彼女のお前を見る目は肉食獣のそれだ、いつかパックリいかれるんじゃないかと私はハラハラしているくらいだ」

「……いや、ありえないでしょ。僕そんな視線一度も感じたことないよ」

「ふむ。まずはその鈍感な所を治す所から始めないとな。これは腕が鳴るというものだ」


 なぜかよく分からないけど気合いが入ってしまった。

 これからまた大変になりそうだ……

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