わたしは猫、これは虐待なの?キャクタイなの?......
わたしはネコ、名は無い。
ある訳ない、親もその親も、生粋の野良猫であり、
由緒正しき野良猫であるの。
小動物を狩って食べることもので、野猫の素質もあるかも。
でも見た目は、そこらの猫とは違うのよ。
洋猫の見た目が強く出ている、カラーリングの毛並みなの。
眼だって、ブルーサファイアのような色なんだから。
今日も奴が来ると、
惹きつけられるように行ってしまう、わたしがいるの。
または、来るのを待ってしまうの。
違う、違うの。
奴の策略に逆らえないだけなの。
ある日、奴は変わった。
そのきっかけは、
あの日、
忌まわしいあの日.....。
以前の奴は、優しく追い払うだけだったのに・・・・・
その忌まわしい日、わたしは謎の団体に拉致されて、
お腹を引っ掻き回されて、
自慢の左耳に、Vカットを入れられたの。
もう、人間なんて信じられない・・・・
と、しばらくの間は思ってもいたりした。
まあ、その話は割愛する。クスン
思い出したくもないの。
大事なのは、今だよね。
わたしは、奴に逢いたいわけではないの。
けっして。
遠くで奴の顔を見たからって、跳ねる様に駆け寄るようなことはしないの。
たまにしか。
普段は、ちゃんと落ちついて寄る。
できるネコなのである、わたしはね。
逢うと、奴は挨拶をする。
少しは前は、人間流だったが、
最近は、ネコの挨拶に変えてきたの。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ評価を上げてやるの。
そして、わたしの顔色を伺うがったヤツは、
エサかミルクを選択する。
エサは、猫用総合栄養食よ。
ミルクは、猫用よ。
薄いが、お腹には優しい。下さなくて済むの。
まず、どちらかで小腹を満たすの。
日々、最初のエサは少めであり、小腹を満たす程度のモノよ。
そして、エサに釣られたわたしに恐怖が来る。
クシ、ブラシ、ブラッシングである。
このブラッシングのせいで・・・・・
ちくしょう、ちくしょう・・・
大事な、大事な・・・
野良の矜持の多くを失ってしまったの。
最初は、怖かった。
奴は巧妙なの。
わたしの届かない背中、
反応してしまう、しっぽの付け根。
そこを、クシで攻撃したの。
優しく、優しく・・・・
ヒドイノ、ハマッテシマッタの。
月日が流れ、
気付けば、3種のクシ(ブラシ)に翻弄される日々....。
ちなみに わたしの毛並みは、ダブルコートというのよ。
最初は、蚤取り用クシ。
気持ちイイ。
でも、決してわたしの意思でゴロゴロなんて鳴かない。
カラダが勝手に鳴くの。
2番目は、粗目の動物用クシ。
肌に届く。
広範囲にわたしのカラダをマッサージのように撫でまわすの。
誰にも許したことの無い、この肌を・・・
まあ、出産経験 複数回ある わたしが言っても意味ないか...はっは
気持ちイイの。
わたしの意思でゴロゴロなんて鳴いているわけではないの。
カラダが勝手する所為なの。
3番目は、柔らかめの人間用ブラシ。
肌には届かない。
毛並みの表面を整えていく。
まあまあ、気持ちイイの。
3番目は、気分が良くなる。
絶対、わたしの意思でゴロゴロなんて鳴いていないの。
カラダがわたしの意思に反して鳴いているの。
たまに とどめがくるの。
ヤツの10本の指でのマッサージである。
それは、背からやってくる。
わたしは、耐える・・・
わたしは、できるネコなの。
ケッシテ、横向きに寝たり、仰向けにならない。
・・・・・たまにしか。
わたしの 野良の、野猫としての矜持は・・・
そうして、日々削がれていくの。
クスン
全てが、終わった後
最後の恐怖が来るの。
それは.....
お腹いっぱいまで貰えるエサ....。
拉致される前までは、お腹いっぱいなんて無かったの。
それが、今は毎日よ。
それは、一種の恐怖ではなかろうかなの?
そう、最近のわたしの日常は、
一種のギャクタイではないかななの?
カラダが痒くなく、ぐっすり眠れるとしても、
日中から、お腹をだして眠れるとしても、
そして、人間に対し、
鳴かない(鳴けない)
→サイレントにゃ-
→エサの要求時に鳴く
→顔を見たら、要求がなくても甘えた声で鳴く様にと、
変わってしまった わたしが居るとしてもなの。
違う、違うの。
わたしは、決して甘えた声でなんか鳴かないの。
カラダが勝手にやっているの。
安息の日々に 溺れてなんかいないの。
これは 続いて欲しいと願う、キャクタイ(客対応)なの。
断固、ケイゾクキボウなの。