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月夜譚 【No.101~No.200】

親子の一歩 【月夜譚No.114】

作者: 夏月七葉

 あの子が苦手な野菜を食べられるように、細かく刻んで好物のハンバーグに隠しておいた。半分に切った断面も、肉と同化して鮮やかな色は殆ど見えないし、きっと気づかずに食べてくれるに違いない。

 あの子が彼の家に来て、そろそろ一年が経つ。彼の遠縁の親戚が事故で亡くなり、残された一人娘を引き取ることになったのだが、如何せん子どもの扱いに慣れていない独り身なので、きちんと育てていけるのか不安だった。

 顔を合わせるのも初めてなおじさんに、その子は中々心を開いてはくれなかった。彼は手を変え品を変え、彼女の気を引こうと努力したが、当の本人の心にはどれも刺さらなかったようだ。

 しかし、ある日の何気ない出来事があってから、彼女は彼に笑顔を向け、よく話をするようになってくれた。正直、そんなことで良かったのかと脱力したものだが、人の心というものは、案外そんなものなのだろう。

 今では、こうして二人で遊びに出かけることも多くなった。だから、もう一歩踏み込みたいのだ。

 前を歩いていた娘が笑顔で振り返る。彼はそれに軽く応じ、弁当の入ったリュックを背負い直して彼女に駆け寄った。

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