表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1

「巨大な森」




道行く者を遭難そうなんさせ、死へといなざう通称「魔性の森」だ。



もうすぐ日も暮れる。




俺は、急ぎ足取りを早める。

その時、






「ア、ウ、ア、ウ、ア」



「ア、ウ、ア、ウ、ア」



「ア、ウ、ア、ウ、ア」








?!







「何だ」



声がして、その方向を見る。

脇道に、罠にかかった女の子を見つけた。



人間が貴重な動物を捕まえるために、張った罠。


「ひどい」


俺は、怒りを覚える。


「大丈夫か?」

「・・・・・・」



返事はない。

顔は俺に向けている。

目の焦点も合っている。



もう一度言う。



「大丈夫か?」

「・・・ア、ウ、ア、ウ、ア」



そして気づく。あ、この子 しゃべれないんだ、と。




足を見る。




捕まりかけてた動物を助けようとしたら、自分が捕まってしまったのだろう。



「ここは「魔性の森」。もうすぐ日が暮れる。お前のような生き物が、こんなところにいたら飢えた動物たちの格好のえじきだよ」



上目づかいで見られた。

まつげが長くてとてもきれいだった。



かかった脚から血が出ている。見るからに痛そうだ。



「運がいいな」



罠を解いた。



バックから取り出したアルコールを口に含み吹きかけ、傷口を消毒して、真新しい布をひきちぎって巻いた。



昔、師匠と修行の時、教わった。が、・・・余計なことを思い出したと後悔する。



きびすを返した。




服の端を引っ張られた。



「一緒に行きたいのか?」



うなずかれた。

しゃべれずともこちらの言っていることはわかるらしい。



改めて立ち上がった少女を見る。



7 3分けの金髪で髪は背中にかかるくらい。

前髪は、ほほにかかるくらい。



服装を見る。

白のYシャツに、羊色のカーディガン。

胸元には赤のリボン。

赤と茶のチェックのスカート。

白のハイソックスに茶色の革靴。




・・・それは、セーラー服と呼ばれるものだった。





みなし児もしくは迷子。




「お前、名は」




とっさに近くの木に咲いた「スオウの花」を指差した。



「「スオウ」か」

「「アイル」だ」

「・・・」

「ついてこい」



少女は走って俺の背中を追いかける。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ