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我が愛しのリリス様

第一王子と魔王様

作者: 千雫

事件が起こる前の話


それは国を滅ぼすきっかけとなった事件の数年前


「ふむ…ハイエロ王国は良物件だな」


「スレイド法国は如何ですか?教会内はわたくしの配下の者たちが何人か潜伏しておりますよ」


「横領や賄賂などで溢れておりますので楽に堕とせると思います」


魔王、リリス、マリアは次の遊びを考えていた

国王の側妃になり国を傾ける、国の中枢に潜り込み内部崩壊させるなど様々な案を三人は出していた


「ハイエロ王国の第一王子がもうすぐ成人だと聞きました。その王子を攫って魔王討伐をさせるのは如何でしょうか?」


「あら、勇者がいなければ魔王様を倒せなくてよ」


「ならば私と第一王子が入れ替わるのはどうだ?」


ニヤリと悪い笑みを浮かべた魔王は配下の者たちを呼びシナリオを話した

皆最初は驚いていたが、段々と愉快そうに目を輝かせていた


「ディートリッヒ様、王妃様がお呼びでございます」


「母上が?」


ディートリッヒは王妃の美貌のみならず、将来賢王になると期待されるほどの才覚を受け継いだ青年だ

ディートリッヒはメイドに案内され庭に出るとそこには王妃はおらず、ドレスを纏った一人の令嬢がいた


「貴女は?」


「初めまして…そしてさようなら」


ニッコリと笑うとディートリッヒは突然意識を失った

倒れてくる彼を受け止めると魔王とリリスが近寄ってきた


「お疲れ様マヌエラ」


「リリス様の為ですから…(第一王子)はどうしますか?」


「サキュバス達の餌にでもしておけ…但し殺してはならんぞ」


魔王の言葉にマヌエラが微笑んで了承するとディートリッヒを抱えて消えた

一方残ったリリスと第一王子に化けた魔王はメイドに化けたルルにお茶を用意させてのんびり午後を過ごした


「どおぉ?王子様はぁ?」


「中々イイ感じよ」


ルルの言葉にマヌエラが微笑むとセリーヌが魔王からの命令を二人に伝えにやって来た


「第一王子の婚約者を堕とす人員を一人寄越すようにと魔王様からのご命令です」


「ルル行ったら?貴方得意じゃない」


マヌエラに言われルルは少し考えた後、男に変わり魔王の元に向かった


「あら、お邪魔でしたか?」


「いや、入れ…ルル、続きはあちら(自室)でやれ」


「畏まりましたぁ」


ルルが闇の中に消えた後、魔王はリリスを抱き寄せて途中経過を聞いた

魔王はリリスとお茶を飲みながら先程のディートリッヒ(第一王子)とのやり取りを思い出し、口角を上げた


「私を攫って国を堕とす気か?」


「堕とすのはお前の(第二王子)だ…そしてお前は民を救うために悪魔を王妃にした賢王として歴史に名を残す…実際は私だがな」


第一王子の言葉に魔王がシナリオを話すとマリアが遠隔魔法で魔王に婚約者の処遇を尋ねた


「魔王様、婚約者(元人間)は如何なさいますか?」


「ふむ、セリーヌ辺りに調教()させておけ…デビューはこいつ(第一王子)にさせろ」


「良かったですねぇー、魔族に堕ちた貴方の婚約者様のお相手ができてー…その時は私も人型()になり混ざりましょうかー」


「婚…約者?まさか…ミリーに何かしたのか!?」


ルルの言葉で魔王に噛み付くように暴れ始めたディートリッヒに他のサキュバス達は石化の魔法で動けなくし、それでもなお暴れようとするディートリッヒにクスクスと静かに笑っていた

魔王もニヤリと笑うと婚約者の姿を見せてやり、ある提案を与えた


「お前の願いを一つだけ叶える代わりに他を犠牲にしろ…但し、国という選択肢は与えられない」


「(私は…ミリーを選んで全てを捨てられるのか?罪の無い民達を捨てる…こんなことが…)…民、を、救って……救ってください」


「そうか…その願い、叶えてやろう…賢明な判断をしたついでに良いことを教えてやろう…魔族に堕ちた人間は元に戻れない、そして私の優秀な配下の者が忘却の魔法で全ての記憶を消す…つまり、次現れるお前の婚約者はお前のことなど快楽と空腹を満たすための只の餌ぐらいにしか思ってないということだ」


魔王は涙を流すディートリッヒを背に転移の魔法でハイエロ王国に戻った

一週間後、ディートリッヒの前に魔族として生まれ変わった婚約者に彼は襲われ、ディートリッヒは完全に自分の殻の中に篭ってしまった

焦点の合わない完全に光を失った瞳を恍惚とした表情でサキュバス達は見ていた


「私達の言葉を信じ、まだ人間であった婚約者をあっさり捨てるとは…人間は本当に愚かだな」


「口約束なんて魔王様でなくてもあるようでないものですのに…それでも何故あのような約束を?」


リリスが不思議そうにしていると魔王はリリスにエルフの王と賭けをしていたことを話した

苦虫を100匹以上潰したような相手の顔を思い浮かべたのか、その声色はどこか楽しそうだった


「奴は自分自身に賭けたがディートリッヒは民を選んだ…ディートリッヒが民を選ぶことは最初から分かっていたからな、これで暫くはエルフとの間に子ができる者が増えるだろうな」


「最初から分かっていてそんなことを仰るなんて、魔王様は酷い方ですね…そんな魔王様も素敵ですが」


リリスは魔王に寄りかかると魔王はリリスの果実のように熟れた唇を貪った


(次のシナリオまでまだまだ楽しめそうだ…次は第二王子の愛人の数にして秘薬をいくつか賭けてもらうか…)

登場人物


エルフの王

エルフ族の王で魔王と同じく暇を持て余す

長寿故の悩みを持っている者同士として偶に暇潰しに遊ぶが、その内容は殆ど酷い

今回本人的には割と平和的な賭けをしたつもりだが、エルフ族をチップがわりにするという残酷な人


魔王

ディートリッヒと入れ替わり現在人の姿をしているが、実際はもっと美しい異形の姿をしている

リリス大好きな為、現在次の段階に行くまで猛アタック中だが、実は両思いなのに気付かない鈍感


リリス

魔王大好きの上位の悪魔

第二王子と婚約したばかりだが、正式発表がまだの為魔王とイチャイチャ中

魔王が自分の好意を気付いていないことは知っているが、そこも素敵!と思っている


マヌエラ、セリーヌ、ルル

リリスの配下のサキュバスと悪魔

大人しそうな見た目と異なり調教が得意なセリーヌ

きつい顔立ちをしているが意外と精神操作系を得意としている器用なマヌエラ

男女両方に変わることが可能で堕落させるのが得意な悪魔のルル


ミリー

ディートリッヒの婚約者

ルルに堕とされ魔族の仲間入りとなった

可愛らしい見た目に磨きをかけて幾多の男を虜にする

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