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【学園ラップ】モーニング・スリーワンミニッツ【単発】

作者: タチマチP

 ヤバイ!ヤバイ!超ヤバイんだけど!

 寝坊だ、遅刻だ、超ピンチなんだけど!

 7時の目覚まし完全無視して

 時刻は7時59分指してる

 究極の失態、圧倒的ミス


 ちょっと原因を考えてみる。

 記憶を思い返すこと数時間前――


 0時に開始のソシャゲのイベント

 マラソンで欲しい報酬見つけたせいで

 いつもより本気を出してしまった。


 そのまま本気を出して2時間経過

 2時に寝れば寝坊するのは当然

 ロングスリーパー私、究極の失態


 でも限定コスをゲットできて満足

 早速着せ替えフレンドに自慢

 マウント取るのが今どきのJK

 これも運命だから仕方ないよね


 だけど今日はそうも言ってられない

 いつもの日常とは少し違う


 今日は期末試験の最終日

 行けなかったらテストを受けられない

 つまり、テストは0点確定

 ついでに、内申が死んでいく


 叱られるのは嫌だし、追試は嫌だし

 学校でクスクスは死んでも嫌だ。


 そんな絶望回避しなくちゃ

 時間はまだある本気マジで準備だ


 朝の朝礼は8時30分から

 残り時間は31スリーワンミニッツ

 まだまだ私に希望は残ってる


 ベッドの布団をライジングキックで飛ばして

 ポーズを決めて言う『グッドモーニング』と。


 挨拶は大事、私のポリシー

 これを破ればママに殴られる。

 ママ(神)ほど怖いものはない。

 パパを見れば、すぐに分かるんだ。

 

 パジャマを脱ぐわ、もちろん投げるわ!

 下着姿で自室を出るわ。

 自宅の中だしフリーダムにいこう

 着衣を付けぬは最高のリラックス


 下着姿で廊下を走るわ、そしてターンして階段を降りるわ!

 1階でパパに下着を見られたけど、

 膝蹴り入れて気絶したからセーフ

 柔道やっててよかった私、今日も乙女を守りきれたようだね。


 今日は大事な会議らしいけど

 私の下着よりは大事じゃないよね


 リビングに行くと中からいい匂い

 ママが用意したトーストサンド

 中身はハムとチーズと厚切りベーコン

 肉・乳・肉のワイルド構成

 でも食べ盛りだからしょうがないよね

 若者は燃費が相当悪いの


 口に加えて噛み締めながら、

 制服着替えにクローゼットに行く


 ワイシャツリボンにスカートブレザー

 2年も使えば素早く着れるけど

 やっぱり制服嫌いな私


 将来絶対私服で働く

 社畜ライフはパパだけで十分

 いらっしゃいませ~な接客なんて

 私は死んでもゴメンだからよ


 スカートはもちろん膝上5センチ

 キュートとセーフを付いたポジションで

 指摘されること無く、可愛さ表現


 私はタイツ派、ハイソは嫌い。

 スカートとの隙間のスースーが苦手

 ママの時代はルーズソックスがメジャーで

 ガングロっていうのが流行ったらしい


 昔もママもやってたらしいけど

 写真は既に燃えるゴミでバーニング


 いつか知り合いコネクション辿って

 絶対写真を見つけてやるわ


 トーストサンドを一気に飲み干し

 肉・乳・肉に別れを告げる。

 トドメの牛乳で胃へダイビング


 そんなことより時間を見よう

 時刻は8時11分

 迫るリミットに焦る私


 寝ぼけた意識を覚ませるために、

 顔を洗って一気に覚醒

 そのままカバンを手に取り家を出る。


 自宅の前、割と交通量が多い

 信号多いし、自転車多いし

 私の周りは弊害あふれる。


 それでも絶対遅刻は避けたい

 若者心眼を発動していく


 信号が赤になる

 一気にダッシュで抜ける


 ポーズはファイティングで

 いつでも戦える


 勝つのはおのれ

 自分を超える

 限界を超えるため、戦いを意識


 心臓の鼓動がハイに達しようが

 目の前にやたらでっかいハエがいようが

 私は足を休めることはなく

 一心不乱にゴールへ向かう


 にじむ汗がタイツに染み込んで

 ピタッとくっつき気持ち悪い


 誰が一体タイツを選んだんだ!

 選んだやつにはビンタを一発

 お仕置き与えて反省させなきゃ


 …だけどそいつは良いやつかもしれぬ

 今回は特別に見逃してやろう。


 遠くの方から何かが聞こえる

 キンコンカンコンとチャイムの音が


 再び時計で時間をチェック

 時刻は8時24分


 あとカップ麺を2個作ろうものなら

 私の未来はメン倒なことに

 …いや、しょうもないギャグを言ってる場合じゃない

 

 校門の前には鬼教師がいる

 あいつは時間に相当厳しい

 ネチネチ説教食らうのは嫌だ

 更に本気を出さねばならぬ


 身体を低く、風の抵抗なくし

 ワンツースリーで側転、バク宙

 

 人は回転している程、移動量はちょっとだけ早くなる

 身体能力高い私は、アクロバティックにアクション決める


 8時28分、校門抜ける

 鬼センおはよー、説教は聞かんよ

 だって無事に学校に着いたもの


 クラスは1階、なんというラッキー

 私はバカで、高いところ好きだけど

 こういうときだけ1階が大好き


 教室向かってスライディング決めて、

 なんとか5秒前、遅刻を回避


 どうだ先生よ、遅刻しなかったよ

 ん? 暴れすぎ? まあ誤差だって。


 ともあれ期末試験に間に合った

 勝負の舞台に立つことが出来た


 それでは最初は歴史のテストか

 ちゃちゃっと埋めて一眠りするか


 問題その1、今川義元はどこの武将で

 なんの戦いで誰に破れた?


 問題その2、16世紀を代表する画家の

 人物名と作品を書け


 問題その3、千利休が、

 亡くなった時期と理由を書け


 なんだそんなことか、ふふっと笑った。

 私は心の中でニヤリとしながら

 とある一つのことを思い出す。


 テストの時間に間に合ったけど、

 全然勉強してなかった件


 これが絶望チェケラッチョ


 終わり

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