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ねこのめ

作者: 伊藤 総一郎

会社勤めをしてからようやく一年が経った。

入社してすぐの頃は、右も左もわからず只々嫌になったものだが一年も経つと遥か昔に感じられる。

そんなことを思いながら歩いていると歩道を反対側から歩いてくる猫がいる。

「今日も来たか」

初出勤の日以来、その猫は毎日欠かさず同じ時間に歩いてくる。

艶のある黒い毛並みに大きな黄色い瞳、これといって特徴がない普通の猫だ。首輪をしていないので野良猫だとばかり思っていたが、いつ見てもきれいに手入れされている毛並みが確信を鈍らせる。

ここ最近での一番の謎だ。

猫のお散歩コースになっているのか、同じ道を同じ時間にとおり、帰りも同じ道で見かける。

少し変わった猫なのか、なんとも律儀というかそんな猫だった。


ただ時々、恐ろしく見えてしまう。

暗い夜道を帰る途中、いつもと同じ時間に歩いてくる猫。

街灯と街灯との闇の中で光る2つの瞳。らんらんと怪しくきらめく瞳につい吸い込まれそうになりふらっとよろけてしまう。

あの瞳を見つめているとどこか遠くに連れていかれてしまいそうな不安と期待。ふらふらと千鳥足で歩み寄りながら、しかしすれ違うのみで触ることはない。

すれ違ってしばらくしてから目が覚めたように意識を取り戻す。

あの瞳は何なのだろうか?

ここ最近の悩みの種だ。


早く仕事に向かわねば……。

またあの瞳に会えそうな気がする。


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