竹田くん1日、後半戦!
ネタ尽きるまでやりますよ
「あー、終わった終わった。1日座りっぱなしって結構効くよなぁ」
「僕達は正座だったからまだマシじゃない?それに寒かったしねぇ」
「冷暖房完備の現代は最強…」
「いやぁ…こう身体が鈍るというか…なんか遠乗りしたい気分というか」
「流石騎馬民族だね。騎手でも目指せば?」
「あんな高い馬怖くて乗れねぇよ。俺らが乗ってたのごっついポニーだぞ?あんな速度でねぇし。力は馬鹿みたいに強かったが」
「勿体無い。折角前世のスキルが生かせるチャンスなのに」
「馬上の一騎討ちなら降りた後の組討で首とるまでできるぞ?」
「捕まりたいの?」
「大体、前世のスキルが役立つ事なんて殆どねぇよ。お前くらいだ、蹴鞠野郎」
「そのくらいしか能が無かったからね。まぁ、剣術も得意だったけど」
「……個人スペックの高さ…腹立つ…」
「なんでそれで家を滅ぼしたのか結構謎だよな、政」
「それ。でも正直ザマァ」
「…………政ちゃん…ほんと僕にたいして当たり強くない?……それに僕の家を滅ぼした張本人の息子でしょ勝頼くんは!」
「そりゃ……落ち目の家が会ったら取るだろ。戦国の習いだぜ…」
「何をしみじみと言ってんの!ほら、政ちゃんもシラーって顔してるよ!まるでお前が言うなみたいに!」
「いいじゃねぇかよ。お前結局長生きしてんだから。あ、そうだ。そういや、お前信長の前で蹴鞠の技を披露したんだろ?」
「そういう問題じゃ…あぁ、うん。やったね」
「お前の足が蹴鞠している間、お前の両腕は何をしていた…ッ」
「そんな陰険な軍師の言葉を持って来られても…それに蹴鞠が得意なのであって、曲芸が上手い訳じゃ無いからね!蹴鞠しながら暗殺って、難易度高すぎるでしょ!てか、その後絶対殺される未来しか見えないって!」
「でも、多分第六天魔王でのステータスがかなり上がったろうに。勿体無い」
「未来のよく分からない評価より、明日の飯だよ。……この現状を知ってたら少し悩むけど…」
余程悔しいのか、戻れるなら戻れるならと真はよく口にする。何とかして1発かまして評価を上げたくて仕方がないのだ。ヘタレだから多分無理だと思うが。
「……あ、麻美ちゃんから連絡だ。瑠璃ちゃんからも来てる」
「あれ?どっちが彼女だっけ、政」
「両方違う。…女の敵、死ねばいい」
「違うよ!皆んな友達なんだ!この前だって女の子数人で遊びに行ったし!やましい事なんてないよ!」
「あ、それ聞いたことある奴だな。親友だった女子グループが崩壊したっていう」
「……うわっ…」
「やめて!そんな目で見ないで!僕のせいじゃ無い!僕は悪くない!」
「………最初から短髪だから更生する余地なし。…出家しろ…道糞って名前にしろ」
歴史関係ないネタをぶち込み。更に煩悩を断ち切ることを進める政ちゃん。とにかく、落ち目の家だった今川家の真が自分より幸せなのがイラッとするというしょうもない理由なのは言わないが。
「なんでそんな生きてるだけで申し訳ないみたいな名前にしなくちゃいけないの……。っと、そろそろ僕は行くよ」
スマホをポチポチと弄りながら、部活へ向かっていく。サッカー部のエースは学校でも人気が断トツに高い。真の学校での立ち位置はヒエラルキーのトップに君臨している1人である。
「アイツは一体何人の女の友情を壊せば気が済むんだろうな…」
「……ボクは真を許すときは多分こない…。アイツといると女子から虐めにあう…学校…怖い…」
「………高校1年の半年間は普通だったのになぁ…でも、俺がいる時はそんな感じなかった気がするが」
「女子の恐ろしいところ…でも、キミはその見た目も相まって怒らせたらやばそうだから女子も手を出さないよ。キミがいなきゃボクはどうなっていたか…」
ガクガク、ブルブルと、体を震わせる。前世斬った張ったの男の世界から、ドロドロ陰湿な女子の虐めに変わった。そりゃ、後者耐性が無いから余計に効くのであろう。軽く精神を病むくらいには。
「しかし、キミは本当にごついよね。どれだけ筋トレしてるの?」
「いや?別に。前世の日課をこなしてるだけだ。皆んなやってたぞ」
前世の武田流兵法術。武将から農民に至るまで日課にしていたトレーニングである。魂に刻まれた習慣は今なおやめられない。
「…………栄養状態さえ良ければその化物みたいな身体になるような日課…ねぇ。今になって、武田の頭のおかしい強さが少し分かった気がする…」
「たいした事じゃねぇよ。まずは軽く真剣を一万…」
「桁がおかしいもん。一万ってなに?馬鹿じゃないの?えっ?なに、武田ってそんな頭のおかしい奴らしかいないの?」
そりゃ鉄砲でもなければ勝てないよ。白兵戦で武田に勝てる可能性があるの上杉か島津くらいじゃないか?どっちも頭のおかしい戦闘民族共だ。
「……っと、忘れてた。俺も今日は用事があるんだった」
「……そう。じゃあボクは帰るよ。でも、スマホの電源は付けておいて。何かあったらすぐに君を呼ぶから。ほんとすぐ出てね。死んじゃうから」
「一体何にそんなに怯えてるんだお前は…」
「前世より怖いよ。人の目が恐ろしい。早くボクの城へ帰らないと…そしてもう出ない」
完全に言っていることが引きこもりのセリフである。
「安心しろ明日も起こしてやるから」
「……部屋の鍵を変えてやる…ッ」
悔しそうに決意を新たにするが、意味は無いだろう。両親はもう落ちている。もはや、裸の城である。裸の城がいかに無力かは大坂の陣を見れば分かる。
討って出るのだ、政ちゃん。それしか道は無い。
まぁ、その末路は討死なのだが。
「用事…ってか。……気質があってんだろうなぁ」
暗い路地裏。その奥にあるいかにも怪しげな建物の事務所に黒いスーツに着替えてサングラスをかけて入る。
「おぉ!勝頼が来たぞ!テメェら!挨拶しろ!」
「「「「ウッス!おはようございます!」」」」
「大袈裟ですよ。で、今日は何を?」
「いやよ、兄弟。対立している組が最近俺らのシマを荒しててよ、1回ガツンとやらねぇとってことで」
「俺の出番ってか。いいぜ、早速行こうぜ」
「そう来なくちゃ。いやぁ、本当に…17か?10歳くらいサバ読んでないか?永遠の17とか似合わねぇぞ?」
「うるせぇな。気にしてんだ」
「気にしてんのかよ。いいじゃねぇか、舐めなれねぇよそれだと。なぁ、やっぱり卒業したら極道やろうぜ!お前なら天下取れるぜ?」
「…天下…ねぇ?…やめろよ…その気になっちまうだろうが」
身体から溢れ出る覇気。強すぎた大将の名は伊達では無い。溢れ出る闘気は現代の人間では出しえない密度だ。
「………ッ…ホンットに…勿体無ねぇ…化物だよ。お前は」
「煽てるなよ。どこまでも登って降りられなくなった経験があるんだからよ」
「猫かよ」
「虎のつもりだったんだがなぁ。猫だったよ。ニャァン、似合うか?」
「ヴォエッ…吐きそうだ」
「ハッハッ!ウッ…俺もだ」
その日、対立組織が一夜にして壊滅した。その街には絶対に手を出してはいけない男の名前が数名いる。その1人に猛虎と呼ばれる噂によると高校生がいるとかいないとか。そんな都市伝説が時折流れるのであった。
感想よろしくお願いします。