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星屑の漂流者―ロスト・メモリーズ―  作者: くろめ
ロスト・メモリーズ 中
39/85

4 未来、過去と別世界

 黙って仮面の男についてきたのはいいけれど……。


「どうしてまた、こんな海岸に」

「この時期の海岸は人気がないからな。話しやすいんだ」


 なるほど確かに。となると、誰かに聞かれたらまずい話ということか。

 潮風には、若干まだ寒気が残っているように感じる。太陽の光が暖かいお蔭か、寒さ自体はあまり感じることはない。


「私が話せることは少ないが、少しだけ話を聞いてほしい。」

「あ、ああ」


 こいつは、何か重大な秘密を知っている。そんな気がしてならない。リガルスにも言えたことだけれど。

 どこかしらオイラと似た雰囲気もある。もしや、同族か何かなのだろうか。髪も同じ赤色だ。

 そして、どことなく親近感も湧いた。


「いきなりで驚くだろうが、私は未来。過去と、そして別世界から来た」

「ほあ? 本当にいきなりだな。しかも未来と過去、しかも別世界て……どういうことだよ」

「すまない。まるで意味が分からないかもしれないが、きっといずれわかる。お前だけには伝えるべきだと感じたんだ」

「オイラだけに、か。やっぱりお前、オイラを知ってるな? 知っているなら、どれだけ知っている」

「……どうだかな」


 そこを曇らせるか……。

 けれど、どうやらこれで、自分のことを知っていることは明らかだろう。


「それに、別世界って言うんだったら、オイラの存在も知らないはずだ。なのにどうして知っている」

「知る術はあるんだ。それ以上は語れない」


 どうやら自分からの質問に応じるつもりはあまり無いらしい。無暗やたらと詮索したくなってしまうが、抑えるべきだろうか。


「このままの道を辿れば、お前は……未来は消失することになる。それを食い止めるために、私が来たと考えてほしい」

「……余計に意味が分からない」

「これ以上を今語ると、この先がどうなるか解らない。今はこれだけに留めておいてくれ」


 自分の未来が消失する……? 余計に意味が分からない。この先、自分自身に命の危険が伴うということだろうか。

 ……有り得なくはないか。リガルスの件もあるし、しかも、自分は賞金首になっているらしいじゃないか。何かが起きてもおかしいということはない。

 それ以外にも聞きたいことはあるわけだが、仕方がない。今は諦めるとしようか。


「さて……もう一つ。これは私の話じゃない。お前自身の話だ」

「オイラ自身の?」

「そうだ。お前は気づいていないのかも知れないが、お前は既に、ローテナリアや私が使ったような《力》を使うだけの潜在能力を秘めているんだ」

「なんだって!?」


 まるで気が付かなかった。そしてまさか、自分があんなぶっ飛んだような力を使うことができるなんて……。


「驚いたか?」

「そりゃあ、驚きだ……」


 こいつから聞けることは、想像だにできないことばかりだ。理解の範疇にないというか、こう、何といえばいいのか。

 でも、こればかりは有益な情報だ。自分自身が力を持っているならば、あのリガルスへの対抗策を作ることもできるだろう。


「分かったところで……試してみるか?」

「へ?」

「勝負だ。お前の力を、出し切れるようにしてやろう」


 ちょっと待て。そればっかりは聞いてないぞ。

 でも、対して仮面の男は乗り気だ。

 明らかに戦う心づもりであることが伝わってきた。

 だが、それだけでは戦う理由にはならない。


「闘いたくない気持ちは分かるが、お前はローテナリアの力によって、身体が軽くなったらしいじゃないか。あれは、力が出せるようになった要因の一つだ。もし、このタイミングを逃せば、力は発揮できない可能性が出てくるんだ」


 なるほど、最もな理由を挙げられてしまった。

 そうか、今闘わなければ、リガルスに対抗する手段も得られないとするならば……これほどのチャンスは無いだろう。


「……わかった。お手合わせ願います」

「物わかりがいいな。流石は――何でもない」

「何だよ、そこまで言われたら気になるじゃないか」

「知っていいことと悪いことがあるんだ」


 お前は本当によくわからないよ。自分の過去みたいに、何もよくわからない。

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