二
4月になり、ディズは学園に入学し私達は離れ離れとなった。
たった一年間とはいえ、幼い頃から一緒に居た人がいないというのはやっぱり寂しい。
私が寂しいと感じると、それを察知するようにあのウサギが傍らに来てくれる。
勿論ウサギだから私の言葉が通じるといったわけじゃないけど、でもどこか悟ってるかのように静かに私の横に寄り添うその存在に助けられていた。
恥ずかしい話ではあるけど、私はこのウサギの名前を【デイズ】と名付けた。ディズの名前を少しもじっただけなんだけれど、こうすることでディズが傍らに居てくれてるような気がするからだ。
大人しく私の横に居るデイズを時折眺めながら、ディズに送る手紙を書く作業に入る。
離れ離れにはなったけど、手紙を送ると必ずディズが返事をくれるから、便箋の枚数がつい増えてしまう。
ディズにはウサギの名前は内緒にしてるから、手紙にはウサギと書いて日々起きた事を少しずつ綴っていく。
今日はウサギと一緒に寝たのよとか、月が綺麗だったわとか、流れ星を見たのよとか……本当に些細な事を。
――でも、そんな幸せな日々は長く続かなかった。
最初の内は必ずディズからの返事が届いたのに、7月辺りから返事の文が徐々に期間を置くようになって……12月になった今では、返事すら届かなくなった。
最後に送られてきた手紙にも早く会いたいなとかそういった言葉はなく、ただ事務的な言葉ばかりで淡々とした内容のモノに変わっていた。
子どもっぽい文章がいけなかったのか……それとも、学園で好きな人ができてしまったのかな。
最後に貰った手紙をキツく握り締める私をデイズはただ静かに見守ってくれて、手の甲に軽く鼻先を摺り寄せてくれる。
「デイズ……お前は、私を慰めてくれてるんだね」
手の甲に幾度も鼻先を摺り寄せてくれるデイズの頭を、ゆっくりと撫でる。気持ち良そうに目を細めるその表情に、ほんの少し沈んでいた気持ちが浮上した。
4月には私も学園に入学することになる訳だし、その時にディズに手紙の事とか色々聞けば良いんだと――この時の私は楽観的に考えていた。
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