第9章
セリーナと青年が中庭まで来ると辺りをキョロキョロと見回しながら小走りで此方へ向ってくる女性の姿が見えた…
「ジェシー!!」セリーナはその女性が誰か分ると背伸びをしながら大きく手を振った。
「セリー!!!」ジェシカは明らかにホッとした顔をすると小走りで掛けてきて2人の前で立ち止まり胸に手を当てて息を整えた。
「セリー、心配したのよあなたったら約束の場所に居ないし部屋にも居ないし何処に行ったのかとっっ!!」ジェシカは明らかにホッとした顔つきで捲し立てると今更ながらセリーナの隣に居る青年を見てビックリして口元に手を当てた…
「あ…ジェシカ私迷ってしまってて迷路の中の噴水で休んでいる所を此方の親切な方に案内していただいたの。」セリーヌは慌てて説明すると青年の腕から自分の手を引き抜きお礼を言った。
「有難う御座いました。おかけで友人とも会えましたしこちらで失礼させていただきます。」
「…そうですか…次からはお気をつけ下さい。」青年はセリーヌの明らかにホッとした様子を見てクスリと笑みを零すと軽くお辞儀をしてその場を去ろうとした。
「失礼、もしやミス・ウェイルズではありませんか?」青年は立ち去ろうとして手を握りあって再会を喜んでいるジェシカに気付き話しかけた。
「え?あ、はい。私ジェシカ・ウェイルズです。」ジェシカは慌てて淑女の礼をすると初めて青年の顔を見て驚いた。
「あ!ミスターマーロウ様!お久しぶりです。気付かずに大変失礼しました。」ジェシカは顔を真っ赤に染めると恥ずかしそうに俯いた。
「いえ、お久しぶりですミスウェイルズ、貴女も招待されていたのですね。御従兄殿はお元気ですか?」ミスターマーロウことジュード・マーロウは突然優しい口調になりジェシカに話しかけた。
「はい!従兄のエドワードも此方の舞踏会に招待されています。」ジェシカは相変わらず頬を染めながら嬉しそうにジュードを見上げて答えた。
「そうですか、それでは屋敷で会えますね、探してみます。ミス・ウェイルズは夜会にも参加されますか?」
「え?あ、はい!今夜の夜会には従兄とミス・ヴィォレットと一緒に参加いたします。」ジェシカは嬉しそうにジュードを見上げて答えた。
「ミス・ヴィォレット??」ジュードが不思議そうにジェシカを見つめるとセリーヌが私ですわと小さな声で答えた。
「…失礼致しました。私セリーヌ・ヴィォレットと申しますわ。」セリーヌが礼を取りながら自己紹介した。
「そう言えば自己紹介がまだでしたね、ジュード・マーロウと申します。」ジュードも紳士の礼を取るとジェシカがビックリした顔で2人を見ていた。
「まだ名乗りをしていなかったものでね、失礼。」ジュードのにこやかな笑顔を向けられジェシカは又頬を染めるとそうでしたか…と小さな声で答えた。
「では、そろそろ失礼しますお嬢様方。外は冷えます…早く暖かい部屋に戻らないと風邪をひきますよ?」笑顔で2人に注意するとジュードは又後でと言って屋敷に戻って行った……
…………2人はジュードの後姿を見送ると本当に風邪をひきそうなので屋敷に戻る事にした………
久しぶりの投稿ですが短めです…