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軌跡  作者: alice
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第4章

 翌日セリーナはマージが起こしに来る前に起き出しマージをビックリさせた。


 「お嬢様!ビックリさせないで下さいませ!」マージは既にベットから起床してカーテンを開けているセリーナの姿に驚きお湯の入ったポットを落としそうになりながら叫んだ。


 「ああ、マージお早う、驚いた?」セリーナはマージの元に駆け寄るとお湯の入ったポットを受け取りながら尋ねた。


 「勿論ですよ、いつも何度起こしても起きないお嬢様が私が来る前に起きていらっしゃるなんて…寿命が縮む所ですよ。」マージはお湯のポットを持って洗面室に消えていくセリーナに聞えるように言うとセリーナの着替えを用意しに行った。


 セリーナはご機嫌で戻ってくるとマージの用意したドレスを見て今日は出掛けるからこの前仕立てたグリーンのを出してちょうだいと頼んだ。


 「お嬢様今日はとてもご機嫌が宜しいようで…楽しい事でもあるのですか?」マージはセリーナに服を着せながら尋ねた。


 「ええ、今日は先日お知り合いになったウェイルズ男爵様のお家をお尋ねするの。」セリーナはドレスが自分に似合っているか鏡の前で点検しながら言った。



 「ああ、先日お戻りになった時奥様がセリーナ嬢様にお友達が出来たと教えてくださいました。」マージはセリーナの長い髪を梳きながら今日はどんな髪型になさいます?と尋ねながら言った。


 「ええ、とっても優雅でお綺麗な方よ。今日は本を持って彼女を尋ねるのよ。」セリーナは嬉しそうに言うと髪を編みこんで残りを流すようなスタイルにしてと言うとマージに髪をセットされ気持ちよさそうに目を閉じた。


 マージはセリーナが3歳位の時にやってきた侍女でビビアンと一緒に長いこと面倒を見てもらっているので家族のように気安くまたビビアンとセリーナの趣味や好みをよく分っており新参の侍女の面倒見もよかった。







セリーナは思ったとおりのお洒落をすると家の書庫に行きジェシカと約束した本を2,3冊抜き出すと朝食を慌しく食べ約束の時間20分前にウェイルズ男爵家前に到着した。


 「少し早かったかしら?」そう言いながら馬車を降りると従者から本を受け取りウェイルズ男爵家のロンドンの別宅を見上げた。


 



 男爵家はバースの南方に領地を持っていて男爵は議員も兼ねているので家風は古風で落ち着いた雰囲気の物となっていた。


 ロンドンの別宅も豪華なつくりではないが少し広い前庭と厳格な趣で扉は木製の重厚な物となっていた。




 セリーナはそっとドアの傍の呼び鈴の紐を引くとドレスの裾を払い髪の毛が乱れていないか確認した。



 直ぐに執事が現れ室内に通され名詞を渡しジェシカを呼んでもらうと入り口横の広めのウェイティングルームに腰掛けて待った。暫くするとジェシカが現れ2人は昨日のお互いの気持ちが変わっていないことを確認した。


 「少し早かったかしら、ごめんなさいね。早く貴女にお会いしたくて昨日はあまり眠れませんでしたの…」セリーナは隣に座ったジェシカの綺麗なブルーの瞳を見ながら言った。



 「まあ、私も昨日はあまり眠れ無かったの…貴女とお話したことを思い出して今日会えるのを楽しみにしてたのよ。」ジェシカも笑って言うと自分の目の下を指差しほら少しクマが出来ているでしょ?と笑っていった。


 2人は顔を見合わせてお互いのクマを見つけるとクスクスと笑った。




 「朝から賑やかですね。」嬉しそうな声が入り口から聞えたので2人が振り向くと其処にはセリーナの見知らぬ男性が佇んでいた。



 「エドワード兄様!」ジェシカがちょっと笑って呼びかけた。


 「淑女の会話を盗み聞きとは紳士的ではありませんわよ。」ジェシカは笑ってエドワードに言った。



 「ごめんなさい、セリー驚いたでしょ?この人は私の父方の従兄弟のエドワード・シェファーデス兄様よ。」ジェシカが笑って紹介するとエドワードは座って見上げてくるセリーナの手袋をした右手にそっとキスをして自己紹介した。



 「初めましてミスヴィォレット、ジェシカの従兄弟のエドワードと言います。昨日ジェシカに君の事を窺っていたので2人を一緒に散歩にでもお誘いしようと思って今日はお尋ねしました。」



 セリーナはエドワードの紳士的な態度にちょっぴり頬を染めながら初めましてと挨拶した。



 エドワードはライトブラウンの少しウェーブがかった髪を耳の辺りまで伸ばしていて瞳は髪より少し濃いへ-ゼルだった。ジェシカの従兄弟だけあって目鼻立ちは整っており少し童顔で少し厚めのピンク色の唇がとても魅力的な紳士であった。





 「エドワード兄様ったら…セリーナがビックリしているじゃない!今日は2人でゆっくりお話をしてショッピングにでも行こうと思っていたのに…」ジェシカはエドワードが2人の邪魔であるかのように少し怒って言った…



 「じゃあ散歩がてら2人の買いものに付き合うよ。荷物持ちがいて楽だろう?」エドワードはジェシカの機嫌を取るように言うとジェシカの頭を撫でた。


 「そうね、それなら構わないけど…2人の邪魔はしないでちょうだいよ。」最後は笑って言うとジェシカはセリーナのを立たせエドワードの腕に絡ませると自分はエドワードの反対側の腕を取りこれで良いでしょと言って早速出掛けましょうと2人を促した。


 





 3人は肌寒い屋外にコートとマフを着込み白い息を吐きながら楽しそうにハイド パークに向かって話をしながら歩いていった…






 「今日はお天気があまりよくなかったわね。」ジェシカが言うとエドワードがロンドンなんていつもそんなものさと言った。



 「ヴィォレット家のお家はどちらの方にあるの?」ジェシカがエドワードの反対側からちょこっと顔を出しセリーナに尋ねた。



 「私の家はサウサンプトンの郊外よ、父が貿易商だから一番大きな港の在る町へ最近引っ越したところなの。今は郊外にあるコテッジに住んでいます。」セリーナはエドワードの腕に手を乗せているのだがドキドキしてしまってまともに捕まる事が出来なかった…



 「サウサンプトンでしたら海軍駐屯地が多くて街は賑やかでしょうね?」エドワードはセリーナに優しく微笑みかけながら言った。


 「ええ…街は軍隊や貿易でとても栄えていますわ、私の住んでいる辺りからは少し距離がありますのであまり行くことはありませんが…」セリーナはエドワードの優しい笑顔に少し頬を染めて俯いた。






 中途半端に続きます…長くなりそうなので此処で区切りました。


新しい独身紳士出現!!


エドワード・シェファーズ…男爵家の次男坊。ドーセット州のライ村の牧師

   

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