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4:恋人(仮)とリクエストデート 前編


 ある日の日曜日。この日も私達は『休日限定交際』の最中。だけど、今日はいつもとちょっと違う。


 


 午前9時。私は今オープンしたばかりショッピングモールの入り口の前にいる。日曜日ということもあって、カップルや家族連れが多く賑わっている。

 そんな中で私は1人で立っていて、隣りに颯人はいない。それよりも私が気になるのは…



 「やっぱこの格好恥ずいなぁ…」


 今日の私のコーデはいつもと違う。

 真っ白のファーのミニ丈コートに中は黒の長袖ニット。ひざ丈くらいの薔薇柄のスカートに黒タイツと白のパンプス。 

 髪も珍しく下ろしてサイドは編み込んである。普段付けない可愛めなアクセサリーもしている。いかにも大人女子って感じのコーデだ。

 でも、これは自分で選んだ格好じゃない。全部颯人が選んだのだ…。







 『これ着て、明日デートして欲しいんだ』


 昨日の夜。お風呂上がりに颯人から大きな紙袋を渡された。それは今20代の女性に人気のあるファッションブランドの袋だった。中を見るとコーデ1式の服が入っていたのだ。でも…


 「こ、こんな可愛いの着るのはちょっと…」

 袋から取り出して見ると、今まで着たことないような可愛めな服ばかりだった。着ようか渋っていると、

 「瑠衣」

 隣りからものすごい圧を感じる。見ると颯人が笑ってる。でもその笑顔は穏やかではなかった。

 「()()…だよね?」

 「…はい」


 私は観念して着ることになり、今日に至るのであった。


 





 「遅いなぁ、颯人…」

 颯人が指定したこの場所で待つこと40分。一向に颯人が来る気配なし。

 颯人早く来ないかなぁ…。

 正直、颯人には早いとこ来て欲しい。こんな人の多い所でこんな可愛い格好して立ってたら絶対面倒な(やから)が…


 「お姉さん、1人?」

 「俺等と一緒に遊ばない?」


 ほーら来ちゃった。

 私の目の前にいるのは全く知らない男2人組。ひげ面でチャラチャラした格好のお猿さ…じゃなかった、猿顔の男達。私の1番嫌いなタイプだ。


 「大丈夫です。今彼氏と待ち合わせしてて…」

 「え~彼氏〜?こんな可愛い子1人にしてく奴なんてろくなのじゃないよ〜」

 

 はいはい、お猿さんがなんか喋ってるね。猿語はわからないから日本語で話してね?


 「俺等みたいな格好いい男と遊ぶ方が楽しいよ〜」

 「そうそう、俺友達から俳優の横◯流星に似てるって言われたことあるんだ〜」


 こんな猿顔のどこに横◯流星の要素あるんだよ、(くるぶし)か膝小僧くらいだろせいぜい。


 「夜は俺が働いてるバーでパーティーしようよ!」


 なんなら今すぐ血祭りという名のパーティーしましょうか?フライパンか金属バット買ってくるんでちょっと待っててくれますか?

 …さすがに頭の中で某少年漫画のツッコミをするのは疲れてくる。ツッコミメガネじゃなくてうちのイケメンメガネはまだ来ないのかよ!おい!!


 「…ッいいから、行こうよ」


 ずっとシカトしてた私に痺れを切らしたのか、1人の男が私の腕を掴もうとした時、





 「すみません。この子、俺の彼女なんで」


 私とナンパ男達の間に大きな人が壁のように立ち塞ぐ。でも私はこの後ろ姿と声に覚えがあった。


 「颯…人?」


 間違いない。私の待ち人の颯人だ。

 グレーのチェックの細身のジャケットとパンツのセットアップに中は黒のタートルネックに黒のベルトと革靴。全体的にフォーマルな感じだけど、パンツの裾を捲って踝丈の靴下が見え、普段の黒縁眼鏡じゃなくて丸眼鏡のラフな感じでバランス良く着こなしている。正直私の好みどストライクだ。

 

 颯人の登場にバツが悪くなったのか、男達はそそくさと逃げていった。とりあえずひと安心した。


 『ごめん瑠衣、遅くなって』

 『全然待ってない……って言いたいところだけど、さすがに待たせすぎ』

 『ごめんって。今日は何でも好きなの買ってあげるからさ』

 『……まぁ、それなら許してあげる』

 『ありがとう、瑠衣』


















 「………ってこれがやりたかったことなの?」

 「うん、ばっちりだったよ。さすがにナンパ男が来るのを待つのはしんどかったけどね」

 「台詞言う方がしんどいけどね…」


 そう。さっきの2人のやりとりは、全部颯人が考えたシナリオなのだった。さすがにナンパ男に絡まれるのは演技じゃないけどね、うん。


 「よし、リクエストその1『ナンパ男から瑠衣を助ける』はこれでOK。次は…」

 「ねぇ颯人、これまだ続けるの…?」

 「当たり前だろ。まだまだこれからなんだから」

 さすがに最初のでもうクタクタだった。でも颯人は止める気はなさそうだ。


 「でも……」

 「瑠衣…()()守れるよな?」


 あぁ…颯人の視線が怖い。口元笑ってるのに目が睨んでるようにも見える。


 「…はい、最後までお付き合いします…」

 「よし、じゃあ次行こうか」

 さっきの冷たい視線が一気に笑顔に変わる。そして上機嫌になると、私の手を繋いでショッピングモールへと歩き始めた。 

 


 リクエストその2『デート中はずっと手を繋ぐ』


 そう今回のデートは、颯人がやりたかったことを叶える、題して『颯人の希望を叶えよ リクエスト希望デート』なのであった…。


                 〈後半に続く〉

当初予定になかった前編後編スタイルです。次回後編もお楽しみいただければ幸いです。

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