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3:恋人(仮)の建て前と本音

 『休日限定交際』を始めて2ヶ月。今日の昼休みはまりか先輩と会社近くのカフェレストランでランチ。お洒落なメニューが豊富で値段もリーズナブルだから、OL達に人気の場所だ。


 「瑠衣、それからどうなの?颯人君との『休日限定交際』ってやつは」


 私達の本当の関係を知っているのは先輩だけ。誰にも言わないって約束で私が教えた。最初こそ驚いていたけど、


 『なんか面白そうだし、いいんじゃない』


 と納得してくれた。



 「もう充実しまくりだよ。休日だけ一緒にいればあとの平日は気兼ねなく推し活に集中出来るし、お互い干渉しないからLINEの返信とか気にしなくていいし、なにより颯人は私の推し活を理解してくれるから今までの元カレと違って最高の奴だよ」


 私はパスタ片手に充実している『休日限定交際』を熱く語っていた。もういっそ制度にしてもいいくらいだった。


 「でもさ、休日だけ会うのって淋しくない?私の彼氏なんて、毎日会わないと無理って言うんだよね」


 確かまりか先輩の彼氏、他部署の年下って言ってたな。ちょっと可愛いな。

 

 「甘いね、先輩。毎日会っていると会った時の喜びとか有り難みが感じにくくなるし、休日に会えるってわかってるからこそ、平日は仕事に集中出来るし推し活も存分に楽しめるんだよ」

 「まぁ、それは一理あるね」

 「それに、仕事終わっていきなりLINEで『今から会おう』って待ち合わせしてたのに2時間も待っても来なくて結局LINEで『ごめん、寝てた』で貴重な夜時間を無駄にすることもないし、『かんさい男子』の番組リアタイしてたらアポなしで家に来てアイドル番組見たいって言ってチャンネル争いすることもないんだよ」

 「…あんた、今までどんな恋愛してきたの…?」


 私が歴代の元カレエピソードを語ってたら、何故か先輩が同情の目をしていた。これでもまだマシな方なのに…。



 「…まぁ、私は人の恋愛にあれこれ文句言うタイプじゃないから、あんた達2人が不満なければそういう付き合い方もいいんじゃない?せっかく好き同士一緒になるなら楽しく付き合った方がお互い片意地張らなくていいし」


 そうそう好き同士ね。



 ………


 …………………



 …………………………あれ?


 前にも思ったけど、私颯人から『好き』って言われたっけ?  

 

 あれから結局『好き』って言われてないような…?



 あれ?あれれ?



 「…颯人って、私のこと好きなのかな?」

 「は?なんて?」


 私は食後のコーヒーを飲みながら、先輩に『休日限定交際』に至るまでの経緯を話した。


 「え~と…瑠衣自身はどうなの?颯人君のことは好きなの?」

 「えっ……」


 私は改めて考えた。何度も言ったけど、私と颯人は幼馴染みで交友関係ある人達の中では1番仲良くて、2人で飲みにも行けるし、颯人自身いい奴だけど………











 『好き』って考えたことはないな。


 「好きっていうよりは、大事な奴って感じかな。大事って言っても、親とか兄弟みたいな。家族愛的な」

 それは間違いではない、うん。

 デザートのガトーショコラを食べながら思う。


 「でも颯人君のことそこまで大事だってゆうなら、告白するのもアリなんじゃない?颯人君も瑠衣とそこまでしてくれるなら、まんざらでもないと思うよ」


 先輩もシフォンケーキを食べながら言う。

 私はフォークを置き、一呼吸置いてから答えた。


 「…正直、颯人が私のことどう思っているかはわからないけど、私は今の関係が1番居心地いいかなぁって思うんだ。もし告白して気まずくなるのも嫌だし、最悪今の関係が無くなるかもしれない怖さもあるんだ。颯人の厚意を利用する理由じゃないけど、私はこの関係を続けたいなとは思ってるんだ」

 「そっか……」

 「それに、颯人って私のこと女って思ってるか微妙なんだよね。一緒にベッドで寝ててもそんな気全然起きないし、お風呂上がりTシャツ短パンで部屋にいても普通にしてるんだよ。そりゃぁ、前の前に付き合った彼氏みたいにデート開始早々にラブホ直行したり、その前の彼氏はHした後友達の誕生日パーティーに行くって言ってラブホで解散したりするよりはまし……って先輩!?」


 元カレエピソードを混ぜながら熱弁していたら、先輩が同情と憐れみが混ざったような顔をして泣いていた。


 「…あんたって子は……なんでそんな恋愛ばっかり…」


 先輩は何かぶつぶつ言ってるけど、よく聞き取れなかった。すると先輩は立ち上がって私の伝票をガシッと掴んだ。


 「…今日のランチは私が奢るよ」

 「えっ!?…でも、セットとかデザートも頼んだし、奢るなんてそんな…」

 「安心しな、後輩にご飯奢るぐらいの金は持ち合わせてるから。その代わり、あんた颯人君とのデート代は絶対ケチるんじゃないよ。わかった?」


 「……わかりました…」

 先輩の圧に負けて、久しぶりに先輩に敬語を使っている自分がいた。


 その日はなんとも居た堪れないランチタイムだった…。


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