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10:恋人(仮)と謎の感情とこれから



 最近自分がおかしい。


 えっ…頭?頭はもともと……ってそうじゃない!!


 元カレとの一件以来、颯人と一緒にいると妙に落ち着かなくなってしまった。



 一緒に映画見ていても横にいる颯人の顔をチラチラ見ちゃうし、颯人が料理を作ってたり趣味のカメラに夢中になっている時も何故か目が追ってしまう。

 平日の仕事中や家で推し活をしていても、どことなく颯人が頭の中によぎってしまう。この気持ちって…







 「颯人君に恋してるね、あんた」

 「…へっ?恋?」


 金曜日の昼休み。いつものカフェレストランでランチ中。

 一緒にランチをしているまりか先輩に、この間の元カレの件について話した。そして、その件以来颯人に対して妙な感覚が芽生えたことを話したら、まりか先輩がそう答えた。


 恋?

 恋って…私が……颯人に?


 「…えっ、でも…恋ってもっとこう、ドキドキとか胸キュンとかそういう感情のことだよね?颯人に対してドキドキしたりは…」

 「あんた乙女ゲームに影響され過ぎ。いい?あんたが颯人君を目で追うのも、颯人君が側に居なくても颯人君のことを考えちゃうのもれっきとした恋愛感情の代表格だよ。恋する乙女の典型的パターンよ」

 「アラサーにもなって恋する乙女はちょっと…」

 「とにかく瑠衣、あんたは今颯人君に恋してる。これは私から見ても確定事項だよ」

 「そう…なのかな…?」


 先輩にはそう言われたけど、私にはイマイチ腑に落ちなかった。

 確かに前みたいに颯人に自然な感じで接せられなくなっているのは事実。でもだからと言ってこれが恋によるものかは微妙なところだ。


 「ってかさ、あんた達いつまでその関係続けるつもりなの?」

 「えっ…?」

 「『えっ?』じゃないよ。さすがに爺さん婆さんになってまで今の関係が続くわけないでしょ。あんただっていつかは結婚するでしょ。颯人君だってそう。あんたのことを理解する人なら、尚更結婚したいって思う女がいてもおかしくないでしょ?」


 颯人が……他の誰かと…?


 考えたこともなかった…。

 確かに颯人は見た目良し、性格良し、経済力良し、生活能力良し、金銭感覚良し…。

 あんな完璧超人な男、他の女だって好意持ってもおかしくはない。その中にもしかしたら颯人好みの子がいて、もし付き合ったりそのまま結婚とか…


 「どどどどうしようっ!もし颯人が他の人と結婚したら…もう推し活に付き合ってくれなくなるのかな!?颯人の性格からしたら絶対家庭優先しちゃうよね!?どうしよう先輩!!」

 「ちょっと落ち着きなさい。ってか気にするとこそこかい…」

 私が慌てふためいているのとは反対に、先輩は冷静通り越して呆れていた。


 「まぁ、颯人君の気持ちは置いといて、瑠衣はどうしたいの?颯人君と結婚したいの?したくないの?」

 「けっ結婚!?」


 私はドキッとした。

 颯人と結婚なんて…全く想像していなかった。今こうして『休日限定』ではあるけれど、一応恋人って関係にはなっている。でももし、颯人がこの関係を終わりたいって言ってきたら…。他に好きな人が出来てその人と付き合いたいって言ってきたら…



 私はどうしたらいいんだろう………。






 その日の夜。颯人が作ったビーフシチューを食べ終わって一緒に後片付けをしている。颯人が食器を洗って、私は洗い終わった食器を拭く。

 お皿を拭いている間、昼休みの時の先輩に言われたことを思い出している。


 『1回颯人君に聞いてみたら?結婚のこととか、今の関係をどうしたいのか』

 

 「ねぇ…颯人」

 「ん?どうした?」


 正直こんな質問緊張する。でも話さないと変わらないと思って、勇気を出して聞いてみる。


 「颯人って…結婚とか、考えてる…?」

 「えっ!?どうした急に」


 颯人が私の質問にちょっと動揺している。突然結婚なんて言われたらそりゃそうなるよな…。


 「いや…うちの親がさ、そろそろ結婚しないのかって電話でちょくちょく聞いてくるからさ。颯人はどうなのかなぁっと思って…」

 怪しまれないように当たり障りない理由をつける。


 「そうだなぁ…うちの親は特に言ってこないけど、一応願望はあるかな。子供は……まぁ相手と決めるけど、兄弟は欲しいかな。俺一人っ子だったから、兄弟とか憧れてるんだ。…瑠衣は?」

 「へっ!?私?」

 まさかの不意打ちの返しにお皿を落としそうになる。

 「まぁ…考えてないことはないかなぁ…子供はやっぱり兄弟は欲しい…かな」

 「やっぱりそうだよな。瑠衣も一人っ子だったから」

 「あとさ…」



 "いつまでこの関係続ける?"


 

 もうすぐそこまで出かかっているのに、なかなか言葉は出せない。


 「ん?どうした?」

 どうしよう……言いたい…聞いてみたい……





 






 「…何でもない」


 やっぱり言えなかった。

 颯人は不思議そうな顔をしているが、すぐに食器洗いに意識を向けた。


 結局聞けないまま、今週の『休日交際』は終わってしまった。明日先輩に言ったら怒られるかな…


 聞くのが怖かった。『じゃあ、もう終わりにしようか』とか『他に好きな人が出来た』とか言われたら、それからどんな顔して颯人に会えばいいかわからなくなる。下手したらもう一緒にいられなくなるかもしれない。


 だから…今はこのままでいたい。

 いつかこの関係が終わる時が来ても……





 私は颯人の隣りに居たい………。

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