第6話:概念スキル検証
夕食後、俺はリリィと向かい合った。
「話を聞く限りあなたはまだ異端者の能力がどういうものか分かっていないわよね?私が教団の極秘データで見たのは過去の異端者たちの記録。彼らは皆、あなたと同じ『概念スキル』というものを持っていた。そして、例外なく命を落としている」
「なぜだ?」
「2つの要因があることが書かれていたわ。1つ目は概念スキルを10個覚えた代償での死亡。私の鑑定スキルで確認したけどあなたのHPのステータス表記少し変じゃない?概念スキルは1つ覚えるごとに10%HPを削ることが確認されているわ。なので、10個覚えるとHPが100%削られ死ぬみたい。つまり、あなたが覚えられる概念スキルは最大でも9個ということになるわ。2つ目は概念スキルは通常のスキルと違って、あなたの変数を全て使うの。つまりMPが消費され0になっても通常のスキルであれば気絶するだけなのに、概念スキルはHPも使用して能力が使用できるわ。もちろんHPが0になったら死ぬわ。」
俺はリリィの話を聞いて、肝が冷えた。
(俺、さっきまじで死ぬ直前だったってことかな?ステータスは確認してなかったけどなんか体痛かったし、時止められるとか最強じゃんとか実は思ってたけどもしかしてクソスキルなのか?)
リリィは、まず『刹那の停滞 Lv.0』の検証と危険性を確認すると言った。
「ユーマの刹那の停滞は時を止める能力っぽいのよね?とすると私の行動だけじゃなく、意識も止まっていたかなど検証が必要ね。あとはどの程度の時間が止められるかは検証したいわ。ただ、教団に残されていた記録には胸の紋章から熱ではなく痛みを感じるとMPは0になっていて、HPを削っている証拠らしいわ。なので今回は痛みを感じたらすぐに能力の使用を止めてほしいわ。」
俺は覚悟を決め、胸の烙印が再び熱くなるのを感じながら、能力を発動した。
「エターナル・モーメント!」
世界が止まる。胸が熱くなると感じたが、痛みは一瞬でやってきた。俺はすぐに能力の使用を止めた。
「ああああぁああ!」
胸の痛みが凄まじい。俺は立っていられず、その場で俺は気を失った。
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目を覚ましたら、朝になっていた。
(俺、また気絶したよな。。どうなってんだ。)
「ステータス!」
【ユーマ・カエデ】
種族:人間(異世界転移者)
レベル:2
HP:10 (10:12-2)/ MP:8(8)
筋力:7/ 魔力:10 / 耐久:8 / 敏捷:11
コモンスキル:『鑑定Lv.2』『短剣術Lv.1』『生活魔法Lv.1』『錬金術Lv.1』
概念スキル:『刹那の停滞エターナル・モーメントLv.0』
武器:なし
どうやらステータスは全て回復していた。胸の痛みももうない。
「起きたようね」
リリィが俺がスキルを発動させた後、どうなったか伝えたいので朝ごはんを食べながら話をすることになった。
「昨日はお疲れ様でした。初めてスキルの行使を見たけどスキルを発動させた瞬間、私の目にはあなたが生きない気絶したように見えたわ。つまり、あなたのスキルは時をまさに止めていて、行動だけではなく意識も止めているみたい。あなたはスキルを発動しても普通に動けるのよね?」
「俺は意識もあるし、動くこともできるはず。教団から逃げる時に崖に向かって飛び込むことはできたからな。ただ時間が短すぎて他に何ができるのかは分からない」
「分かったわ。スキル使用中に他にできることが何かないかは今後の残検証ね。他に私が確認したこととしては、鑑定スキルを使ってあなたを見たわ。私の鑑定スキルはLv9で相手のステータスをかなり見ることができるんだけど、スキル使用前はHPもMPも最大だったのがスキル使用後はあなたのステータスはHP1、MPは0になっていたわ。痛くなってすぐに止めてって言ったつもりだったんだけど、あなた何をしたの?」
「HP1?!俺は胸が痛くなった瞬間すぐに能力の使用をやめたつもりだったんだが、、、体感としては1秒も能力を使用できていないと思う」
「どうやらあなた自身のステータスが低すぎることと、スキルの要求MPが高すぎて使用時間がとんでもなく短いようね。今のままだとちょっとでもスキルの停止時間を間違えると一瞬であなた死ぬわ。今回の検証もHP1で止められたのはラッキーだったと思った方が良さそうね。私も異端者のスキルを舐めていたようだわ。あなた当面スキル使用禁止よ。」
超強いんじゃないかと思っていたスキルが1日で禁止された。
結局、クソスキルかよ。。。




