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スキルを一つ捧げよ。血の滲む努力で得た有用スキルを破壊し、Lv.を下げる僕は異端者として常識を裏切る。  作者: 丈禅


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第10話:レベルダウンの結果とスパルタリリィさん

「レベルダウン?!!!なんだこれ!」


俺は混乱するが、リリィはすぐに鑑定スキルを起動し、冷静に結果を分析した。


「落ち着いてユーマ。これは……レベルダウンじゃなくて、『マイナスレベルへの進行』よ!過去の記録にあった、概念スキルの進化だわ!そして、Lv.-1に到達したことで、能力に変化があったはずよ!」


俺は改めてステータスを確認した。


【ユーマ・カエデ】

...

コモンスキル:『鑑定Lv.3』『短剣術Lv.2』『回避Lv.2』

概念スキル:『刹那の停滞エターナル・モーメントLv.-1』


失われたのは『生活魔法』と『錬金術』。二つのスキルと引き換えに、『刹那の停滞が、「Lv.0」から「Lv.-1」へと、進化を遂げていた。


俺は再び能力を発動し、リリィが計測する。


MPを使い切り、胸の痛みがきた瞬間にスキルをストップした結果、Lv0で1秒程度だった持続時間が体感1.5秒程に伸びていた。


どうやら概念スキルのレベルが下がるほどMPの消費効率が上がっていくようだ。


「次、Lv.-2に上げるための条件は?」


俺の問いに、リリィの表情が曇った。


「おそらくだけど、Lv-1にするためにコモンスキルを2つ消費したことを考えると、コモンスキルLv2を2つ、もしくはLv3を1つとかが最低でも必要になるんじゃないかと思うの。。」


俺は残ったスキル群に目をやる。


『鑑定Lv.3』

『短剣術Lv.2』

『回避Lv.2』


どのスキルも最低限戦うために必要なスキルだ。


(この3つのスキルを生贄に捧げてそれでもLvが1下がるかどうか分からないというのは危険すぎる。しかもレベルを下げられたとしても今のステータスで果たして、意味があるか分からない)


「これ以上、今の手持ちのスキルを生贄に捧げて概念スキルのレベルを上げたとしても得られるものもない。俺としてはステータスの強化と他のスキルを覚えること、この2つを優先すべきだと思う」


「そうね、検証の結果から想像していたよりも概念スキルを強化することの難易度が高いことが分かったわ。今概念スキルを強化することの意味は薄いと私も思う。この森でできる限りステータスやスキルのレベルを上げ、可能であれば新しいスキルを取得していきましょう」


方針は決まった。リリィは続ける。


「次はアイアンボアよ。この森で一番強いモンスターの一つよ。Lv.10〜15の個体が多く、敏捷はウルフより低いけど、耐久とHPが非常に高い。そして、突進の威力は即死級よ」


俺たちは森のさらに奥へと進んだ。アイアンボアが棲むエリアは空気が重く、地面には獣が掘り返した深い傷が残っていた。そんな場所でアイアンボアは堂々とこちらを睨んでいた。


「鑑定!」


『アイアンボア:レベル12、HP80、MP10』


鑑定のレベルが上がったことにより残りのHPとMPが見れるようになっていた。

Lv.12。俺より2レベルも高い。HPは驚異の80。耐久が高いことから俺の攻撃では何度も攻撃しないと厳しいだろう。


目の前に現れたアイアンボアは、その名の通り、全身が鉄板のような硬い毛皮で覆われており、鼻から蒸気を噴き出していた。


「私はサポートに徹する。絶対に突進を食らわないで。一度でも食らったら終わりよ」

リリィの声が緊張を孕む。


ボアは低く唸り、地面を蹴った。驚異的な加速で、鉄塊が突っ込んでくる。


(速い!だが、直線だ!)


俺は全身の神経を集中させた。Lv.2の回避スキルが連動し、ボアの突進の軌道が、僅かに予知できる。


俺は紙一重で突進を躱し、ボアの側面を錆びた短剣で叩いた。鈍い金属音が響く。


「削れたHPはたったの3よ!」


「くそっ!」


アイアンボアとの戦いは、フォレストウルフとの戦い以上に過酷だった。


ボアの突進は致命的だが、躱しきるたびに脳が鋭敏に反応し僅かながら成長しているのを感じた。


しかし、俺は突進を躱した直後、ボアの反撃の足払いを避けきれず、地面に叩きつけられた。


「一気にHP27から10まで削られてるわ!!」


激痛が走り、HPが一気に半減する。リリィがすぐに回復魔法を使うが、俺の意識は朦朧としていた


(今同じ攻撃を喰らうと死ぬ、、)


なんとか死への恐怖から意識を保ち、数十分の戦いの末、15撃ほどの攻撃でアイアンボアを倒すことができた。


「はぁはぁ」


(1匹でこれかよ、マジで半端ねぇ)


レベルアップのアナウンスが流れHP・MPが回復するも俺は立ち上がれず、地面に突っ伏した。


「さぁ次よ!!」


(マジでこの女、ちょっと待てよ。マジでやばいって)


その後、何度か戦っていくうちにレベルが上がっていき、また行動パターンもある程度わかってきたため、

余裕とは言えないがなんとか戦えるようになってきた。


スパルタリリィ先生はその後も俺を休ませることはなく、俺は3日ほどアイアンボアと戦い続け、ステータスは一定の進化を見せた。


「ステータス!」


【ユーマ・カエデ】

種族:人間(異世界転移者)

レベル:15

HP:36(36:41-5)/ MP:40(40)

筋力:35(33+2) / 魔力:40 / 耐久:41 / 敏捷:42

コモンスキル:『鑑定Lv.4』『短剣術Lv.3』『回避Lv.3』『精神力Lv.1』

概念スキル:『刹那の停滞エターナル・モーメントLv.-1』

武器:錆びた短剣


かなりきつかったが俺はアイアンボアを最終的にはリリィの補助もなく、ほぼ完封できるようになってきた。


確かな手応えを感じてきている俺はリリィと夕飯を共に食べながら、次のステージに向けて相談をした。


「アイアンボアではレベルが上がらないだろうから、次の狩場に向かうべき時じゃないと思うけどどう?」


「待ってユーマ。もうこの森ではこれ以上あなたのレベルは上がらないの。スキルレベルは何度も使用していけば上がるかもしれないけど、流石にそこま悠長にこの森で戦い続けるわけにはいかないと思うわ。ここからかなり遠いけど、森を東に抜けた先にある『古代の地下都市ダンジョン』という場所があるわ。そこはあなたの次のステージにぴったりの場所だったと記憶してる。ダンジョンは『進化の秘石』というレアスキル進化に必要なものが出たり、スキルが覚えられるスクロールが出たりするので次はそこを目指すべきだと思うの」


「ダンジョン、か。遠いのか?」


「最短で一週間はかかる。途中、いくつかの街を抜ける必要もある。今は教団の追っ手はいないようだけど、いつ見つかるか分からないわ。」


俺は決断した。このままではジリ貧だ。


「行く。ダンジョンへ向かおう」


リリィは頷き、この場所を明日の朝出ることに決めた。


「今日はゆっくり眠って明日に備えましょう」


俺たちは早めに就寝した。そして、寝静まった深夜、俺たちは教団に襲撃された。


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