第1話:ステータス低くない?
気がつくと、俺は複数の見知らぬ人に囲まれて見知らぬ部屋にいた。
俺の名前は日本の高校生、楓悠真だ。
さっきまで自宅でスマフォ片手にRPGゲームをしていたはずなんだが、、
「……ここはどこだ?」
混乱する頭に、唐突にゲームシステムのような音声が響く。
『基礎情報と転移特典を付与しました』
直後、大量の情報が一気に流れ込んできた。
――この世界は、神聖レベリオン教団が支配し、レベルアップこそが神の恩恵であるというレベル絶対主義を信奉している。冒険者が集うギルドがあり、魔物討伐でレベルを上げることが人々の義務とされている。そして、転異者は、教団が**「レベルアップの偶像」**として利用するために召喚する、規格外の存在だ。
ーー転異者は例外なく初期ステータスが高く、複数のレアスキルを持っており、高レベルダンジョンにも挑戦が可能で非常にレベルが上がりやすい。
そして、目の前に半透明なウィンドウが現れる。
どうやらこの世界では全ての人が自分のステータスを見れるようだ。
【ユーマ・カエデ】
種族:人間(異世界転移者)
レベル:1
HP:8 (8)/ MP:4(4)
筋力:5 / 魔力:7 / 耐久:6 / 敏捷:8
コモンスキル:『鑑定Lv.1』『火魔法Lv.1』『回復魔法Lv.1』『短剣術Lv.1』『生活魔法Lv.1』『錬金術Lv.1』
「うそ……だろ?」
愕然とした。一般的な成人レベル1のステータスが最低でも50を下回らないこの世界で、全ステータスが10以下。
初期に与えられた6つのスキルも、全てレベル1の汎用スキルだ。
俺は、**「規格外のゴミ」**としてこの世界に放り出されたのだ。
「私はアルフレッド、神聖レベリオン教団の司祭を務めている。異世界からの転異で驚いただろう。
しかし、安心して欲しい。君は我々に選ばれたのだ。過去召喚された転異者は全員この世界で最高のレベルに辿り着き、名声をほしいままにしてきた。我々の手厚いサポートのもとレベルアップに励む代わりに、見返りとしてこの世界で何不自由ない生活を約束しよう」
なんとも言えない小太りのおっさんが話しかけてきた。
(これ絶対俺の低いステータスがバレたらヤバいやつだよな、どうしよう...一旦、ステータスが高いふりをしてある程度のレベルまで匿ってもらおう..なんか雰囲気的にアルフレッドってやつ絶対偉いやつだよな。。
ここは丁寧な自己紹介と日本式のお辞儀で礼儀よくしておこう)
俺は立ち上がり、服装を整え、
「初めまして!ユーマ・カエデと申します!よろしくお願いします!」
と深々と頭を下げた。
「なかなか礼儀の正しい転異者であるな。転異者は最初混乱している者が多く、話が通じない者も多い。ユーマはなかなか見どころがある。では、転異で疲れたと思うので今日はゆっくり休んでもらおう。部屋に案内してやれ。明日はステータスとスキルの確認をさせてもらうぞ」
アルフレッドが指示をし、騎士のような姿をした人が部屋まで案内してくれた。
(どうしよう。。そうだ、スキルでもしかしたら有用なものがあるかも。スキルをもう少し調べてみよう。鑑定のスキルがあったよな。もう少しスキルを調べてみよう)
「鑑定!」
『火魔法Lv.1:少し火が出せる』
「鑑定!」
『回復魔法Lv.1:少し傷の回復が早くなる気がする』
「鑑定!」
『短剣術Lv.1:少し剣術が上手くなる』
「鑑定!」
『生活魔法Lv.1:少し汚れを落とせる』
「かんっ!」
ここで俺の意識は途絶えた。
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目を覚ますと日が落ちていた。なんで俺は寝ていたんだろう?
もしかしてMPが枯渇した?
「ステータス!」
【ユーマ・カエデ】
種族:人間(異世界転移者)
レベル:1
HP:8 (8)/ MP:4(4)
筋力:5 / 魔力:7 / 耐久:6 / 敏捷:8
コモンスキル:『鑑定Lv.1』『火魔法Lv.1』『回復魔法Lv.1』『短剣術Lv.1』『生活魔法Lv.1』『錬金術Lv.1』
(MPは減っていないけど、多分寝て回復したってことだよな?鑑定の回数も確か5回目で記憶がなくなっていたし)
確認の為、
「鑑定!」
『錬金術Lv.1:少し金属を曲げやすくなる』
「ステータス!」
【ユーマ・カエデ】
種族:人間(異世界転移者)
レベル:1
HP:8 (8)/ MP:3(4)
筋力:5 / 魔力:7 / 耐久:6 / 敏捷:8
コモンスキル:『鑑定Lv.1』『火魔法Lv.1』『回復魔法Lv.1』『短剣術Lv.1』『生活魔法Lv.1』『錬金術Lv.1』
(やっぱり鑑定はMPを1使うんだ、これで間違いなさそう。。鑑定4回で意識がぶっ飛ぶとかどんだけ弱いんだよ。。てか鑑定で見れた内容ってマジで名前から見たらわかることじゃねぇか。クソスキルめ)
結局、何も状況は変わらず俺は絶望した。
(明日ステータスの確認をされたら俺多分処分されるよな。。追放されるだけならまだマシだけど、転異者を呼べるのは制約があって転異者1名しかこの世界には転異させられないとか、そういう制約があったりしたら最悪殺させるよな。。よし。。)
「脱走しかないわ、これ」




